長板中形は、小紋や形友禅などと同じく、日本に古くからある型染めの一種です。
3間半(約6メートル36センチ)にもなる一枚板である「長板」に生地を広げ、中形と呼ばれる、大紋と小紋の中間ぐらい柄の大きさに彫られた型紙を使用して型付けを行うため、長板中形という名前がありました。
階級制度の厳しい封建社会のため、庶民は武士の目を意識して、大紋と小紋の中間の型を使用して、木綿のきものを染めたのが始まりと考えられます。

伊勢型紙,Metropolitan Museum of Art, CC0, via Wikimedia Commons,Link
長板中形の技術は、江戸時代中頃から浴衣地の型付け・藍染に多用されたため、中形といえば浴衣の代名詞のようになっていました。
埼玉で「長板中形」が盛んになった理由として、中川・綾瀬川などの水量の豊富な河川に恵まれていたことに加えて、何より大消費地であった江戸、東京の隣接地であったことが挙げられます。
江戸の需要に応える形で、多くの人々が型付け職人として仕事に従事していました。
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