織り」カテゴリーアーカイブ

大和絣(やまとがすり)とは?大和絣の特徴について

大和絣やまとがすりは、木綿の白絣しろがすりとしてその名を知られ、古くは「西の大和絣やまとがすり、東の中野絣(館林絣)」と言われていたほどでした。

室町後期の大永だいえい(1521年〜1528)から天文てんぶん(1532年〜1555年)頃には、すでに日本での木綿栽培が広がってきていたとされており、大和地方(奈良県)においても古くから木綿の織物が織られていた考えられます。
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縞帖(1857年)(安政四年嶋染集帳)

切本帳(きれほんちょう)とは?『平戸長崎オランダ商館日記』に記載されている染織品について

1602年、オランダが「東インド会社」を設立し、インドネシアのジャワを拠点に、みんや日本と交易を開始します。

この頃になってヨーロッパの文明が、島国の日本に影響を与えるようになるのです。

江戸時代に海外との交易拠点となっていた平戸ひらどや長崎にあったオランダ商館歴代館長が記した公務日誌『オランダ商館日記』には、数々の染織品の記載があります。 続きを読む

縞帖(1857年)(安政四年嶋染集帳)

縞帖(縞帳)とは?縞帖の特徴から手紡ぎ糸から紡績糸へ、天然染料から化学染料への変化を読みとる

古く、機織はたおりは各家庭でおこなわれ、もっぱら女性の仕事でした。

縞帖しまちょう(縞帳)とは、自家用で作る織物の参考のために、使い終わった大福帳だいふくちょうの上に縞柄しまがらきれが無数に貼りつけられたものです。

縞柄のきれが貼られた縞帖しまちょうには、年号が記されたものも多く(経年劣化で解読できないものも多い)、貼り付けられた織物の年代を知る手掛かりとなります。

縞帖しまちょうの特徴から、時代の変化もみえてくるのです。

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越後上布(えちごじょうふ)

上布(じょうふ)とは?上布の産地や特徴について

上布じょうふとは、苧麻ちょま(からむし)の糸を用いて平織りにした上質な麻布のこといい、もともとは中布、下布に対して上質な苧麻布を表す言葉として使用されていました。

糸が細く、織りあがった布が薄手であればあるほど上質なものとされ、越後上布(えちごじょうふ)や奈良晒(ならざらし)、近江上布(おうみじょうふ)や能登上布(のとじょうふ)、宮古上布(みやこじょうふ)や八重山上布(やえやまじょうふ)などが良く知られています。

上布じょうふは、主に夏物の着尺地きじゃくじ(大人用の着物1枚を作るのに要する布地)として最高級のものとされ、白生地、紺無地、縞物しまものかすりなどがあります。 続きを読む

正倉院裂(しょうそういんぎれ)とは?正倉院宝物として保存されている裂(布きれ)について

正倉院裂しょうそういんぎれとは、正倉院宝物しょうそういんほうもつとして保存されているきれ(布きれ)のことです。

正倉院裂しょうそういんぎれには、奈良時代の天平勝宝てんぴょうしょうほう年間(749年〜757年)に行われた東大寺大仏開眼供養だいぶつかいげんくように用いられた裂や聖武天皇(701年〜756年)にゆかりのあった裂などがあります。

その大部分は絹と麻でできた織物で、他には羊毛(ウール)を熱や圧力をかけて縮めた毛氈もうせんがあります。 続きを読む

絣(かすり)模様の種類

江戸時代後期から明治、大正、昭和の時代にかけて、庶民の間でとりわけ親しまれた織物にかすりがあります。

かすりとは、経糸か緯糸のどちらか、あるいは経糸と緯糸の一定部分を、糸や布などで括ったり木の板で挟むことによって防染して染めた糸を使用し、織り文様を表現したものです。

織物の組織としては、絣は平織りと繻子織りしゅすおりにみられます。 続きを読む

シャム更紗とは?暹羅(タイ)から輸入された更紗について

タイの現在の正式国名は、タイ王国(ラーチャ・アナチャク・タイ The Kingdom of Thailand)ですが、20世紀初頭までの国名は「シャム」でした。

「シャム」(syama)は、サンスクリット語由来とされますが、他国からのいわば他称に基づくものであったため、1938年に近代国家へと進んでいくなかでタイ族の国民国家として「タイ」に改称されたのです。

日本では「暹羅」と書かれシャムと呼び、14世紀頃から600年~700年ほど続いた国の呼び名でした。 続きを読む

紙で織られた紙布(しふ)。紙布(しふ)の製造方法や種類について

紙布しふは、江戸時代頃から、全国の紙の産地で織られていたようで、特に有名だったのが宮城県の白石しろいし市です。

白石しろいしは、仙台の仙台藩せんだいはん伊達藩だてはん)の統治下にあった城下町です。

この地方では、東北という寒い地域でもあったため木綿の栽培に適さず、藩の財政上の理由から綿の買い入れも禁止されていました。
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コプト織とは?コプト織の特徴や歴史について

コプト織(Coptic textiles)とは、3世紀から8世紀にかけて、エジプトでコプト人によって製作された平織りの織物のことです。

いわゆるつづれ織りを主とした技法の織物で、コプト織は、経糸に麻を使い、緯糸に主にウールを用いて模様部分を表現しています。

Textile Fragment MET DP167103

コプト織,Metropolitan Museum of Art, CC0, via Wikimedia Commons,Link

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