デザインにおける雲(くも)。雲文(うんもん)の種類や意味について

雲(くも)は気象状況や季節によってその形は様々に変わりますが、雲の模様(文様)は古くから意匠いしょう(デザイン)に活用されてきました。

雲の模様(文様)は「雲文うんもん」とも呼ばれ、中国や朝鮮ではさまざまなデザインが作られてきました。

中国では、山中の巨岩きょがんから雲気うんきが湧き出るとされたことから、「雲気文うんきもん」と呼ばれました。

日本では奈良時代に中国の影響を受けて、さまざまな意匠いしょう(デザイン)において雲文うんもんが取り入れられるようになったとされます。 続きを読む

有松絞り(ありまつしぼり)の技法や種類、歴史について

有松ありまつ絞りは、鳴海なるみ絞りとも呼ばれます。

有松ありまつ鳴海なるみは、ともに旧東海道五十三次の宿場町ですが、有松で絞り加工されたものが、賑やかな隣町の鳴海で盛んに販売されたため、鳴海なるみ絞りの名で全国的に有名になったのです。

このことは、安藤広重あんどうひろしげの「東海道五十三次・鳴海の宿」の江戸浮世絵うきよえの中にもみることができます。
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九曜文(くようもん)

デザインにおける九曜文(くようもん)

九曜くよう」とは、古代インドの占星学にみえる9つの天体とそれらを神格化した神を表します。

九曜くようは、天地を守る仏神として信仰され、日本においては九曜を模様化(文様化)した九曜文くようもんが平安時代末には衣装や牛車ぎっしゃに用いられていました。 続きを読む

藍鳶(あいとび)色

染色、色合いにおける紫鳶・紺鳶・藍鳶・黒鳶

鳶色とびいろと呼ばれる色は、鳶(トビ)の羽毛の色のような赤暗い茶褐色のことを表します。

とびは人里の近くでも飛び回り、江戸時代に生きた人々にとっても馴染みのある鳥でした。

鳶色とびいろは、江戸時代初期ごろから、茶系統を代表する色の一つとして扱われていました。

鳶色とびいろから派生し、「紫鳶」、「紺鳶」「藍鳶」「黒鳶」など、「鳶」の付く色名がさまざま生まれ、染色がおこなわれてきました。

鳶色とびいろを染める材料としては、蘇枋すおう(蘇芳)がよく用いられていました。
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デザインにおける薬玉文(くすだまもん)

薬玉くすだまは、古くはさまざまな香料を袋にいれ、飾りをつけて五色の糸を垂らし、主に5月5日の「端午の節句」における魔除けとして、柱や几帳きちょう御簾みすなどにかけられました。

日本には、中国から伝わり、『続日本後記』(849年)の5月5日の項に「薬玉」とあるのが最初の記載とされます。

平安時代、宮中では5月5日に薬玉をかけられ、9月9日の「重陽ちょうようの節句」まで掛けられ、「茱萸袋ぐみぶくろ」と取り替えるという風習がありました。

中国の風俗では、薬玉は「命縷しょくめいる」や「長命縷ちょうめいる」、「五色縷ごしきる」などと呼ばれていました。 続きを読む

黒地孔雀羽文錦陣羽織

デザインにおける孔雀文(くじゃくもん)

孔雀くじゃくは、鳥の中でもその姿や色が美しいため古くから世界各国で愛好され、デザインにも用いられてきました。

中国は漢代頃に彫刻された画像石がぞうせき(平板な石材に線刻や浮彫で様々な画像を表したもの)に、孔雀くじゃくの模様(文様)があったり、キリスト教においては、孔雀くじゃくは「不死の意」を表すとされていました。 続きを読む

組紐(くみひも)に歴史と技法。高麗組(こうらいぐみ)について

組紐くみひもとは、数本から数十本の糸を一束とし、それを幾束か一定方式で斜めに交差させながら紐状に組んだものです。

高麗組こうらいぐみと呼ばれていたものは、刀の下緒さげお(日本刀のさやに装着して用いるひものこと)に多く用いられていた組紐くみひもです。

組紐くみひもの生産は、伊賀上野いがうえのと京都が2大産地として有名でした。 続きを読む