投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

蓼藍,タデアイ

青縞(あおじま)と呼ばれる藍染された布。埼玉における藍の栽培と藍染について

青縞あおじまと呼ばれる藍染された布は、埼玉県の北東部に位置する加須かぞ市や羽生はにゅう市を中心に盛んに織られていた生地です。

青縞あおじまと呼ばれる理由としては、綿糸めんしを藍染し、染め上がった糸を織ると、染めムラが独特の縞模様に見えることからその名前があります。

青縞あおじまは、仕事着である股引ももひき脚絆きゃはん足袋たびなどに使用され、江戸時代は主に農家の副業として、明治以降は織物をつくる事業家(機業家きぎょうか)によって、生産、発展してきました。 続きを読む

三纈(さんけち)とは何か?古代の染色技法である纐纈(こうけち)、夾纈(きょうけち)、臈纈(ろうけち)について

三纈さんけちとは、日本で古くから行われてきた三種類の染色技法をまとめて表す言葉であり、絞り染めの纐纈、こうけち板締めの夾纈きょうけち、ろうけつ染めの臈纈ろうけちのことを意味します。

上代じょうだい三纈さんけち」「天平てんぴょう三纈さんけち」などと称し、三纈さんけちの染色技法が、奈良時代には(710年〜794年)今の中国からすでに伝わっていました。

世界文化遺産にも指定され、多数の美術工芸品を収蔵していた正倉院しょうそういんに、三纈さんけちの技術を示す品々が、現在も保管されています。

Shosin-shouso

正倉院, あずきごはん, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons,Link

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蓼藍,タデアイ

草木染め・植物染色の薬用効果と抗菌作用。祈念と薬用効果を求めて、薬草を使った染色が古代に始まる

人類は、古くから自然の植物から色を獲得して、自ら身にまとう布に対して染色をおこってきました。

古代の人々が、まずは目の前にある、色のついた土や植物から色を獲得してきたというのは容易に想像ができます。

ただ、古代に始まった染色は色をつけるためだけのものではありませんでした。

もともとは、自分の身を守るための薬用効果を求めてはじまったとされているのです。

祈念と薬用効果を求めて、布を染色

日本の古代の人々は、草木が成長し、花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊(木霊)の力と信じ、草木で衣服を染め浸けていました。

染色の起源は、草木の葉っぱや花などを擦りつけて染める「摺染すりぞめ」でした。日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染しんせん」の技術が中国から伝わってきてからです。

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辻が花とは何か?辻が花の特徴と歴史について

辻が花つじがはなは、室町時代(1336年〜1573年)から安土桃山時代(1573年〜1603年)にかけて流行した文様染めで、日本の染め物を代表するものであり、絞り染めの頂点ともいえます。

辻が花つじがはな」とは、室町から安土桃山時代の小袖こそで胴服どうぶくなどにみられるい絞りを中心に、描絵かきえや色差し、摺箔すりはく、刺繍などを加えて独特の模様を表す染色技法を主に表しています。

室町時代末期から江戸時代初期にかけてごく短いあいだにのみ製作が行われていたため「幻の辻が花つじがはな」といわれることもあるほどです。 続きを読む

日本における絹(シルク)の歴史。人間が蚕と紡いできた歴史とこれから

シルクの起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝こうていの妃である、西稜せいりょうまゆから糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕と製糸の技術を教えたことから始まったとされています。

殷代安陽期いんだいあんようき(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨こうこつ文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝いんおうちょう時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕が行われていたと考えられているのです。 続きを読む

日本人の色彩と染色における歴史。日本の伝統色と色名について

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は歴史や色の豊富さなど、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。

古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていました。

古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に木霊こだまと呼ばれ、一番身近に存在する和霊にぎたまとされていたのです。

本記事は、日本人の色彩と染色における歴史の流れと、伝統的な色や色名についてです。 続きを読む

野蚕シルクの種類と特徴、家蚕シルクとの違いについて

シルクの素材を扱う上で、「家蚕かさん」、「野蚕やさん」という言葉に出会います。

野生であったものを人工的に繁殖させたり、品種改良しながら飼育されたが「家蚕かさん」と呼ばれます。

野生に生息していたり、野生に近い状態のマユをつくる昆虫類を「野生絹糸虫やせいけんしちゅう」と総称し、その中で特に実用的なマユをつくる品種を「野蚕やさん」と呼んでいます。 続きを読む

武士、侍(サムライ)はどのような衣服を着ていたのか?武士の装いの歴史について

武士、侍はどのような衣服を着ていたのか?

その歴史は、律令制りつりょうせいの崩壊を象徴する承平天慶しょうへいてんぎょうの乱(931年〜947年)が起こった平安時代中期から、慶応3年(1867年)大政奉還によって武士の公服として着用されてきた上下かみしもが撤廃されるまでの約10世紀にわたります。

Group-Samurai-Scholars-Nagasaki-1864-Ueno-Hikoma

Group-Samurai-Scholars,Ueno Hikoma (1838-1904), Public domain, via Wikimedia Commons,Link

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綿とポリエステルを混紡した黄金ブレンド。ポリエステル65%綿35%の素材的特徴、長所と短所について

綿は、さまざまな用途で使われています。

その特徴としては、肌や手に触れる用途に強く、その肌触りの良さは言わずもがな、繊維の中でも優れたものがあります。

肌に触れる下着やインナー、タオルなど実用的に使える場面は数知れません。

他の素材と比較すると、強度に関しては化学繊維のポリエステルやナイロンより劣り、シワになりやすかったり縮みやすいという特徴もあります。 続きを読む

井桁模様,井桁絣

絣(かすり)の歴史。久留米絣の技法と日本の庶民に愛された絣文様について

江戸時代後期から明治、大正、昭和の時代にかけて、庶民の間でとりわけ親しまれた織物に絣があります。

絣とは、経糸か緯糸のどちらか、あるいは経糸と緯糸の一定部分を、糸や布などで括ったり木の板で挟むことによって防染して染めた糸を使用し、織り文様を表現したものです。

織物の組織としては、絣は平織りと繻子織りしゅすおりにみられます。

絣,井桁絣,型染と併用した経緯絣

井桁いげた絣,型染と併用した経緯絣

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