投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

編み物(ニッティング)の歴史。日本とヨーロッパにおける編み物について

編み物技術の起源としては、はっきりとしたものはありませんが、編み物(ニッティング)は、およそ3000年前に、アラビア半島に住む遊牧民によって、彼らが自ら率いる羊や山羊の毛を使って行われていたとも考えられす。

編み物は、アラビアの商人や船乗りによって、徐々に他国に伝わっていき、編み手は旅する時に、編針と糸を持参して、編みながら立ち寄った港の人々に技術を伝えたとされます。

ただ、歴史的に参考になるような品々や資料は、ほとんど残ってない状況です。

現存する最古の編み物に遺品とされるものは、11世紀後半から12世紀前半ごろに作られたとされ、エジプトで発掘されたくつ下の一部です。

この時期にはすでに編み物が技術的に発達していたことが、うかがい知れるのです。
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日本における化粧の色合いと歴史。古典的な赤く塗る化粧と、白く塗る化粧に使用された化粧料の素材について

化粧の原型は、顔や身体への彩色さいしょくと言われています。

体に色を塗っているアフリカの部族を映像で見たことがある人もいると思いますが、古くは部族や階級間の差別化や、色がもたらす呪術じゅじゅつ的な目的のために彩色さいしょくが行われていたと考えられているのです。

Karo Woman at Korcho. (in explore) - Flickr - Rod Waddington

Rod Waddington from Kergunyah, Australia, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons,Link

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蚊帳・蚊屋(かや)とは

蚊帳かやは、蚊屋とも表記し、夏にを防ぐために麻や木綿で作った寝床ねどこを覆うものです。

蚊帳・蚊屋(かや)とは

蚊帳かやは、古くは『日本書紀』(720年)や平安時代にまとめられた三代格式さんだいきゃくしきの一つである『延喜式えんぎしき』にその名があり、中世にはかなり使われていたようです。

江戸時代後期には、ほぼ現在でいう蚊帳かやの形となりました。

蚊帳かやに使用される材料は、本麻のみ・平麻(麻と木綿)・木綿のみが多く、色は黄緑色系統の色である萌黄もえぎや藍で染められた水色、柿渋で染められた茶色などさまざま用いられてきました。

竹や針金などを骨組みにして、子供用の小さな蚊帳かやである母衣蚊帳ほろがやも作られました。

家紋(かもん)の起源と歴史。武家、公家、町人にとっての家紋の役割や意味について

もんというと、基本的に「家紋かもん」を表し、代々その家に伝わる家の印として、家系や個人を識別し、その地位を表すために使われてきました。

紋には、正式の紋と略式の紋があり、略式の紋は正式の紋の一部であったり、全く別の簡単な図柄を使うこともあります。

紋はもともと武家の男子に用いられていましたが、江戸時代中期以降に、武家の女子にも使い始められ、彼女たちの小袖の背中と両袖に1つずつ染め抜かれるようになりました。 続きを読む

不器用で下手な素人のものづくりには価値がある。ものづくりの本質は、心でつくること

初版が1993年に発行された岡本太郎(著)『自分の中に毒を持て』は、人生において大切だと思えるエッセンスがたくさん詰まった本です。

不器用で下手な素人のものづくりには価値がある

岡本太郎は芸術家でしたが、「ものづくり」に関しても、本書にて言及しています。

ものづくりに関わる人でも、そうでない人にとっても示唆に富むことが書かれています。


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江戸時代の男子の衣服における裃(かみしも)

江戸時代において男子の衣服として着用された裃(かみしも)は、古く直垂ひたたれ素襖すおうのように、上下同じ生地(共裂ともぎれ共布ともぬののものを意味しました。

後に肩衣かたぎぬ半袴はんばかまをつけること肩衣袴かたぎぬばかまの意となり、江戸時代にさらにその形を整えたものをかみしもと呼び、武士の公服、庶民の礼服として用いられました。 続きを読む

灰汁や天日、雪、海水で布を精錬・漂白する(晒す)方法。雪晒し(ゆきさらし)、海晒し(うみさらし)とは?

江戸時代に奈良では、織り上げられた麻の布を白く晒した(精錬)上質な布が生産されており、当時から、奈良晒ならざらしと呼ばれました。

室町時代には、奈良晒ならざらしの原料となる、イラクサ科の多年草木である苧麻からむし(学名 Boehmeria nivea var. nipononivea)は、苧引おびきという皮剥ぎを行なって、繊維を細かく裂き糸をつないでいく作業である苧積おうみの直前の状態まで半加工して、青苧あおそという状態で流通していきました。

カラムシ畑

カラムシ畑,福島県昭和村,Qwert1234, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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