ウール(羊毛)の特徴と素材の特性。ウール(羊毛)はなぜ縮むのか?

ウール(羊毛ようもう)は、家畜として飼育されている羊の毛を言い表します。

国際的な商取引では羊毛に限って「ウール(wool)」と呼んでおり、他の獣毛じゅうもう繊維を「ヘア(hair)」と呼んで区別しています。

品質表示において「毛」と表記する場合は、すべての獣毛じゅうもうに適応できます。

高級品であること示すために、カシミヤ(cashmere)モヘア、アンゴラなどとそれぞれ表記できる場合もあります。

Wilderness Road - Sheep for wool (7047953945)

Sheep for wool,Virginia State Parks staff, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons,Link

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江戸小紋

三纈(さんけち)とは?古代の染色技法である纐纈(こうけち)、夾纈(きょうけち)、臈纈(ろうけち)について

古くから、「三纈さんけち」と呼ばれる染色技法があります。

上代じょうだい三纈さんけち」「天平てんぴょう三纈さんけち」などと称し、三纈さんけちの染色技法が、奈良時代には(710年〜794年)今の中国からすでに伝わっていました。 続きを読む

デザインにおける月象文(げっしょうもん)

日本において、月を題材にした模様(文様)は「月象文げっしょうもん」として、古くから活用されてきました。

月の姿が変化していく様子は、季節ごとの情趣じょうしゅ(風情)を表し、「花鳥風月かちょうふうげつ」として好んで詩歌にも詠まれてきました。

工芸品や染織品など、月を模様(文様)に取り入れた優れた作品が数多く作られてきました。 続きを読む

生機(原反)加工の流れ。精錬、毛焼き、糊抜き、漂白等。P下、下晒し生地について

織り機や編み機で加工し、出来上がったばかりの生地のことを、「生機きばた」や「原反」げんたんといいます。

織り上がった生地をそのまま未加工で使用する場合もありますが、油脂ゆしや繊維のカスなどの不純物が混在していることが多いため、基本的には加工してから商品として出荷されます。

倉敷帆布を織るシャトル織機の様子

倉敷帆布を織るシャトル織機の様子,Baistone, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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有松絞り(ありまつしぼり)とは?絞り染めの技法や種類、歴史について

有松ありまつ絞りは、鳴海なるみ絞りとも呼ばれます。

有松ありまつ鳴海なるみは、ともに旧東海道五十三次の宿場町ですが、有松で絞り加工されたものが、賑やかな隣町の鳴海で盛んに販売されたため、鳴海なるみ絞りの名で全国的に有名になったのです。

このことは、安藤広重あんどうひろしげの「東海道五十三次・鳴海の宿」の江戸浮世絵うきよえの中にもみることができます。
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芸者風俗における服飾・ファッション

遊廓ゆうかく遊里ゆうり)にあって音曲おんぎょくを仕事とする女性は、江戸では「芸者」といい、京都や大阪では「芸子」といわれていました。

江戸時代の遊廓ゆうかくは、官許かんきょが限定的に得られていた場所でもあり、働く遊女や芸者は一般市民とは異なった華美な服装が許されました。

そのため、模様(文様)の創案や新しい着付け、装身具など、遊廓ゆうかくで生まれたとされるものが数多くあったと考えられます。 続きを読む

【媒染剤】染色・草木染めにおける酢酸(さくさん)

酢酸さくさん(化学式CH3COOH)は、エタン酸ともいい、有機酸の代表的なものの一つです。

酢酸さくさんは、無色の刺激臭のある液体で、食酢にも3%〜5%含まれています。

酢酸さくさんの酸としての強さは、中程度です。

中程度である理由としては、水溶液の中でイオン解離(酢酸アニオン+水素イオン)する濃度範囲が、塩酸えんさん硫酸りゅうさんのような強酸に比べて低いためです。 続きを読む

ファッションにおけるケープ(Cape)

ファッションにおけるケープは、肩や胸、背中の真ん中辺りが隠れるよううな短めのマントのような形をしています。

服の上から羽織るような形で使用するケープ(Cape)は、ポルトガル語のカーパ(capa)に由来するとされます。

ケープは、円形、扇形、四角形などさまざまな形がありました。

当時の上着であるプールポアンの上から肩にかけるように着用し、上半身を覆うぐらいの長さであったことが当時の肖像画などからわかります。

ケープの中には頭巾のついたものや大型のマント風のものもありました。 続きを読む

慶長小袖(けいちょうこそで)とは?慶長小袖の特徴について

慶長小袖けいちょうこそでと呼ばれる衣服は、庶民ではなく主に上層武家階級を対象として慶長けいちょう(1596年〜1615年)の終わりごろから元和げんな(1615年〜1624年)・寛政かんせい期(1789年〜1801年)にかけて制作された小袖こそでと推定されています。

主に黒・紅・白の綸子地りんずじ(経糸、緯糸に生糸をつかって織りあげた繻子しゅす織りの一種で、後染め用の生地)、または黒・紅・白の三色に染め分けられた生地に摺箔すりはく(型紙を用いてのりを生地に置き、その上に金箔きんぱく銀箔ぎんぱくを貼りつけることによって、織物を装飾する技法)で柄をつくり、刺繍ししゅう鹿子かのこ絞りで模様が表現されています。

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