シルクの起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝の妃である、西稜が繭から糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕と製糸の技術を教えたことから始まったとされています。
殷代安陽期(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕が行われていたと考えられているのです。 続きを読む
シルクの起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝の妃である、西稜が繭から糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕と製糸の技術を教えたことから始まったとされています。
殷代安陽期(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕が行われていたと考えられているのです。 続きを読む
シルクの素材を扱う上で、「家蚕」、「野蚕」という言葉に出会います。
野生であったものを人工的に繁殖させたり、品種改良しながら飼育された蛾が「家蚕」と呼ばれます。
野生に生息していたり、野生に近い状態のマユをつくる昆虫類を「野生絹糸虫」と総称し、その中で特に実用的なマユをつくる品種を「野蚕」と呼んでいます。 続きを読む
綿は、さまざまな用途で使われています。
その特徴としては、肌や手に触れる用途に強く、その肌触りの良さは言わずもがな、繊維の中でも優れたものがあります。
肌に触れる下着やインナー、タオルなど実用的に使える場面は数知れません。
他の素材と比較すると、強度に関しては化学繊維のポリエステルやナイロンより劣り、シワになりやすかったり縮みやすいという特徴もあります。 続きを読む
1本の糸をつくるためには、一本から複数の糸をねじりあわせることで撚りをかける作業が必要です。
撚りの方向には、左撚り(Z撚り)と撚り(S撚り)がありますが、一本の糸のみでつくられた単糸は、基本的にZ撚りです。
左撚り(Z撚り)と右撚り(S撚り),PKM, Public domain, via Wikimedia Commons,Link
この糸の撚りについて考えるのは、すごく重要なことです。
なぜなら、撚る方法によって、糸の強度、肌ざわりや風合いに大きく影響するためです。
糸に撚りをかけることによって、強度が高くなります。
撚りをかけることで、繊維がそれぞれ摩擦抵抗し(繊維間の摩擦が大きい)、糸としての強度ができるのです。
ただ、撚りをかければかけるほど良いというわけでもなく、綿糸の場合は撚りの係数が4.0から5.0ぐらいまでが最大の強度で、それ以上撚りをかけると、逆に強度が低くなります。
一般家庭で使われるような標準的な糸は、そのもととなる糸(原糸)に適した撚りがかけられています。
撚りの強さによって、甘撚り、普通撚り、強撚などと区別しています。
普通撚りは、普通の織物用の糸として使われますが、甘撚りと強撚の特徴は以下のとおりです。 続きを読む
今では伝説として語り継がれていますが、現在のバングラデシュの首都ダッカでは、高度な技術によってつくられたダッカ・モスリンという伝説の綿織物がありました。
現存するものは、ロンドンのヴィクトリア・アルバート博物館で保存されているようです。
バングラディッシュは、インドから独立した国なので、イギリスが植民地統治をしている以前は、インドの綿業の中心地であり、その生産量や染色技術においてももっとも世界で進んでいたと言われます。
当時はもちろん機械がなく手工業だったので、糸は手紡ぎされていましたが、その糸が非常に細く、それを使用して非常に薄い綿織物を織っていました。
インドで手紡ぎをイメージすると、ガンジーが糸車を回している有名な写真を思い起こしますが、当時細い糸を紡ぐときも、早朝に霧の立ち込める川のほとりで糸車を回し、指先に油をつけながら紡いだといわれています。
早朝の霧、そして川の近くで湿気っぽい場所が、糸を紡ぐのに適していたのです。 続きを読む
人類にとって、繊維の中でも麻との関わりが最も古くからあると言われます。
紀元前約1万年前の新石器時代の遺跡から、麻織物が出土しています。
また、紀元前の古代エジプトのミイラは、麻の布で包んでありました。 続きを読む
明治8年、イギリスの科学者であるアトキンソンが来日した際、日本人の暮らしの中に、青色が溢れていることを知りました。1875年、いまから約150年前です。
全国の至る所で見られる藍染の布を表現して、「ジャパンブルー」と最初に呼んだのが彼だとされます。
日本中の庶民にとって大切にされてきた、藍染の衣類。藍染が日本に広がった理由として、木綿とのつながりは切っても切り離せない歴史がありました。 続きを読む
パルプは、原料の違いから木材パルプと非木材パルプに分けられます。
パルプは、紙の原料として知られていますが、再生繊維であるレーヨンやキュプラの主要な原料でもあります。
1892年、イギリス人によって木材パルプを原料にレーヨンが発明され、これから人工的な繊維が実用的に使用されるようになりました。
レーヨンやキュプラは、木材から取れるセルロースや綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている2mm〜6mmほどの短い繊維で、紡績用には向かないコットンリンター(cotton linter)を溶かしてから固めて繊維状にしたものです。
BALLS OF COTTON,Mamichaelraj, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link
縫製の良し悪しを左右し、縫製後の製品の質を向上させるためには、生地に適した縫い糸の素材を選ぶのが非常に大切です。
本記事では、素材に合った正しい縫い糸の選び方について紹介します。 続きを読む
フェルト(Felt)とは、代表的な不織布として日常生活の中でも使用されており、羊毛や獣毛繊維を縮ませて作られるものです。
フェルトという言葉は、ギリシャ語のFulzen(結合させる)からきているように、羊毛の縮絨性(縮むこと)をはっきりと表しています。
紀元前3世紀ごろから、中央アジアの遊牧民たちは、羊毛や獣毛からフェルトを作り、カーペットや衣類などとして使用してきました。
日本においては、正倉院の御物中に、中国から渡来した花文のある毛氈が残されています。
毛氈とは、羊毛などの獣毛を原料に、延ばしたり、加熱や圧縮して織物風に仕上げたフェルト状の敷物です。
フェルトの技法は、スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国にも古くから伝わっており、フェルトの帽子や靴下など、その保温性の高さと摩擦に強いことから、広く親しまれています。
Colored felt cloth,Bastet78, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link