投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

一陳糊(一珍糊)を使用した一陳染め(いっちんぞめ)の技法。 一陳染めの語源や歴史について

一陳いっちん(一珍)とは、江戸時代から伝わる糊防染のりぼうせんの一つです。

一陳糊(一珍糊)を使用した一陳染め(いっちんぞめ)は、手描き友禅に用いられる糸目糊いとめのりとも、板場友禅に用いる写しの色糊とも、また長板中型や紅型、その他の型染めに用いる防染糊とも違う、特徴的な糊を使う技法です。

貞享じょうきょう4年(1687年)刊の『雛かた』(源氏ひながた)の下巻に、一陳(一珍)についての記載があります。

これについて、後藤捷一ごとうしょういち氏は、「一珍糊いっちんのりを使って模様を染めること。一珍糊とは小麦粉と消石灰の混合物を布海苔ふのりで練り合わせたもので、この糊で型付けし乾燥した後、色差しを行ない、乾燥後布の両耳を斜に引いて糊をかき落とすもので、一名き落し糊ともいい、水洗いが不要である」と指摘しています。 続きを読む

縞帖(1857年)(安政四年嶋染集帳)

縞帖(縞帳)とは?縞帖の特徴から手紡ぎ糸から紡績糸へ、天然染料から化学染料への変化を読みとる

古く、機織はたおりは各家庭でおこなわれ、もっぱら女性の仕事でした。

縞帖しまちょう(縞帳)とは、自家用で作る織物の参考のために、使い終わった大福帳だいふくちょうの上に縞柄しまがらきれが無数に貼りつけられたものです。

縞柄のきれが貼られた縞帖しまちょうには、年号が記されたものも多く(経年劣化で解読できないものも多い)、貼り付けられた織物の年代を知る手掛かりとなります。

縞帖しまちょうの特徴から、時代の変化もみえてくるのです。

続きを読む

紋付(もんつき)の紋の起源と歴史。武家、公家、町人にとっての家紋の役割や意味について

もんというと、基本的に「家紋かもん」を表し、代々その家に伝わる家の印として、家系や個人を識別し、その地位を表すために使われてきました。

紋には、正式の紋と略式の紋があり、略式の紋は正式の紋の一部であったり、全く別の簡単な図柄を使うこともあります。

紋はもともと武家の男子に用いられていましたが、江戸時代中期以降に、武家の女子にも使い始められ、彼女たちの小袖の背中と両袖に1つずつ染め抜かれるようになりました。 続きを読む

顔料を定着させる方法。豆汁(ごじる)、膠(にかわ)、蜜蝋(みつろう)などの膠着剤(こうちゃくざい)について

顔料は、科学的に染め付くのではなく、物理的に染めつけることで色が定着します。

顔料は、水に溶けない不溶性のため、膠着剤こうちゃくざいと呼ばれる顔料を染める対象物に付着されるための助剤が必要になるのです。
続きを読む

染織におけるタペストリー(Tapestry)の特徴について

タペストリーは、模様(文様)に応じて緯糸を下絵にしたがって織り上げた綴織つづれおりの一種です。

綴織つづれおりは、織りたい図柄の下絵を、つづれ機に張った経糸の下にあてがいながら、平織の組織で経糸に地緯糸じぬきいと絵緯糸えぬきいとを織り込み、図柄を織り表していきます。

タペストリーは、古代ローマ時代から建築や宮殿を飾ったといわれ、中世以後、フランスのフランドルを中心として発達していきました。 続きを読む

染色・草木染めにおける灰汁(あく)の効用と作り方。木灰から生まれる灰汁の成分は何か?

木材やわらの灰に水や熱湯を加えてかき混ぜ、一晩経つと灰が沈殿ちんでんしますが、その上澄うわずみ液が灰汁あくと呼ばれるアルカリ性の液体になります。

灰汁あくは、非常に古くから染色の分野で活用されてきました。

染め以外の分野でも、古くは世界中で洗濯用の「洗剤」として広く使われていたり、日本ではお酒に混ぜてアルカリ性にすることで防腐ぼうふや色つけ効果を求めたり、灰汁あくをつくった後に残った灰は焼き物の製造などに活用されてきました。

普通に生活していても、灰汁あくというものにふれる機会はありませんが、現代においても灰汁あくが活用されている分野があるのです。 続きを読む

染色・草木染めにおけるタマネギ(玉ねぎ)の皮

タマネギ(玉ねぎ)を食用として使用する際に、その外側の薄くてカラカラになった茶色の表皮は取り去ってしまいますが、その皮を利用して染色をすることができます。

ヨーロッパでは早く知られていたようですが、日本では昭和の初め頃に、染織文化研究者であった上村六郎うえむらろくろう(1894年〜1991年)氏によってペルシャのカーペットの染色を調べてその染色を知り、雑誌『染織』にて発表したのが最初とされます。

タマネギ(玉ねぎ)の皮を使用すると、ミョウバンを媒染に使用すると黄色、石灰で茶色、鉄媒染で灰みがかった青緑色(沈香茶とのちゃ)や青みを帯びた茶褐色を染めることができます。