織り」カテゴリーアーカイブ

平織りされた藤布(ふじぬの)

【織物の三原組織】平織り(ひらおり)、綾織り(あやおり)、朱子織り(しゅすおり)。三原組織における変化組織の特徴について

織物には基本とされる構造があり、ひら織り、あや織り、朱子織しゅすおりは、三原組織さんげんそしきと呼ばれています。

織りの三原組織さんげんそしきの基本をベースにして、そこから変化を加えることでさまざま特徴的な模様を出すことができます。 続きを読む

葛布(くずふ)

葛布(くずふ)とは?葛布の特徴や技法、歴史について

くずは(学名Pueraria lobata. )は、日本全土で見られるマメ科の多年草で山地や野原など、至る所に生育しています。

長いつるを伸ばして他の草木を覆い隠すので、厄介な雑草として扱われることもありますが、葉は牛の飼料になり、根からは上質なデンプンである葛粉くずこが取れたりと、様々な分野で活用されてきた有用植物です。
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藤布(ふじぬの)

太布(たふ)とは?楮(こうぞ)、藤(ふじ)、科(しな)、穀(かじ)、大麻(おおあさ)などの繊維から作られる布

太布たふとは、古代の栲布たくぬの楮布こうぞふ)のように、こうぞかじの繊維を糸にして織った布を表す言葉とされます。

後にふじ大麻おおあさしななど、雑繊維で織る粗布そふの類も含めて太布たふと呼ぶようになりました。 続きを読む

科布(しなふ)(榀布)

科布(しなふ)とは?科布(榀布)の生産工程について

原始古代布といわれるものの一つに科布しなふ(榀布)があります。

科布しなふは、東北地方の各地で昭和初期ごろまで盛んに織られていました。

藤蔓ふじつるで作る藤布ふじぬのくづつるで作る葛布くずふなどと同じように1000年以上の歴史をもつ織物といわれています。

科布しなふの原料は木の皮であり、荒々しい肌ざわりですが、歴史的に東北地方の人々は男女問わず科布しなふの仕事着を用いることが多かったのです。 続きを読む

大和絣(やまとがすり)とは?大和絣の特徴について

大和絣やまとがすりは、木綿の白絣しろがすりとしてその名を知られ、古くは「西の大和絣やまとがすり、東の中野絣(館林絣)」と言われていたほどでした。

室町後期の大永だいえい(1521年〜1528)から天文てんぶん(1532年〜1555年)頃には、すでに日本での木綿栽培が広がってきていたとされており、大和地方(奈良県)においても古くから木綿の織物が織られていた考えられます。
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縞帖(1857年)(安政四年嶋染集帳)

切本帳(きれほんちょう)とは?『平戸長崎オランダ商館日記』に記載されている染織品について

1602年、オランダが「東インド会社」を設立し、インドネシアのジャワを拠点に、みんや日本と交易を開始します。

この頃になってヨーロッパの文明が、島国の日本に影響を与えるようになるのです。

江戸時代に海外との交易拠点となっていた平戸ひらどや長崎にあったオランダ商館歴代館長が記した公務日誌『オランダ商館日記』には、数々の染織品の記載があります。 続きを読む

縞帖(1857年)(安政四年嶋染集帳)

縞帖(縞帳)とは?縞帖(しまちょう)の特徴から手紡ぎ糸から紡績糸へ、天然染料から化学染料への変化を読みとる

古く、機織はたおりは各家庭でおこなわれ、もっぱら女性の仕事でした。

縞帖しまちょう(縞帳)とは、自家用で作る織物の参考のために、使い終わった大福帳だいふくちょうの上に縞柄しまがらきれが無数に貼りつけられたものです。

縞柄のきれが貼られた縞帖しまちょうには、年号が記されたものも多く(経年劣化で解読できないものも多い)、貼り付けられた織物の年代を知る手掛かりとなります。

縞帖しまちょうの特徴から、時代の変化もみえてくるのです。

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越後上布(えちごじょうふ)

上布(じょうふ)とは?上布の産地や特徴について

上布じょうふとは、苧麻ちょま(からむし)の糸を用いて平織りにした上質な麻布のこといい、もともとは中布、下布に対して上質な苧麻布を表す言葉として使用されていました。

糸が細く、織りあがった布が薄手であればあるほど上質なものとされ、越後上布(えちごじょうふ)や奈良晒(ならざらし)、近江上布(おうみじょうふ)や能登上布(のとじょうふ)、宮古上布(みやこじょうふ)や八重山上布(やえやまじょうふ)などが良く知られています。

上布じょうふは、主に夏物の着尺地きじゃくじ(大人用の着物1枚を作るのに要する布地)として最高級のものとされ、白生地、紺無地、縞物しまものかすりなどがあります。 続きを読む

正倉院裂(しょうそういんぎれ)とは?正倉院宝物として保存されている裂(布きれ)について

正倉院裂しょうそういんぎれとは、正倉院宝物しょうそういんほうもつとして保存されているきれ(布きれ)のことです。

正倉院裂しょうそういんぎれには、奈良時代の天平勝宝てんぴょうしょうほう年間(749年〜757年)に行われた東大寺大仏開眼供養だいぶつかいげんくように用いられた裂や聖武天皇(701年〜756年)にゆかりのあった裂などがあります。

その大部分は絹と麻でできた織物で、他には羊毛(ウール)を熱や圧力をかけて縮めた毛氈もうせんがあります。 続きを読む