素材」カテゴリーアーカイブ

インドの綿織物であるキャリコ・キャラコ(calico)。ヨーロッパ人を魅了したキャリコと産業革命との深い繋がり

インドにおけるキャリコ(calico)と呼ばれた平織りの綿織物が、17世紀終わり頃からヨーロッパに伝わり、人々を魅了しました。

キャリコは、カーテンやシーツ、そして肌着等にも適していました。

もともと、ヨーロッパには綿花の栽培と綿工業がなかったため、インドからやってきた綿織物が、人気を博すのは必然でした。

人々に愛されたキャリコですが、歴史をたどってみると、イギリスの産業革命とその背景にあった悲しい歴史がみえてきます。

更紗の断片 (インド)、18 世紀後半,,Chintz Fragments (India), late 18th century (CH 18481741)

更紗の断片 (インド)、18 世紀後半,Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

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蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

絹(シルク)をこすり合わせた時に出る音「絹鳴り(きぬなり)」

絹(シルク)をすり合わせた時や、絹でできたおびを手や指でこすったりした時に出る音を「絹鳴り(きぬなり)」と言います。

一般的には、毛羽がほとんどない長繊維(フィラメント)の織物は、すり合わせると音が発生しやすいです。

特に絹糸は、単糸たんしの断面が三角形であるため、より高い音が出ます。 続きを読む

オーガンジー加工とは? Organdie finish

オーガンジー(organdy、organdie)とは、経糸、緯糸に細糸を使用した平織などの、透け感のある硬めの薄地織物です。

オーガンジーという言葉の由来ははっきりしていませんが、ウズベキスタンの古都「ウルゲンチ(Urgench)にちなむとされます。

オーガンジー加工(Organdie finish)は、もともとは綿織物の用いられてきましたが、レーヨン、シルク、アセテート、ナイロン、ポリエステル繊維にも使用されます。 続きを読む

「金よりも価値がある」超高級繊維ビキューナ(Vicuna)の特徴について

「金よりも価値がある繊維」ともいわれるビキューナ(Vicuna)とは、南米のアンデス山脈に生息しているビクーニャ(Vicugna)からとれる「毛」またはそれを用いた織物を表します。

ビクーニャ(Vicugna)とは、ペルー、アルゼンチン、ボリビア、チリ北部、エクアドルなどの標高約3800m以上のアンデス山脈に生息しています。

ラクダ、アルパカ、リャマと近縁のラクダ科の小さな動物で、すべてのラクダ科動物の繊維と比較しても、良質な獣毛繊維が採れます。

ビクーニャ(Vicugna)Vicuña - Chimborazo, Ecuador

ビクーニャ(Vicugna)Vicuña,Dabit100 / David Torres Costales Riobamba, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

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カシミヤ(cashmere)の由来とは?「繊維の宝石」カシミヤ繊維の特徴について

カシミヤ(cashmere)は「繊維の宝石」と呼ばれ、長い歴史の中で常に高品質な繊維としての高い地位を維持してきました。

カシミヤと呼ばれるのは、インド北西部の高山地帯のカシミール地方に生息しているカシミヤヤギ(カシミヤ山羊)に由来があります。

カシミヤヤギから取れる優良な毛は、絹(シルク)に似た光沢を持ち、繊維もしっかりしており(強靭きょうじん)、滑りが良いのが特徴的です。 続きを読む

オパール加工(Opal finish)とは?

オパール加工(Opal finish)とは、耐薬品性(各薬品に対しての耐久性のこと)の異なる繊維を用いた交織こうしょくの織物などに、一方の繊維を溶解(腐食)させる薬品を模様状にプリントし(印捺いんなつ)、その部分を除去(抜食ばっしょく)して透かし、レース状の布に加工することをいいます。

「オパール」は、宝石の名前からきており、本来は布の上にオパール調の模様を出すオパール捺染なっせんのことでした。

オパール加工は、抜食加工(burn out finishing)、抜食捺染なっせんとも言います。

また、布全体を抜食ばっしょくすることは、オールバーンアウト加工(All burn out)などといいます。 続きを読む

松根(しょうこん)と藁(わら)を併用して燻した焦茶色の燻革(ふすべがわ)・印伝(いんでん)(鹿革)

燻革(ふすべがわ)・印伝(いんでん)とは?燻革の染色方法や歴史について

革染めで有名なものに、燻革ふすべがわというものがあります。

燻革ふすべがわとはふすべという言葉にあるようにけむりを利用して染められた革のことです。

人類史上、けものの皮の保存方法として原始的に最初に気づいた手段は、けむりいぶす「けむりなめし」であったとされています。

けむりで染色できるという点も、その関連で必然的に発見されたのでしょう。
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イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

イラクサ(蕁麻)の繊維から生まれる布。イラクサ(蕁麻)の採取・苧引き・糸積みについて

古くから、衣類の原料やあみなわなどを編む繊維などに使用されてきた植物にイラクサ(蕁麻いらくさ)があります。

イラクサ(蕁麻いらくさ)はイラクサ科の植物で、世界中で40属、50種以上を数えるといわれますが、繊維として利用されるものは主に、イラクサ属(ミヤマイラクサ、ムカゴイラクサ、エゾイラクサ)、カラムシ属(ナンバンカラムシ、カラムシ、コアカソ)などで、まれにミズ属のミズ類も用いられました。

カラムシ畑,福島県昭和村

カラムシ畑,福島県昭和村,Qwert1234, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

このうち、カラムシ属のナンバンカラムシ(学名:Boehmeria nivea var. nivea)は、いわゆる苧麻ちょまで、栽培される麻織物の主原料となっていました。 続きを読む