黄土による染色は、植物染料の発達にともなって、次第に衰退していったと考えられますが、日本においても広い地域で黄土を使用した染めが行われていたのではないかと推測されています。
7世紀後半から8世紀後半にかけて編集された、現存する日本最古の歌集である『万葉集』には、黄土を詠ったとされるものが6首あり、大阪の住吉地域での黄土についての記述があります。 続きを読む
黄土による染色は、植物染料の発達にともなって、次第に衰退していったと考えられますが、日本においても広い地域で黄土を使用した染めが行われていたのではないかと推測されています。
7世紀後半から8世紀後半にかけて編集された、現存する日本最古の歌集である『万葉集』には、黄土を詠ったとされるものが6首あり、大阪の住吉地域での黄土についての記述があります。 続きを読む
支子(学名 Gardenia jasminoides)は、あかね科クチナシ属の常緑の低木で、現在は支子ではなく、梔子の字を当てる場合が多いです。
古くから、支子の果実が染色や薬用に使用されてきました。
本記事では、以下、支子と表記します。
支子は、庭園の樹木として植えられ、葉は2枚の葉がつく対生、もしくは3枚の葉が輪生します。
6月〜7月頃に葉腋(葉の付け根)から花柄を出し、白い六片に裂けた筒状花をつけ、2〜3日で黄色く変色しますが、良い香りがします。
果実は、頂部に咢片が残り、熟すと黄赤色になります。 続きを読む
ウコン(鬱金)は古くから鬱金染として、黄色の染料に使用されました。
ウコン(鬱金)はみょうがに似た地下茎で、クルクマとも言います。
日本においては、もともと中国からウコンが移植され、栽培が行われてきました。
漢方薬として、止血剤、尿血、胆道炎等に使われていましたが、食品の黄色づけにも古くから使用されています。 続きを読む
黄金花(学名 Scutellaria baicalensis Georgi)は中国北部からシベリア、モンゴルや朝鮮半島などに分布しているシソ科の多年草です。
7月から8月ごろに枝先に花穂をつけ、青色や紫紅色の唇形花が美しいのが特徴的です。
地中に埋まっている根っこ部分は、外皮が暗褐色ですが、内部は美しい黄色です。
天然染料の多くは、媒染剤の使い分けによって、茶色、灰色、黄色系統の色を染めることができます。
タマネギは、鉄媒染以外、どれも鮮明な黄色系統を染められます。
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黄八丈とは、主に草木染めで染められた黄色・樺色・黒色の三色の糸を使って、さまざまな縞模様を織り出す絹織物のことです。
黄八丈は、広い意味で茶系統の鳶八丈や黒系統の黒八丈を含めた、八丈島で生産された紬を総称しています。
全体的に渋く、味わいのある色合いであるため、絹織物らしい光沢感は抑えられます。
染色の工程で、乾燥のために長い日数を八丈島の強い直射日光にさらすため、堅牢度が良く変色したり退色しづらい特徴があります。
黄八丈は、たくさん使われ、洗われることで、年を経るにつれて、より一層色合いが冴えてくるともいわれたりします。 続きを読む
モチツツジ(学名:Rhododendron macrosepalum)は、ツツジ科ツツジ属の植物で樹高は1m~2mほどに成長します。
名前に「モチ」と付くだけあり、花の外側にある萼や葉などから粘着性のある液体を分泌します。
モチは食べる餅ではなく、「鳥モチ(鳥や昆虫を捕まえるのに使うゴム状の粘着性の物質)」のモチに由来しています。
また、モチツツジ以外にも、ネバネバした様子から「ネバツツジ(粘躑躅)」という別名もあります。
メギ(学名:Berberis thunbergii)は、山地の落葉樹林に生える落葉小低木です。
和名の目木由来としては、枝や根を煎じたものは黄色になり、洗目薬として目の病気に使用されたことから名付けられたとされます。
メギ(目木)の生薬名は小蘗といい、薬用のみならず、染色にも用いられてきました。
黄檗(学名 Phellodendron amurense RUPR.)は日本各地の山地に自生するみかん科の落葉高木です。
幹の外皮は厚く、外皮の内側の内皮が黄色いため、古くから黄色を染める染料に使用されてきました。
飛鳥時代の染織品の中で、緑色系のものの多くは、藍染した上から黄檗で染め重ねたものとされています。
福木(Garcinia subelliptica)は、琉球紅型(びんがた)に使用される沖縄で有名な染料植物の一つです。
フクギの属名(Garcinia)は、フランスの植物学者ガルサン(Laurence Garcin)の名前に由来しています。
日本においては、奄美大島や沖縄、八重山諸島などに分布し、同属の植物も世界中の熱帯や亜熱帯地方に分布しています。
福木の木は硬く、虫害の影響を受けにくいため、建築材に使用されてきました。
また、台風や潮風、火災、干ばつなどの厳しい環境に耐えうる強さを持っているので、沖縄では古くから防風・火が燃え移らないようにする防火を兼ねた生垣や、防潮林などとして道路や沿岸に植えられてきました。
5月〜6月ごろ黄色の花を小さく咲かせ、果実は食用にはなりませんが、球体で直径3センチくらいの大きさで、熟すと黄褐色になり、中に3、4個の種子ができます。