染色する人を染師(そめし)と呼んだりしますが、古くはただ染めるだけではなく、染めるための原料を入手するところから、「染師」の仕事がはじまっていました。 続きを読む
「色合い」カテゴリーアーカイブ
染色・草木染めにおける支子(くちなし)。支子(梔子)の染色方法や薬用効果について
支子(学名 Gardenia jasminoides)は、あかね科クチナシ属の常緑の低木で、現在は支子ではなく、梔子の字を当てる場合が多いです。
古くから、支子の果実が染色や薬用に使用されてきました。
本記事では、以下、支子と表記します。
支子は、庭園の樹木として植えられ、葉は2枚の葉がつく対生、もしくは3枚の葉が輪生します。
6月〜7月頃に葉腋(葉の付け根)から花柄を出し、白い六片に裂けた筒状花をつけ、2〜3日で黄色く変色しますが、良い香りがします。
支子(梔子),Gardenia jasminoides,Mokkie, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link
果実は、頂部に咢片が残り、熟すと黄赤色になります。 続きを読む
染色・草木染めにおいて、媒染と染めを分けて行う理由
草木染め、植物染料とは何か?語源と定義、一般的な染色方法について
「草木染め」という言葉は、日本の作家で染織家の山崎斌氏(1892年〜1972年)に命名されました。
1930年(昭和5年)、化学染料が普及してきたころ、天然染料は衰退の一途をたどっていきました。
「草木染め」という言葉は、古くから伝承されてきた染色方法を復興するにあたり、化学染料と区別するために名付けられたのです。
現在、草木染めという言葉の定義は、自然から得られる染料で染色することの総称として定着しています。 続きを読む
染色・草木染めにおける柏・槲・檞(かしわ)。薬用効果や歴史について
柏(学名:Quercus dentata)は、その若葉をお餅に包んだ「かしわ餅」の名前でも知られている植物です。
漢字では、柏のほか、槲や檞の字が当てられ(以下、柏の表記に統一)、「ほそばがしわ」、「たちがしわ」、「もちがしわ」、「おおがしわ」など多くの異名があります。
種名の「dentata」は、葉っぱの形が、のこぎりの歯のようにぎざぎざした形状(歯状)なっていることを意味しています。
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色合いにおける火色(かしょく)。深紅色に染めることを禁じた「火色の禁」
平安時代に衣服を深紅色に染めることが流行した際に、「火色の禁(かしょくのきん)」と呼ばれる禁制が出されました。 続きを読む
【王朝の色】平安時代の色彩。重ね着の配色美である襲色目(かさねいろめ)と十二単(じゅうにひとえ)について
平安時代になると、文学的で優美な色名が誕生します。
「王朝の色」とも呼ばれる重ね染めを巧みに駆使しながら生まれた優雅な色彩が、元々は大陸からきた文化の影響から離れて、日本独自に発達していきました。
地位や身分を示す色を「位色」の規制は名目上存在してはいますが、次第に実質的には何の意味もなさなくなり、女性の装束に代表されるような日本独自の繊細で美しい色彩文化が平安時代に花開くのです。
平安時代の染織品は、現在ほとんど見ることはできませんが、この時代が残した美の意識や色彩が文献の随所にあらわれており、その美の創造性を高く評価することができます。 続きを読む
染め色としての陰萌黄色(かげもえぎいろ)
陰萌黄色は、染め色としては萌黄の黒味を帯びた色です。 続きを読む
草木染めで木綿を染める方法。濃染剤(のうせんざい)を使用した方法が、簡単で染まりやすくオススメ
ウールやシルクなどの動物性の繊維であれば、比較的かんたんに染められますが、木綿を草木染めする場合は非常に難しいです。
草木を煮出して染め液を抽出しない藍染であれば、木綿との相性が良いのでよく染まりますが、いわゆる草木染めのなかでは特殊な例となっています。
一般的な煮出して染めるような草木染めは植物性の繊維に染まりづらいので、木綿や麻などの植物性の繊維を染めるためには特殊な下処理が必要です。
木綿を草木染めで染色する場合、例外的に絹よりよく染まることもありますが、基本的には絹に比べて染まりが悪く、染まったとしても淡くしか染まりません。 続きを読む
染色・草木染めにおける、紅露(クール)・そめものいも
そめものいも(学名Dioscorea cirrhosa)は、ヤマノイモ科に属する熱帯地域に自生する植物で、長さが10mにもなるつる性の多年草です。
沖縄の八重山上布の絣糸を染めるための茶色の染料として「染物芋」(クール・紅露)が知られています。
和名の「そめものいも」は、地中に80㎝ほどにも成長する黒みがかった赤色の塊根(芋)があり、これが赤褐色の色素を含み、染色に使用することから由来しています。
そめものいもは、マングローブの木(漂木)や車輪梅などと共に、魚介類を捕獲するために用いる漁網を丈夫にし、扱いやすくするために使用されたカテコールタンニン系の染料です。
マングローブの樹皮にはタンニンが多く含まれているので、抗菌や防腐の効果も高いとされています。 続きを読む