素材」カテゴリーアーカイブ

フェルトとは?不織布の代表であるフェルトの歴史と分類について

フェルト(Felt)とは、代表的な不織布として日常生活の中でも使用されており、羊毛や獣毛繊維を縮ませて作られるものです。

フェルトという言葉は、ギリシャ語のFulzen(結合させる)からきているように、羊毛の縮絨性しゅくじゅうせい(縮むこと)をはっきりと表しています。

紀元前3世紀ごろから、中央アジアの遊牧民たちは、羊毛や獣毛からフェルトを作り、カーペットや衣類などとして使用してきました。

日本においては、正倉院の御物中に、中国から渡来した花文のある毛氈もうせんが残されています。

毛氈もうせんとは、羊毛などの獣毛を原料に、延ばしたり、加熱や圧縮して織物風に仕上げたフェルト状の敷物です。

フェルトの技法は、スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国にも古くから伝わっており、フェルトの帽子や靴下など、その保温性の高さと摩擦に強いことから、広く親しまれています。

Colored felt cloth

Colored felt cloth,Bastet78, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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デニム・ジーンズの防虫、虫除け効果。天然インディゴにガラガラヘビが嫌った成分、ピレストロイドが含まれていた

デニムは、もともとアメリカで労働着(ワークウェア)として誕生しました。

1840年代にカリフォルニアで金の鉱脈が発見されたことにより、いわゆるゴールドラッシュと呼ばれる金の採掘ブームが1870年代にかけてまきおこりました。

金鉱労働者の間で堅牢けんろうな衣類の需要が増えたことが、デニム誕生の背景としてあるのです。

1853年、ドイツからサンフランシスコに移民としてやってきたLevi Straussリーヴァイ・ストラウスは、耐久性に優れたキャンバス素材を使ったパンツを自身の雑貨店で販売しました。

これが、世界中で愛されているデニムブランド「リーバイスLevi’s」のはじまりと言われています。 続きを読む

アイヌ人の伝統織物、アツシ。オヒョウの樹皮から織られた着物について

アイヌの伝統織物に、厚司アツシがあります。

アツシは、ニレ科の植物であるオヒョウ(オヒョウダモ)の樹皮を繊維にして織られた着物で、アツ(アッ)は、アイヌの言葉でオヒョウを指します。

Lacinata leaves

オヒョウ,Ulmus laciniata,Ptelea at English Wikipedia, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

広い意味では、シナノキやハルニレ、ツルウメモドキやイラクサの繊維で織ったものもアツシと呼ばれたようです。

オヒョウが雑木として伐採され入手困難になったため、主にシナノキの繊維が代わりに使用されていました。

シナノキは繊維の滑りが良く、糸作りや織りの制作時間も、オヒョウに比べると三倍ほど短縮された点も、シナノキに代替された理由の一つです。

ただ、オヒョウの糸のアツシの特徴として、やわらかくしなやかな風合いをもち、あたたかく、繊維も丈夫で洗濯ができ、衣服に適している点があります。

一方、シナノキの糸のアツシは硬く、折り目が割れて繊維がほつれやすい点があり、オヒョウの糸よりもやや劣るとされます。 続きを読む

樹皮布とは。ハワイ諸島で発達した樹皮布の版染めについて

織物の原型とはいかないまでも、織布の先駆けともいえるものとして、樹皮布じゅひぬのが挙げられます。

樹皮布は、アフリカのコンゴや東南アジアのタイ、南太平洋諸群島、南アメリカなどで古くはみられ、そのなかで図柄や技法がともに発達していたのは、ハワイ諸島やサモア諸島でした。

樹皮布は、日本にも縄文時代には渡ってきたのではないかとの想定が、考古学者であった後藤守一氏にされていますが、樹皮は腐りやすく存在を証明する史料がないため、確かな情報とは言えません。

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燻革(ふすべがわ)とは?藁や松の煙で革を染める技法

革染めで有名なものに、燻革ふすべがわというものがあります。

燻革とは、ふすべという言葉にあるように煙を利用して染められた革のことです。

人類史上、けものの皮の保存方法として原始的に最初に気づいた手段は、煙でいぶす煙なめしであったとされていますが、煙で染色できるということもその関連で必然的に発見されたのでしょう。

稲藁いねわらの煙を使用すると赤と黄色の中間色である燈色ひいろから茶色になり、松葉や松根の煙では、鼠色ねずみいろのように染まります。

藁と松根を併用すると、鶯色うぐいすいろ(灰色がかった黄緑色)になります。さらに藁を重ねていくと、濃い茶色となっていきます。 続きを読む

繻子、綸子、縮緬、絹ちぢみ。江戸時代から人々に好まれた絹織物4種

江戸時代から好んで使われ始めた絹織物に、繻子しゅす綸子りんず縮緬ちりめん、絹ちぢみがあります。

繻子

繻子しゅすは朱子とも書き、経糸と緯糸が交差する部分(組織点)が連続せずに、すきまが一定で間隔が長く空いているため、経糸の浮き上がりが多く、斜文織(綾織の総称)よりもさらに光沢感やツヤ感を感じます。

綸子

綸子りんずは、もっとも光沢感を出す組織とされる繻子織を地にして、模様の部分を繻子織の裏側の組織にすることで、二種類の組織の違いで模様を表した紋織です。

経糸、緯糸ともに生糸を使用しており、織り上がってから精錬(後練り)します。(アルカリ性の液で煮ることで生糸に含まれるセリシン(にかわ質)を取り除く)

ちなみに前もって経糸も緯糸も練って、その練糸で織り上げたものを緞糸どんすと言います。

中国から船にのせて運ばれた織物類は,主として板に巻きつけてあり、錦など重厚な織物は厚い板を芯にするところから厚板物と呼ばれた。一方、綸子などの薄い織物は、薄い板に巻きつけられていたことから薄板物とも呼ばれたそうです。 続きを読む

オーガンジー加工とは? Organdie finish

オーガンジー(organdy、organdie)は、経糸、緯糸に細糸を使用した平織などの、透け感のある硬めの薄地織物です。

もともとは綿織物ですが、レーヨン、シルク、アセテート、ナイロン、ポリエステル繊維にも用います。

綿布は、パーチメント加工により透明度が高く、硬い風合いとなります。綿が溶ける寸前の濃度の硫酸に布を漬けて、水洗いをし、さらに※マーセル化処理をします。

さらに硬くするためには、糊料(こりょう)・樹脂加工剤を付けて乾燥した後、光沢を出すためにカレンダー加工をして仕上げます。

※マーセル化・・・強アルカリの苛性ソーダ(水酸化ナトリウム溶液)を含んだもので、繊維を加工すること。縮みを防ぎつつ処理することで、繊維が引き締められ、滑らかにするために絹のような光沢と感触を生じ、強さも増します。

関連記事:リップル加工とは?シルケット加工とマーセリゼーション。綿繊維の収縮を利用して、生地を加工する方法。

撥水加工(はっすいかこう)、撥油加工(はつゆかこう)とは?

撥水加工は、繊維に水をはじく性質を与える加工のことです。

科学的処理加工によって、撥水剤を結合し付着することで、繊維の性能を変えています。

ジルコニウムやチタン化合物とパラフィンエマルジョンの系統は、ジルコニウムやチタンが繊維とのなじみを良くし、アルミニウム系よりも耐久性のある撥水性が得られます。

綿やレーヨンの水酸基と化学結合して、耐久性のある撥水剤として、ICIのVelan PFやDu pont(デュポン社)のZalan APは、脂肪酸アミドのピリジニウム塩であり、しみ込ませてから乾燥させ、熱処理を150℃〜180℃で3分〜5分行います。その後、ソーピングが必要です。 続きを読む

オパール加工とは? Opal finish

オパール加工とは、耐薬品性の差を利用して、混紡交織物の一方の繊維だけを除去して、透かし模様を出す加工のことです。

オパールは、宝石の名前からきており、本来は布の上にオパール調の模様を出すオパール捺染のことでした。オパール加工は、抜食加工(burn out finishing)とも言います。

また、布全体を抜食するオールバーンアウト加工(All burn out)もあります。 続きを読む