黒色」カテゴリーアーカイブ

松煙墨(しょうえんずみ)と藍染めを併用した染色技法

松煙墨しょうえんずみ染めと、藍染を併用した染色は古くから日本各地の紺屋こうやで行われていました。

松煙墨しょうえんずみ染めのみで引き染めして、緑色がかった灰色である利休鼠りきゅうねずみ色に染め上げる小紋こもんが作られたりもしました。

出雲いずも地方の祝風呂敷を染める紺屋こうやでは、のり筒描つつがきした生地を藍染する前に、刷毛引はけびきする豆汁ごじる練墨こねずみ丹殻たんがら(ヒルギの樹皮からとる染料)を混ぜて先に染めたりしていました。 続きを読む

染色・草木染めにおける辛夷(こぶし)。薬用効果や歴史について

辛夷こぶし(学名Magnolia kobus DC.)バラ科リンゴ属の落葉樹で、樹高は3~10m程度になります。

属名のMagnoliahahaはフランスの植物学者P.Magnolの名前からきており、種名のkobusは、和名のコブシに由来しています。

辛夷こぶしは、3月下旬から4月上旬にかけて、雑木に混じって枝一面に白い花を咲かせることから、春の訪れを告げる花として知られています。 続きを読む

泥染め・草木染めにおける車輪梅(しゃりんばい)と染色方法について

車輪梅しゃりんばいは、日本においては九州南部に自生しているものが多く、特に奄美大島ではテーチキ、テカチキと呼ばれ、大島紬における染料植物として有名です。

車輪梅は、2〜4mほどのバラ科の常緑樹で、名前の由来は、葉っぱが枝先に車輪状に付き、4月から5月ごろにウメに似た白色の花がウメにが、円すい状に集まって開花しすることから命名されました。

ツバキ科モッコク属に分類される木斛モッコクの葉っぱに似ているところから、ハマモッコクとも呼ばれたりします。

樹皮や樹木、根っこから作られた染料が、大島紬の泥染用に使われることで知られている車輪梅について紹介します。 続きを読む

染色・草木染めにおける槲(かしわ)。薬用効果や歴史について

かしわ(学名 Quercus dentata)は、その若葉をお餅に包んだ「かしわ餅」の名前でも知られている植物です。

漢字では、かしわかしわの字が当てられ、ほそばがしわ、たちがしわ、もちがしわ、おおがしわなど多くの異名があります。

コナラ属(Quercus)で、種名のdentataは、葉っぱの形が、のこぎりの歯のようにぎざぎざした形状(歯状しじょう)なっていることを意味しています。

Quercus dentata

槲,柏,かしわ,Quercus dentata,No machine-readable author provided. Inti-sol~commonswiki assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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