デザイン」カテゴリーアーカイブ

わび(侘)、幽玄(ゆうげん)とは何か?和歌や、能、連歌における中世の美意識について。

「わび茶」、「侘び寂び(わびさび)」などという言葉がありますが、「わび」という言葉はどのような意味なのでしょうか?

芳賀幸四郎氏の『わび茶の研究』では、「わび」の美意識の形成を古代の歌論にさかのぼって詳しく論じています。その美意識は、大きく2段階に分けて考えられるようです。 続きを読む

一流の茶人・茶の湯名人の条件とは何か?新しい発想で茶の湯を創造する力が名人の条件であった。

一流茶人の条件とは、古くはどのようなものだったのでしょうか。

主に中国から伝来した陶磁器である唐物を持ち、目利きがあり、茶の湯が上手であるというのは、名人の条件として考えられました。

また、茶の湯の名人である大事な条件として、新しい発想で茶の湯を創造する力が挙げられていたのです。 続きを読む

デザインという概念・思想のはじまり。ラスキンやモリスのものづくりに対する着眼点や美意識が社会に影響を与えていった。

デザインという概念の発生は、社会思想家のジョン・ラスキンや思想家であり芸術運動家であったウィリアム・モリスの思想がその源流として考えられています。

19世紀半ば、イギリスで産業革命がおこります。綿織物の製造における紡績機の開発、製鉄業の成長、蒸気機関の開発による動力源の改革、蒸気船や鉄道が発明されたことによる交通革命等、人の手ではなく、産業機械の発明と発展が大きく経済を動かし始めたのです。

初期の機械生産は、いいかげんで大ざっぱなものづくりであり、品質的には人の手が生み出すものと比べると、非常に劣るものでした。

そんな中、異常な速度で「下手なもの」が量産されていき、伝統的に手仕事が育んできた生活や文化、美意識をも奪っていくような機械生産に、意義を唱える人々も少なくありませんでした。

その代表的な人物が、ジョン・ラスキンとウィリアム・モリスです。 続きを読む

成熟した文化のたたずまいを再創造する。原研哉氏の『デザインのデザイン』

本書を読んでデザインというものが少しわからなくなったとしても、それは以前よりもデザインに対する認識が後退したわけではない。それはデザインの世界の奥行きに一歩深く入り込んだ証拠なのである。

グラフィックデザイナーで、武蔵野美術大学教授を務める原研哉氏の著書で2003年に初版が発売された『デザインのデザイン』のまえがきに、上記の言葉があります。

約20年前に出版された本になりますが、その内容はまったく陳腐化しておらず、小手先の「デザイン」ではなく、デザインとはなにか?を考えさせられる本になっています。 続きを読む

発酵とは何か?

発酵とは何か?

一般的には微生物の持っている機能を広く物質生産に応用して、人間の有益なものに利用することを発酵と呼んでいます。

英語で発酵は「fermentation」ですが、ラテン語の「湧く」という意味の「fervere」から生まれた言葉です。 続きを読む

真の美はただ「不完全」を心の中に完成する人によってのみ見いだされる。東洋精神を西欧に伝えた名著『茶の本』。

岡倉天心(覚三)が、日本や東洋の文化を欧米人に伝えるために英語で書いた本が1906年に出版された『The Book of tea(茶の本)』です。

日本人の美意識について書かれた本書の導入部分は、日本や東洋の文化に対する欧米人の認識が間違っていたと岡倉さんは指摘しています。

タイトルは『茶の本』ですが、単に茶に関することだけではなく、茶道、禅、道教などの思想を通して、芸術について論じられています。 続きを読む

デザインとは、何か?

デザインとは、何か?

ウィキペディア(Wikipedia)には、デザインとは「審美性を根源にもつ計画的行為の全般を指すものである。」とありますが、上記の質問に対する答えは、100人に聞けば100通りの答えが返ってくると思います。

世界的なベストセラーになった『エクセレント・カンパニー 』や数々の書籍を書いてきた経営コンサルタントのトム・ピーターズが2005年に出版した『トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂。』には、彼が出会ってきた著名な人々の考える「デザインとは」についての記述があります。

デザインを考える上では、先人たちの言葉は非常に参考になり、イメージをふくらませる手助けとなります。 続きを読む

消費者の価値観が多様化することで、ものづくりはどう変わるか。『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』

これまでの日本においては、フォロアー層と呼ばれる「自らがこれといった価値観を持たず、世の中のトレンドに流されやすい中間層」が消費市場において大きな割合を占めていました。

ただ、消費社会が成熟化し、インターネットとスマホの普及にともない、人々の消費における価値観の多様化がますます進んでいます。

消費における価値観は、人それぞれ違いますが、大きく見ると8つに分類できるそうです。『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』によると、世界中のほとんどの国や地域で、だいたい当てはまる分類であるとされています。

本書を引用しながら、消費における価値観を下記に分類しています。 続きを読む

捺染(プリント)とは。型紙やシルクスクリーン、捺染ロールを使って模様を染める。

捺染(プリント)とは、模様を抜いた型紙やシルクスクリーン、彫刻をいれたローラーを使って、染料を混ぜた糊料を布地にプリントして模様を出すことを表した言葉です。

合成染料に発明によって、初めて可能になった染色技法であり、日本においては合成染料が最初に輸入されたのは明治3年(1870年)ですが、実際に捺染が始まったのは、明治17年頃と考えられています。

今回は捺染に使う道具や染め方について、取り上げてみます。 続きを読む

編むとは何か?ニット製品の特徴と特性を理解するとおもしろい。

私たちの生活のなかに、ニット製品は当たり前のように溶け込んでいます。

手編みのマフラーを編んだことがあるような人は、その原理がよくわかるかと思いますが、馴染みのない人にとっては、そもそもどうやって編むのかを理解するのは難しかったりします。

そもそも編むとはどういうことなのか、また織物と比較してどのような特徴があるのでしょうか。 続きを読む