織り」カテゴリーアーカイブ

青く染められた葛布 岡村吉右衛門(著)『庶民の染織』

葛布とは?葛布の特徴や歴史について

くずは(学名Pueraria lobata. )は、日本全土で見られるマメ科の多年草で山地や野原など、至る所に生育しています。

長いつるを伸ばして他の草木を覆い隠すので、厄介な雑草として扱われることもありますが、葉は牛の飼料になり、根からは上質なデンプンである葛粉くずこが取れたりと、様々な分野で活用されてきた有用植物です。
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芭蕉布,岡村吉右衛門(著)『庶民の染織』

芭蕉布とは?芭蕉布の特徴や歴史について

芭蕉布ばしょうふは、沖縄で織られてきた織物で、戦前までは沖縄全域で生産されていました。

繊維を採取する芭蕉(糸芭蕉いとばしょう)は、和名でリュウキュウバショウといい、一見するとくきに見える葉柄の部分から繊維を採る葉脈繊維ようみゃくせんいです。 続きを読む

伝説の綿織物、ダッカ・モスリン

今では伝説として語り継がれていますが、現在のバングラデシュの首都ダッカでは、高度な技術によってつくられたダッカ・モスリンという伝説の綿織物がありました。

現存するものは、ロンドンのヴィクトリア・アルバート博物館で保存されているようです。

バングラディッシュは、インドから独立した国なので、イギリスが植民地統治をしている以前は、インドの綿業の中心地であり、その生産量や染色技術においてももっとも世界で進んでいたと言われます。

当時はもちろん機械がなく手工業だったので、糸は手紡てつむぎされていましたが、その糸が非常に細く、それを使用して非常に薄い綿織物を織っていました。

インドで手紡てつむぎをイメージすると、ガンジーが糸車を回している有名な写真を思い起こしますが、当時細い糸を紡ぐときも、早朝に霧の立ち込める川のほとりで糸車を回し、指先に油をつけながら紡いだといわれています。

早朝の霧、そして川の近くで湿気の多い場所が、糸を紡ぐのに適していたのです。 続きを読む

【織物の三原組織】平織り、綾織り、朱子織り。三原組織における変化組織の特徴について

織物には基本とされる構造があり、ひら織り、あや織り、朱子織しゅすおりは、三原組織さんげんそしきと呼ばれています。

織りの三原組織さんげんそしきの基本をベースにして、そこから変化を加えることでさまざま特徴的な模様を出すことができます。 続きを読む

丹波布とは?柳宗悦に見出され、木綿を主体に絹が緯糸に使われた交織布

丹波布たんばぬのと呼ばれ、親しまれている織物があります。

丹波布たんばぬのとは、現在の兵庫県氷上郡青垣町佐治ひかみぐんあおがきちょうさじ地方を中心に、幕末から明治中頃にかけてのみ盛んに織られました。

木綿を主体に、緯糸に絹糸を織り込んだもので、産地の佐治では「縞貫しまぬき」と呼ばれ、他の織物とは区別されながら発達していきました。 続きを読む

江戸っ子に好まれた川越唐桟

江戸っ子とは?「いき」な江戸っ子に好まれた川越唐桟について

江戸っ子という言葉が、文献にみえはじめるのは、18世紀後半の明和年間ごろ(1764年〜1771年)とされます。

江戸っ子とは?

江戸っ子に関する文献を調査した歴史学者である西山松之助にしやままつのすけは、彼の著書『江戸っ子』にて、江戸っ子には「自称江戸っ子」と「主流江戸っ子」の二種があり、二重構造をもっていると述べています。 続きを読む

縞帖(1857年)(安政四年嶋染集帳)

縞帖とは?縞帖の特徴から時代の変化を読み解く(手紡ぎ糸から紡績糸へ、天然染料から化学染料へ)

古く、機織はたおりは各家庭でおこなわれ、もっぱら女性の仕事でした。

縞帖しまちょうとは、自家用で作る織物の参考のために、使い終わった大福帳だいふくちょうの上に縞柄しまがらきれが無数に貼りつけられたものです。

縞柄のきれが貼られた縞帖しまちょうには、年号が記されたものも多く(経年劣化で解読できないものも多い)、貼り付けられた織物の年代を知る手掛かりとなります。

縞帖の特徴から、時代の変化もみえてくるのです。

縞帖(1857年)「安政四年嶋染集帳」

縞帖(1857年)「安政四年嶋染集帳」

縞帖(1857年)「安政四年嶋染集帳」

縞帖(1857年)「安政四年嶋染集帳」

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江戸っ子に好まれた川越唐桟

縞柄と粋。江戸時代に、町人の間で流行した縞の文様の由来とは

江戸時代後期に、町人の間で好まれた文様が縞です。

縞は英語でstripe(ストライプ)ですが、柄を表現するのには、シンプルであるがゆえに、色糸、柄の大小や間隔の組み合わせによって無限大の表現方法があると言えます。

江戸っ子に好まれた川越唐桟『川越唐桟縞帳』

江戸っ子に好まれた川越唐桟『川越唐桟縞帳』

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ラペット織り、ドビー織り、ジャガード織りとは?紋織りの種類について

平織り、あや織り、朱子しゅす織りなどの異なる組織や、異なる色糸を組み合わせることによってできる織物の総称として、もん織りという言葉が使われます。

もん織りのなかのラペット織り、ドビー織り、ジャガード織りについて紹介します。
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沖縄の絣織物の技法。琉球絣の歴史

沖縄における絣織物(琉球絣りゅうきゅうかすり)には、独特な幾何学文様きかがくもんようがあります。

線で構成したこれらの絣柄は、18世紀後半の御絵図帳みえずちょうで高度に完成したと考えられます。

御絵図帳みえずちょう」とは、琉球王国りゅうきゅうおうこくにおける首里王府しゅりおうふの絵師たちによってまとめられた絣の図案集です。

御絵図帳みえずちょう」とは、琉球絣りゅうきゅうかすりが貴重な貿易商品だった時代、王国に収める貢納布こうのうふを織らせるために模様や染色などを細かく指定したものです。 続きを読む