投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

デザインにおける菖蒲(しょうぶ)・菖蒲文(しょうぶもん)

デザインにおける菖蒲文(しょうぶもん)・菖蒲革(しょうぶがわ)について

菖蒲しょうぶは、江戸時代には品種改良が始まっていたというくらい、古くから日本で愛されてきた花です。

音が「勝武」や「尚武(武を尚ぶ)」に通じることから、菖蒲を文様化した菖蒲文しょうぶもんが武人に好まれて用いられました。 続きを読む

染色・草木染めにおける冬青(そよご)。染色方法の一例について

冬青そよご(学名 Ilex pedunculosa)は、山梨県より西の本州、四国、九州の山地に生えている常緑樹で、実が美しいことから庭木としても植えられます。

雌雄異株で、6月ごろに小さな白い花が咲き、実は丸く熟すと紅色になります。

冬青そよごという名前の由来は、葉が風にゆれて、ザワザワ音をたてながらそよぐさまからきています。

Ilex pedunculosa fruit

冬青,Ilex pedunculosa,Alpsdake, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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8世紀「浅緑地花卉鳥獣文錦」正倉院蔵

正倉院裂(しょうそういんぎれ)とは?正倉院宝物として保存されている裂(布きれ)について

正倉院裂しょうそういんぎれとは、正倉院宝物しょうそういんほうもつとして保存されているきれ(布きれ)のことです。

正倉院裂しょうそういんぎれには、奈良時代の天平勝宝てんぴょうしょうほう年間(749年〜757年)に行われた東大寺大仏開眼供養だいぶつかいげんくように用いられた裂や聖武天皇(701年〜756年)にゆかりのあった裂などがあります。

その大部分は絹と麻でできた織物で、他には羊毛(ウール)を熱や圧力をかけて縮めた毛氈もうせんがあります。 続きを読む

柿色

染色・色合いにおける柿色(かきいろ)

江戸時代に流行した色合いに、柿色かきいろがあります。

濃柿、薄柿、照柿、紅柿、洒落柿、晒柿、大和柿、本多柿、洗柿、水柿、黒柿など、柿色から派生した色名がさまざま生み出されました。

染色・色合いにおける柿色

江戸時代の柿色には、タンニンを非常に多く含む柿渋だけで染めた色から、柿渋とベンガラ(弁柄)を用いた色、梅の木で濃く染め重ねて、媒染ばいせんに石灰を使用することで濃い赤茶色などが染められています。

蘇芳すおうなどの染料も、赤味を表現するためにも用いられたと考えられます。

色目については、柿色と濃柿は、渋柿の色に近い茶色味の赤色。

照柿と紅柿は柿の実の色のような黄色味のある赤色。

洒落柿、晒柿、洗柿、大和柿、本多柿は、柿色を洗いざらしたような薄い赤茶色で薄柿は、それらよりもやや濃い色。

水柿はやや水色味のある極めて薄い赤茶色。

黒柿は黒味のある柿色と考えられます。
 
【参考文献】『月刊染織α1989年4月No.97』

伊勢型紙に彫られた竹文(たけもん)

デザインにおける竹・竹文(たけもん)

竹は中国で古くから愛でられてきた植物の一つで、松や梅とともに歳寒三友さいかんのさんゆうとして古くから中国で讃えられてきました。

歳寒三友さいかんのさんゆうとは、竹、松、梅を表す言葉で、冬の厳しい寒さの中でも力強く美しい様を見せることから、画題(絵画のテーマ)として用いられてきました。

中国から文化が伝わり、日本で竹、松、梅が画題とされるのは平安時代ごろからと考えられ、一般庶民に盛んに用いられるようになるのは江戸時代からです。

現代でも松竹梅は、吉祥きっしょう(縁起が良い)を一番象徴する模様と言っても良いほどの立ち位置となっています。 続きを読む

ジャワ更紗(バティック)

バティック(ジャワ更紗)とは?バティックの歴史と制作工程について

バティック(Batik)とは、ろうを使って防染ぼうせんするろうけつ染め(臈纈染ろうけつぞめ)によって模様が染められた布地の全般を表し、2009年にはインドネシアのバティックがユネスコの無形文化遺産に登録されています。

インドネシアのジャワ島で作られるバティックは有名で、ジャワ更紗とも呼ばれます。

バティック(Batik)という言葉の由来は、インドネシアのジャワ語で「書くこと」を意味する「アンバー(amba)」と「点を打つ」を意味する「ティティック(titik)」を組み合わせたもので、「点を描くこと」を意味していました。

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「小袖 白黒紅染分綸子地熨斗藤模様」慶長小袖(けちょうこどで)地無し

模様染めのデザインにおける地無(じなし)

模様染めにおいて、「地無じなし」という言葉があります。

小袖こそでの全面に細やかな刺繍ししゅう鹿子絞かのこしり、摺箔すりはくなどの技法を用いて、単独、もしくは併用して地の部分が見えないほど一面に文様(模様)表現されたものを「地無じなし」と呼びました。

小袖こそでは、現在の「きもの」の原型にあたるもので、その名の通り袖口が狭く詰まった仕立てになっています。
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桑の葉を食べる蚕(かいこ)

シルク(絹)を生み出す蚕(かいこ)の一生

人類は、紀元前からかいこが吐き出す絹糸(シルク糸)を利用してきました。

中国においては、長きにわたって絹に関する技術は国外秘にされていましたが、絹織物は、古代ギリシャのアレクサンダー大王(紀元前356年〜紀元前323年)の頃から絹の交易の道であったシルクロードを通じて輸出されていました。

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