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井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

日本における染色と色彩の歴史。日本の伝統色や色名について

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は活用されてきた歴史や色の豊富さなどをみると、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。

古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていたとされます。

古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に「木霊こだま」と呼ばれ、一番身近に存在する「和霊にぎたま」としてとらえていたとも言われています。 続きを読む

藍染と唐草模様

日本における藍染(ジャパンブルー)の歴史。藍作・藍染が発展し、衰退していった背景について

藍染は、古くから世界中で行われてきました。

古代エジプトではミイラを包む布が藍染されており、紀元前2000年前には藍が利用されていたとされています。

藍の色素を持つ植物も多種多様で、それぞれの地域にあった植物を使用し、さまざまな方法で藍染が行われてきたのです。

藍の色素を持つ植物を科別にすると、マメ、アブラナ、キツネノマゴ、タデ、キョウトウチク、ガガイモ、マツムシソウ、モクセイ、クロウメモドキ、キク、ヒメハギ、ランなどが挙げられます。

インドにおける藍栽培の歴史は古く、古代ローマ時代にはインドで商品化されたインド藍がエジプトのアレクサンドリアを経由してローマへ輸入されていました。

アラビア商人によって、エジプトをはじめ地中海方面へと運ばれていましたが、ポルトガルのバスコダガマが南アフリカを周るインド洋航路を発見したことによって、インドにおける藍の生産はいっそう盛んになったのです。 続きを読む

橘文(たちばなもん)・橘紋

デザインにおける橘文(たちばなもん)

倭橘やまとたちばなは、一般的には「たちばな」と呼ばれるミカン科の植物です。

7世紀後半から8世紀後半(奈良時代末期)にかけて成立したとされる日本に現存する最古の和歌集である『万葉集まんようしゅう』にも、たちばなは詠まれています。 続きを読む

デザインにおける誰が袖図屛風(たがそでびょうぶ)・誰が袖図(たがそでず)

近世初期から障壁画や屏風絵びょうぶえなどの障屏画しょうへいがに用いられてきたテーマの一つに「誰が袖図(たがそでず)」があります。

誰が袖図(たがそでず)には、色とりどりの衣装が衣桁いこう(着物を掛けておくために用いる鳥居のような形をした家具)に掛かる様子が表現されます。 続きを読む

型染めで白抜きされた鶴文(つるもん)

デザインにおける鶴(ツル)・鶴文(つるもん)・鶴亀(つるかめ)

鶴(ツル)は、延命長寿を意味する瑞鳥ずいちょう(吉兆とされる鳥)として、平安時代から画題に選ばれ、文様化されてきました。

広島県の嚴島神社に伝わる国宝『平家納経へいけのうきょう』の表紙には鶴が描かれ、南北朝時代の歴史物語である『増鏡ますかがみ』や鎌倉時代に装束について書かれた有職書である『餝抄かざりしょう』などには鶴丸文様の衣服が記されています。 続きを読む

漁師が着用した大漁着(たいりょうぎ)・大漁文(たいりょうもん)

江戸時代後期から明治時代中期にかけて、関東地方、とりわけ千葉県の漁村で大量の年の暮れに船主が船子(船員)に配った半纏はんてんを「大漁着たいりょうぎ」と言います。

豊漁を祝うため、めでたい大柄の文様が型染めで表現され、船子は揃いの半纏を着て初詣はつもうでをしたようです。 続きを読む