鹿子(かのこ)絞りとは?鹿子絞りを全体に施した疋田鹿子、総疋田、総鹿子について


鹿子かのこ絞りは、小形の白い丸形がまばらに散ったような絞り柄になります。

鹿子(かのこ)絞りとは?

鹿子かのこ絞りの名前の由来としては、鹿は生後2年くらいの間、敵から見つからないようなカモフラージュのため栗色の体の表面に白い斑点はんてんが多くできることから、それに似た絞り柄として名付けられました。

古く、鹿子絞りは、「結帛(ゆいはた)」、「纈(ゆはた)」、「目結(めゆい)」、「目染(めぞめ)」ともいわれていました。

鹿子絞りの中でも、疋田鹿子ひったかのこ総疋田そうひった)は布面に隙間なく散らしたもので、京極きょうごく絞りは比較的絞り柄の間隔が広いもの、小粒を連続させた一目ひとめ(人目)などがあります。

疋田鹿子(総疋田)

全体を鹿子かのこ絞りにしたものは、疋田鹿子ひったかのこ」や「総疋田そうひった」、「総鹿子そうがのこ」などと呼ばれ、江戸時代中期ごろには、もっとも華美で高級な女物衣服として用いられていました。

そのため、江戸時代には非常に流行したため、たびたび奢侈禁止令しゃしきんしれいの対象にもなっていました。

制作には、すべて指先でひと粒ごと布をつまみあげて、糸で堅くくくっていきます。

大体、布目に対して45度に粒が並び、布一尺幅(37.88cm)に45個くらい絞るのが標準とされていました。

織りや刺繍、型染めでも鹿子が表現される

鹿子かのこ絞りの柄は、織りや刺繍ししゅう、型染めなどでも同じように表現されていました。

鹿子織(かのこおり)

紋織物の一種で「鹿子織かのこおり」と呼ばれるようなものは、生地の表面に凹凸があり、見た目が「鹿の子絞り」の柄に似ていることにもその名の由来があります。

鹿子繍(かのこぬい)

日本刺繍の技法の一つである「鹿子繍かのこぬい」は、「疋田繍」や「疋田鹿子繍」とも呼ばれます。

鹿子繍かのこぬいは、組繍くみぬい格子こうしを作り、その中に相良繍さがらぬい(布の表面に小さな結び玉を多く作り模様を表す)を刺し入れたものです。

型染め

型染めでは、織りで表現するかすりの柄を表現したり、通常絞り染めで表現できる柄を、あえて型紙を彫って表現する場合もありました。

関連記事:型染で絣模様を表現する絣型染(かすりかたぞめ)。絣形に彫られた型紙を使用した型染技法について

型紙を作ってしまえば、同じ柄にはなりますがパターンを繰り返し使用することができ、手間を省くことができます。

柄の風合いは、絞り染めの良さでもある柄に表れる染液のにじみが少なく、シャープな柄となります。


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