伊勢型紙,絣柄の風合いが出るように彫られたもの

伊勢型紙(いせかたがみ)の彫刻技法と型紙を補強する技術。伊勢型紙の歴史について

伊勢型紙は、三重県鈴鹿市の白子しろこ町と寺家じけ町が名産地です。

全国の呉服問屋ごふくとんやから型紙文様の注文を受けた形屋かたやは、文様の下絵と型を彫る地紙じがみを彫り師に届けて、彫刻してもらいます。

彫られた型紙は、張り屋で紗張しゃばりをされて完成し、その後形屋かたやから問屋、そして型付け職人に届けられたのです。
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墨流し(すみながし)とは?和紙や布を墨汁(ぼくじゅう)で染める墨流しの技法や歴史について

墨汁ぼくじゅうを水面に浮かべ、波紋状はもんじょうの模様を作り、水面に和紙や布つけて模様を染めることを「墨流し(すみながし)」といいます。

福井県武生たけふ市に伝わる「越前墨流し(えちぜんすみながし)」は、800年の歴史があります。 続きを読む

牛首紬(うしくびつむぎ)とは?牛首紬の歴史や技法について

牛首紬うしくびつむぎとは、石川県の最南端の白山市で作られている織物です。

現在の白山市にあった村である白峰村しらみねむらは、白山はくさんの登山口として知られており、「牛首うしくび」は、その旧地名です。

冬は平均3メートルほどの積雪があり、半年近く雪に埋もれるような生活のなか、古くから人々はくわを植え、かいこを育てまゆを作り機を織り、生活の収入を得てきた歴史がありました。

牛首紬うしくびつむぎは、昭和63年(1988年)に国の伝統的工芸品に指定されています。 続きを読む

能登上布(のとじょうふ)とは?能登上布における絣の染色技法と海晒しについて

石川県の能登のとにおいて、能登上布のとじょうふという麻織物が古くから有名で、昭和初期には機屋はたやが120軒、織物業者が原料を出して、一般家庭の子女などに家で織物を織らせる出機でばたが6000台を数え、麻織物生産数全国一位を誇っていました。

能登上布のとじょうふは、能登半島の付け根にあたる部分の石川県鹿西町や鹿島町を中心とした地方で織られていました。

現在、能登上布は、石川県の無形文化財に指定されています。 続きを読む

ざざんざ織とは?ざざんざ織の特徴と技法について

静岡県の浜松市周辺は、「遠州織物えんしゅうおりもの」の名前で広く知られ、昔から織物業が盛んでした。

機屋はたやの家系を持ち、民藝運動家であった平松実ひらまつみのるが、遠州織物の伝統技術を基盤に、新しい創造性を加えて作り出したのが、「ざざんざ織」です。 続きを読む

南部古代型染(なんぶこだいかたぞめ)の特徴と技法について

岩手県盛岡市に古くから伝わる型染めは、「南部古代型染なんぶこだいかたぞめ」と呼ばれ、現在は、蛭子屋えびすやの小野氏に、その伝統が受け継がれています。

蛭子屋えびすやの歴史は古く、甲州こうしゅう(山梨県)の豪族であった南部義光に、染師として、蛭子屋えびすや善助が雇い入れられたことに始まります。

それ以後、南部氏が、甲州から奥州おうしゅう三戸さんのへ、さらに盛岡へ居城きょじょうを移したのに際して、蛭子屋えびすやも共に従い、寛永かんえい5年(1628年)、蛭子屋えびすや三右エ門が南部藩の御用染師として登用されたのが初代で、現在も続く「蛭子屋小野染彩所」が南部古代型染なんぶこだいかたぞめの伝統を受け継いでいます。 続きを読む

加賀友禅(かがゆうぜん)とは。加賀友禅の技法と京友禅との違いについて

加賀友禅かがゆうぜんが染められてきた石川県の金沢市は、周囲を美しい山々に囲まれ、犀川さいがわと浅野川が流れる、加賀百万石の城下町でした。

この地域における染色の歴史も非常に古く、1500年代頃にはすでに「梅炭うめずみ」といわれる無地染が発達し、布地を梅の皮やしぶで染め、黄色味がかった赤色に染め上げたのです。

江戸時代初期には、「御国染おくにぞめ加賀染かがぞめ)」や「兼房染かねふさぞめ(けんぼうぞめ)」と呼ばれる友禅染めのような模様染めが行われていました。

このように染色の土台があった加賀において、京都から宮崎友禅斎みやざきゆうぜんさいが移り住んできたのです。
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