羊毛はなぜ縮むのか?ウール・羊毛の特徴と性質。

羊毛は、家畜として飼育されている羊の毛です。

国際的な商取引では羊毛に限って「ウール」と呼んでおり、他の獣毛繊維を「ヘア」(毛)と呼んで区別しています。

品質表示では、「毛」というのは、すべての獣毛に使用できますが、高級品であること示すために、カシミヤはモヘア、アンゴラなどとそれぞれ表記できる場合があります。 続きを読む

石炭や石油、天然ガスからつくる繊維について。合成繊維の共通的な特徴。

ほとんどすべての繊維は、ポリマーと呼ばれる高分子物質で構成されています。

合成繊維では、繊維とは一見すると無関係な石炭や石油、天然ガスから化学的処理によって繊維をつくります。

合成繊維は、合成高分子の繊維であり、繊維を合成するのではありません。石炭と水と空気からナイロンがつくられ、この発明から続々と合成繊維が発明されていきました。

ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等、合成繊維の例はたくさんあげることができます。

世界三大合成繊維はナイロン、ポリエステル、アクリルの3種類で、合成繊維のほとんどのシェアを占めています。 続きを読む

古代日本人の色彩感覚を延喜式から読みとる。衣服令(服色制)と草木染め。

日本の古代の人々は、草木が成長し花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊(木霊)の力であると信じ、草木からとれる自然の色で、衣服を染めつけていました。

強い精霊の宿るとされる草木は、薬用として使用されていました。薬草に宿る霊能が、病気という悪霊によって引きおこされた病状や苦痛を人体から取り除き、悪霊をしりぞける作用があるとされていたのです。

染色の起源は、草木の葉っぱや花などを擦りつけて染める「摺染」(すりぞめ)です。

日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染」(しんせん)の技術が中国から伝わってきてからです。 続きを読む

露草を原料にした青の染め色。浮世絵版画において、露草と紅の混色である紫色が重用された。

浮世絵版画において、特徴的な色として露草(ツユクサ)を原料にした青があります。

露草は、夏の暑い時期に青い花を咲かすツユクサ科の一年草です。別名を、月草や蛍草などともいいます。

英語名では、Dayflowerと表記し、花が咲いてからわずかな時間でしぼんでしまうという特徴が名前からよくわかります。

古くから日本では、この露草を原料にした青色が使われていました。 続きを読む

羊毛(ウール)・獣毛の特徴的な性質である湿潤熱(しつじゅんねつ)の発生。

羊毛や獣毛の特徴的な性質として、湿潤熱(しつじゅんねつ)の発生が挙げられます。

湿潤熱とは、羊毛の繊維が水分を吸収する際に(湿潤)によって、放出する熱のことです。

湿潤熱を実感として感じたことがあるという人は、ほとんどいないと思いますが、実話として、水浸しになったウールを保管している倉庫が中にはいれないほど熱気に包まれたり、雨に打たれた毛織り物が凍っても濡れ雑巾のようにはならなかったために、雪山で人が救われたということがあるようです。 続きを読む

羊毛・ウールは体の部位によって品質に違いがある。梳毛糸(そもうし)と紡毛糸(ぼうもうし)と各品種の羊毛の繊維直径、繊維長、質番、巻縮数について。

羊毛は、毛を採取するその部位によって品質や性質が変わってきます。

胴体の側面で、肩のあたりがもっとも良質なウールがとれるようです。

公益社団法人畜産技術協会の記事「目的にあった羊毛の扱い」に非常にわかりやすい図と説明がありますので、ここに引用します。 続きを読む

デザインという概念・思想のはじまり。ラスキンやモリスのものづくりに対する着眼点や美意識が社会に影響を与えていった。

デザインという概念の発生は、社会思想家のジョン・ラスキンや思想家であり芸術運動家であったウィリアム・モリスの思想がその源流として考えられています。

19世紀半ば、イギリスで産業革命がおこります。綿織物の製造における紡績機の開発、製鉄業の成長、蒸気機関の開発による動力源の改革、蒸気船や鉄道が発明されたことによる交通革命等、人の手ではなく、産業機械の発明と発展が大きく経済を動かし始めたのです。

初期の機械生産は、いいかげんで大ざっぱなものづくりであり、品質的には人の手が生み出すものと比べると、非常に劣るものでした。

そんな中、異常な速度で「下手なもの」が量産されていき、伝統的に手仕事が育んできた生活や文化、美意識をも奪っていくような機械生産に、意義を唱える人々も少なくありませんでした。

その代表的な人物が、ジョン・ラスキンとウィリアム・モリスです。 続きを読む

羊毛の歴史。新石器時代から中央アジアで家畜として飼育される。

一万年前の新石器時代、中央アジアでは、羊が家畜として飼育されていたと言われます。

現在のイラクの一部にあたるメソポタミア地域で栄えたバビロン王朝時代には、(紀元前1830年〜1530年)すでに毛で織られた織物があったそうです。

紀元前200年ごろになると、ローマ人が羊毛を改良し始め、1世紀には、現代にも名前が知られているスペイン・メリノ種が生まれました。スペインでは、品質にすぐれたこの種類の羊を独占するために、長年に渡って国外持ち出し禁止としていました。 続きを読む

成熟した文化のたたずまいを再創造する。原研哉氏の『デザインのデザイン』

本書を読んでデザインというものが少しわからなくなったとしても、それは以前よりもデザインに対する認識が後退したわけではない。それはデザインの世界の奥行きに一歩深く入り込んだ証拠なのである。

グラフィックデザイナーで、武蔵野美術大学教授を務める原研哉氏の著書で2003年に初版が発売された『デザインのデザイン』のまえがきに、上記の言葉があります。

約20年前に出版された本になりますが、その内容はまったく陳腐化しておらず、小手先の「デザイン」ではなく、デザインとはなにか?を考えさせられる本になっています。 続きを読む

獣毛繊維の種類と特徴。獣毛繊維は、羊毛や化学繊維との混紡で、特徴をうまく表現できる。

羊毛(ウール)以外に、紡績繊維として使用される動物繊維のこと獣毛と言います。

実際に使用されている獣毛は、かなりの数になり、それぞれ動物が違えば、繊維の特徴が変わってきます。

代表的な、獣毛を簡単に紹介します。

モヘア

アンゴラ山洋の毛繊維で、シルクのように細く光沢感があり、羊毛に似ている性質を持ち、繊維が滑らかなので縮んだりフェルト化しにくいという特徴があります。 続きを読む