ものづくり」カテゴリーアーカイブ

日本における刺繍の歴史。奈良、平安、鎌倉、室町、江戸、それぞれの時代における刺繍の特徴。

針と糸があれば、布を自由に装飾できる刺繍は、世界中で古くから行われてきました。

中国では、殷代(紀元前17世紀〜紀元前1046年)の青銅器に付着していた絹にひし形の文様が刺繍された例が見つかっています。

日本においては、中国から発達した刺繍の影響を受けながらも、織りや染めと混ざりあいながら、日本的な美しさが数多く生まれてきました。 続きを読む

「用と美」と「堅牢」。生産者は5年、10年先の将来を見据えたものづくりへ。消費者は、消費に対する価値観をアップデートする必要がある。

「用と美」という言葉があります。

この言葉を聞くと、「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦(1889年〜1961年)を思い浮かべる方も多くいるのではないでしょうか。

名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具を「民藝」と名づけ、民藝には美術品に負けない美しさがあると唱え、美は生活の中にあると語りました。

人々の暮らしの営みのなかから生まれた民藝には、「用」にきちんとひも付いた「美」が宿っている。豪華な装飾がほどこされ、観賞用の作品が主流となってきていた工芸の世界において、あたらしい美の価値観やモノの捉え方を提示したのです。 続きを読む

摺り染めと括り染め。絞りによる染物「ゆはた」「ゆふ」、絞り染めを意味する「ゆふせん」

日本の古代の人々は、草木が成長し花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊(木霊)の力であると信じ、草木からとれる自然の色で、衣服を染めつけていました。

強い精霊の宿るとされる草木は、薬用として使用されていました。薬草に宿る霊能が、病気という悪霊によって引きおこされた病状や苦痛を人体から取り除き、悪霊をしりぞける作用があるとされていたのです。

日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染」(しんせん)の技術が中国から伝わってきてからです。

もっとも原始的な染色方法として、植物を生地に直接こすりつけて色を染め付ける「摺染」(すりぞめ)です。

日本古代の色彩と染』には、摺り染めについて、下記のように記述があります。 続きを読む

花森安治の灯をともす言葉。暮らし、生き方、美しさ、創ること、書くことについて。

生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者である花森安治(はなもりやすじ)。

彼は、「暮しの手帖」の取材、執筆からデザイン、表紙にいたるまで自ら手がけていました。1997年に心筋梗塞でこの世を去るまで、さまざまな才能を発揮しづづけた、稀有な編集者です。

2016年、NHKの朝の連続テレビ小説、『とと姉ちゃん』では、暮しの手帖社の創業者である大橋鎭子(おおはししずこ)との雑誌出版の物語がモチーフにとされていたというのが記憶に新しいです。

灯をともす言葉』という書籍には、より良い生活や暮らしについて考えつづけた彼が、残してきた言葉の数々が載っています。

個人的に好きな言葉がたくさんありましたので、そのなかの一部を紹介したいと思います。 続きを読む

「何のためにものづくりをするのか」という意義目標を設定することの大切さ。

働くということにおいては、人と人のやりとりがまったく生じないというのはほぼありえません。

組織で働くということ、どうすれば人と人とがスムーズにやりとりできるのかなど、今も昔も変わらず話題になることではないでしょうか。

麻野耕司さん著『THE TEAM 5つの法則 』のなかで、チームとして働くための目標設定の仕方として、意義目標をたてることの大切さを説いています。 続きを読む

効率化によって、非効率なことが注目される時代。経済発展が人々を豊かにするイメージが崩壊した先にあるのは。

哲学者の内山節さんの著書で、『新・幸福論「近現代」の次に来るもの』があります。

本書のなかでは、「経済発展が人々を豊かにしていく」というイメージを私たちは持てなくなってきたと著者の内山さんは指摘します。

以下、『新・幸福論「近現代」の次に来るもの』からの引用です。 続きを読む

信念や哲学を持ったものづくりでないと、それはただの量産品になる。

ものづくりと一口にいっても、世の中にはさまざまなものづくりがあります。

低価格で、大量にものをつくるのであれば、機械に頼ったものづくりになります。いわゆる量産品ですが、これがものづくり産業の大部分を占めています。

一方で、価格は高いし、数をつくれないものづくりもあります。それは、人の手作業が必要となるものづくりです。

価格と生産量において機械には太刀打ちできない、後者のものづくりの利点はなんでしょうか。

個人的には、手作業であるからこその非効率の価値があると考えています。 続きを読む

不器用で下手な素人のものづくりには、価値がある。ものづくりの本質は、心でつくること。

初版が1993年に発行された岡本太郎さん著『自分の中に毒を持て』は、人生に大切だと思えるエッセンスがたくさん詰まった本です。

岡本さんは芸術家でありましたが、「ものづくり」に関しても、本書にて言及していました。

そこに書かれていることが、ものづくりに関わる人でも、そうでない人にとっても示唆に富むものに感じました。 続きを読む

顧客に愛を届け、愛を受け取る。自動車部品メーカーFIVIがものづくり企業として存在する理由。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』のなかで、組織のマネジメントの成功例として、FAVIというフランスの自動車部品メーカーが登場します。

ABOUT FAVI :FAVIホームページ

そのFIVIには、組織が存在する根本的な目的が二つあるそうです。一つ目が、「職の機会が少ない北部フランスの田舎町アランクールに、十分な雇用を生み出すこと」。

二つ目が、「顧客に愛を届け、愛を受け取ること」だそうです。 続きを読む

ある一つの言葉から、ものづくりが始まる。『言葉の服 おしゃれと気づきの哲学』

ゼロから何かものをつくるとき、どのような過程を経てデザインが決まり、ものづくりがされているのか。

例えば、「好き勝手に今作りたいものを作ってください」と人からお願いされたらどうでしょうか?

その時は、きっと頭の中から作りたいもののイメージやアイデアを引っ張り出してきたり、写真を参考にしたり、実際に現物を見てみたりなどして、ものづくりをすると思います。それが、一般的なものづくりの始まりでしょう。

ものづくりが始まりが人それぞれ違うからこそ、今世の中に出ているものにはそれぞれ個性があるともいえます。商売におけるものづくりの面から言うとその個性は、他社との差別化となり、強みになるのです。

ただ、そうはいっても今の時代、個性や差別化を出すというのは非常に難しくなっています。画像を拾ってくれば形を真似することなど容易ですし、それがインターネットのおかげで世界規模でできてしまいます。

そんな、ものづくりで個性を出していくのがますます難しくなっている時代において、上記で述べた、ものづくりが始まる過程において、こだわりと個性を持ったアパレルブランドがあるのです。 続きを読む