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井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

日本における染色と色彩の歴史。日本の伝統色や色名について

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は活用されてきた歴史や色の豊富さなどをみると、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。

古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていたとされます。

古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に「木霊こだま」と呼ばれ、一番身近に存在する「和霊にぎたま」としてとらえていたとも言われています。 続きを読む

型染めで白抜きされた鶴文(つるもん)

デザインにおける鶴(ツル)・鶴文(つるもん)・鶴亀(つるかめ)

鶴(ツル)は、延命長寿を意味する瑞鳥ずいちょう(吉兆とされる鳥)として、平安時代から画題に選ばれ、文様化されてきました。

広島県の嚴島神社に伝わる国宝『平家納経へいけのうきょう』の表紙には鶴が描かれ、南北朝時代の歴史物語である『増鏡ますかがみ』や鎌倉時代に装束について書かれた有職書である『餝抄かざりしょう』などには鶴丸文様の衣服が記されています。 続きを読む

漁師が着用した大漁着(たいりょうぎ)・大漁文(たいりょうもん)

江戸時代後期から明治時代中期にかけて、関東地方、とりわけ千葉県の漁村で大量の年の暮れに船主が船子(船員)に配った半纏はんてんを「大漁着たいりょうぎ」と言います。

豊漁を祝うため、めでたい大柄の文様が型染めで表現され、船子は揃いの半纏を着て初詣はつもうでをしたようです。 続きを読む

露草(つゆくさ),蛍草(ほたるぐさ),Dayflower

染色・草木染めにおける摺り染め(摺染)。摺り染めと花摺り(はなすり)の染色方法について

日本の古代の人々は、草木が成長し花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊せいれい木霊こだま)の力であると信じ、草木からとれる自然の色で、衣服を染めつけていました。

強い精霊の宿るとされる草木は、薬用として使用され、薬草に宿る霊能が、病気という悪霊によって引きおこされた病状や苦痛を人体から取り除き、悪霊をしりぞける作用があるとされていたのです。

日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染しんせん」の技術が中国から伝わってきてからとされます。

もっとも原始的な染色方法に、植物を生地に直接こすりつけて色を染め付ける「摺り染めすりぞめ(摺染)」があります。

古墳時代から奈良時代まで男女ともに衣服の染色に、摺り染め(摺染)も用いられていたとされます。
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「白練緯地桐竹鳳凰模様刺繍・摺箔小袖」16世紀桃山時代

日本や世界における刺繍(ししゅう)の歴史や特徴。奈良、平安、鎌倉、室町、江戸、それぞれの時代における刺繍について

針と糸があれば、布を自由に装飾できる刺繍ししゅうは、世界中で古くから行われてきました。

中国では、殷代いんだい(紀元前17世紀〜紀元前1046年)の青銅器に付着していた絹に菱形ひしがたの模様(文様もんよう)が刺繍ししゅうされた例が見つかっています。

日本においては、中国から発達した刺繍ししゅうの影響を受けながらも、織りや染めの技法と混ざりあいながら、日本的な美しさが数多く表現されてきました。
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青海波模様が織り込まれた絣織物

絣(かすり)模様の種類。紺絣(こんがすり)と白絣(しろがすり)の違いについて

江戸時代後期から明治、大正、昭和の時代にかけて、庶民の間でとりわけ親しまれた織物にかすりがあります。

かすりとは、経糸か緯糸のどちらか、あるいは経糸と緯糸の一定部分を、糸や布などで括ったり木の板で挟むことによって防染して染めた糸を使用し、織り模様(文様)を表現したものです。

織物の組織としては、絣は平織りと繻子織りしゅすおりにみられます。 続きを読む

嵐絞り,有松絞り,絞り染め

日本における絞り染めの歴史。絞り染めの染色技法や種類について

絞り染めとは、部分的に布に染まらない部分を作る防染の技術です。

布の一部を糸で強く巻き締める「巻き締め」や、針と糸で布を縫い、その糸を引き締めることによって防染する「縫締め」と呼ばれるものが基本的な技法です。

竹皮やビニールなどの防水性のあるものを使用して括ったり、棒などに布を巻きつけて防染する方法などもあります。

絞り染めは日本のみならず、インドや中国の国々をはじめ、中南米、東南アジア、アフリカなど世界中で行われ、さまざま柄が染められていました。 続きを読む

大島紬(おおしまつむぎ)

大島紬(おおしまつむぎ)とは?大島紬の特徴と歴史について

大島紬おおしまつむぎとは、平織りされた絹織物で、つむぎという名前が付いているように、もともとは手紡ぎされた絹糸が使用されていました。

また、車輪梅しゃりんばいで染色し、泥の鉄分で媒染ばいせんすることで絹糸が染められます。

きわめて細かな絣模様が表現される点も、大島紬おおしまつむぎがその名を知らしめる理由となっていました。 続きを読む

絣が織り込まれた芭蕉布(ばしょうふ)

芭蕉布(ばしょうふ)とは?芭蕉布の特徴や技法、歴史について

芭蕉布ばしょうふは、沖縄で織られてきた織物で、戦前までは沖縄全域で生産されていました。

繊維を採取する芭蕉(糸芭蕉いとばしょう)は、和名でリュウキュウバショウといい、一見するとくきに見える葉柄の部分から繊維を採る葉脈繊維ようみゃくせんいです。 続きを読む

桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん),鳳凰がデザインされた

デザインにおける幻獣(げんじゅう)。ペガサス、ケンタウロス、鳳凰(ほうおう)について

実際に存在はしないが幻とされる幻獣げんじゅうは、世界中で古くから人々の希望や願望をのせたものとして作り出されてきました。

ペガサスやケンタウロスなど日本人でも聞いたことがあるでしょうし、中国では鳳凰ほうおうなどが見て取れます。 続きを読む