1000年以上の歴史を持つとされる伊勢型紙(いせかたがみ)は、三重県鈴鹿市の白子町と寺家町、江島地区が古くから産地として有名でした。
小紋や中形、友禅型や注染の手拭い型(手拭中形)など、各種の型紙が製作されていました。
現在では需要の減少とともに、数少ない担い手によってのみ生産され、国内で流通する伊勢型紙のほとんどが鈴鹿市の白子地区で作られています。
続きを読む
八重山上布は、別名「赤縞上布」や「白上布」とも呼ばれ、多くの伝統を持つ八重山地方における代表的な織物です。
琉球王朝時代に、人頭税下(納税能力に関係なく、全ての国民1人につき一定額を課す税金)で貢納布として織らされていたものが現代に残ったもので、苧麻の白地に紅露(ソメモノイモの根塊)で絣を摺り込み、捺染した麻織物を主に表します。
続きを読む
紅花系統で染められた色は、時間とともに色合いが淡くなると青味を増す傾向があり、その淡紅色や淡紫色は「聴色」という言葉で呼ばれることがありました。 続きを読む
江戸時代中期以降、きらびやかな色彩で、思うがままに描かれた模様染めが一世を風靡しました。
友禅模様と言い伝えられたこの染めは、精密な糸目糊による色挿しと巧みな暈しによって、従来の刺繍や絞り染めなどの技法では表現できなかった絵画のような模様を着物にもたらしました。
特に、風景を題材にしたものは、江戸時代中期にもっとも好まれたもののひとつでした。 続きを読む
更紗とは、16世紀以降、ポルトガルやオランダ、イギリスなどのいわゆる南蛮船が運んできた、インドや東南アジアの模様染めされた布を指して呼ばれたものです。
更紗は「紗羅紗」や「皿更」、「華布(印華布)」とも書かれ、現在のタイの呼び名であるシャム辺りから渡来したとされたため、や「紗室染」などとも言われていました。
今日における更紗といえば、木綿に東南アジアやインド的な模様を細かく模様染めされた布を指していることが多いです。 続きを読む
黄八丈とは、主に草木染めで染められた黄色・樺色・黒色の三色の糸を使って、さまざまな縞模様を織り出す絹織物のことです。
黄八丈は、広い意味で茶系統の鳶八丈や黒系統の黒八丈を含めた、八丈島で生産された紬を総称しています。
全体的に渋く、味わいのある色合いであるため、絹織物らしい光沢感は抑えられます。
染色の工程で、乾燥のために長い日数を八丈島の強い直射日光にさらすため、堅牢度が良く変色したり退色しづらい特徴があります。
黄八丈は、たくさん使われ、洗われることで、年を経るにつれて、より一層色合いが冴えてくるともいわれたりします。 続きを読む
絞り染めとは、部分的に布に染まらない部分を作る防染の技術です。
布の一部を糸で強く巻き締める「巻き締め」や、針と糸で布を縫い、その糸を引き締めることによって防染する「縫締め」と呼ばれるものが基本的な技法です。
竹皮やビニールなどの防水性のあるものを使用して括ったり、棒などに布を巻きつけて防染する方法などもあります。
絞り染めは日本のみならず、インドや中国の国々をはじめ、中南米、東南アジア、アフリカなど世界中で行われ、さまざま柄が染められていました。 続きを読む
人類の営みにおいて、織物が作られるようになる際の原型とはいかないまでも、織布の先駆けともいえるものとして、木の皮の繊維から作る樹皮布が挙げられます。 続きを読む
中世において、商工業者などが集まり、「座」と呼ばれる同業組合が結成されていました。
「座」というのは、公家や社寺の集会に設けられた特定の座席を占める人々の集団を表したことに始まります。 続きを読む