化繊(かせん)とは?化学繊維(かがくせんい)とは?化学繊維の歴史と分類、代表的な化学繊維であるポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨンについて


繊維を糸の状態にすることを紡績(ぼうせき)といいますが、紡績された繊維は、大きく天然繊維と化学繊維に分けられます。

天然繊維は、植物そのものから繊維を取り出す綿や麻、羊などの動物の毛を刈り取って利用するウール、蚕が口の中から出したまゆ糸からつくるシルクなどがあります。

天然繊維を、人類は昔から植物を栽培したり、動物を飼育することで獲得してきましたが、多大な労力がかかり、天候にも大きく左右されるので、生産量や価格が不安定でした。

天然繊維しかなかった時代に、発展してきた化学技術を繊維分野に生かさないわけにはいきません。技術のおかげで、化学繊維として、木材や石炭、石油、天然ガスなどを原料にすることで、繊維を作り出すことに成功しました。

一概に化学繊維といってもさまざま種類があるので、まず化学繊維を大きく分類してから代表的ともいえる化学繊維4種、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨンを取り上げてみます。

化学繊維の分類

化学繊維は、①再生繊維、②半合成繊維、③合成繊維、④無機繊維の大きく4つに分類できます。

近年では、とうもろこしやさつまいもなど、生物由来の原料から化学合成した原料を繊維にしたものも注目を集めています。

①再生繊維

再生繊維は、レーヨンやキュプラ、テンセルのように、木材パルプやコットンリンター(綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている繊維で、繊維長が短く紡績用には向かない)を溶かしてから固めて繊維状にしたものです。

②半合成繊維

半合成繊維は、セルロース系でアセテート、トリアセテートとタンパク質系でプロミックスがあります。

アセテートの場合、原料のセルロースに、合成した酢酸を反応させてつくった溶液を固めて繊維にします。

天然のセルロースやタンパク質を、化学的に処理することで繊維にすることから半合成繊維と呼びます。

③合成繊維

合成繊維は、石油、石炭、石灰石などの鉱物、天然ガスのようにまったく繊維になっていない原料から、化学的な処理によって繊維を合成してつくったものです。

原料や薬品の種類によって、ナイロンやアクリル、ポリエステルなどいろいろな種類の繊維ができ、量的には化学繊維のほとんどを占めています。

④無機繊維

無機繊維は、無機物を人工的に繊維にしたもので、繊維を形成する分子の中に、有機物を含んでいません。

ガラスを原料にしたガラス繊維、金属を原料にした金属繊維、セルロース繊維やアクリル繊維などを原料にして、それを焼成(高熱で焼いて性質に変化を生じさせること)で炭化してつくられる炭素繊維などがあります。

代表的な化学繊維

みなさんが日常的によく聞くであろう、代表的な化学繊維であるポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨンについて詳しく紹介します。

ポリエステル繊維

ポリエステルという名称は、「エステル基」という化学構造を持つ分子の総称ですが、繊維に使われるのはそのうちの数種類で、ポリエチレンテレフタレートを主に指します。

ポリエチレンテレフタレートは、ペットボトルの原料と同じもので、1990年代以降にペットボトルの消費量が急増したことによって手に入れるコストが下がり、それによってポリエステル繊維の生産量も増えました。

21世紀にはいってからは、綿の生産量を上回り、現在世界で一番多く生産されている繊維となっています。

繊維の特徴としては、引っ張った時の伸びにくさや、強度が非常に高く、ナイロンやアクリルなどと比較しても熱に強い繊維になっています。

水を弾きやすく、布に吸い付きづらく、水分が付着しても性能があまり変わらないのも特徴的です。そのため、型崩れしにくかったり、しわができにくい繊維と言えます。

ナイロン繊維

ナイロンは、アメリカに本社を置く化学メーカーであるデュポン社(Du Pont)が開発し、商標登録したものでしたが、現在は「アミド基」という化学構造をもつ分子でできた合成繊維の総称として使われています。

ひとくちにナイロンといってもさまざまな化学構造を持つものがあり、代表的なのが、ナイロン66とナイロン6が挙げられます。

ポリエステルと同じくらいの強度を持ち、型崩れが非常に起きにくく、肌触りがやわらかいのも特徴的です。

ポリエステルと比較すると、密度小さく変形させても切れにくいため、ストッキングによく使われます。また、ナイロンは水を吸いやすく、水を吸った時の性能変化が起きやすいですが、酸性染料によって鮮やかに染められるのは大きな利点です。

アクリル繊維

アクリル繊維は、ポリアクリロニトリルを主成分とする繊維です。

主に短繊維(ステープル)として使われ、熱を加えると縮みやすいことから、体積の大きい紡績糸に加工し、ニット製品に多く活用されます。

アクリル繊維は、カチオン染料による染色性においては、合成繊維の中では最も鮮明に染められます。

また、酸やアルカリなどの薬品に強く、太陽光による劣化や水に対する耐久性に優れる等の特徴があります。

レーヨン繊維

20世紀前半は、「レーヨン(人絹)の時代」と言ってもいいほど、レーヨンという繊維が台頭していました。

レーヨンは絹に似せて作った再生繊維なので、昔は人絹(じんけん、人造絹糸)とも呼ばれていたのです。

木材パルプを主な原料としています。木材パルプは、木の幹の樹皮を取り除き、そのままチップ化したものに、機械的、科学的、あるいは複合的な処理をしてつくられます。

ポリエステル、ナイロン、アクリルの強度と比べてしまうと弱いですが、水分を含みやすく、光沢感があり、染色性が非常に良く、熱に強いなどの特徴があるので、それを生かしてある程度の市場規模をもっています。

人造絹糸というだけあって、染色後の美しさは化学繊維のなかでは、抜群に良いです。

生物由来のバイオベース繊維

近年、生物由来のバイオマス原料から化学合成した繊維が注目されています。「バイオベース繊維」と呼ばれ、トウモロコシやサトウキビ、イモなどに含まれるデンプンやショ糖を原料にして作られる「ポリ乳酸繊維」もそのうちの一つです。

一般的な化学繊維と違い、生物由来のため、土に埋めても2〜3年で分解され、微生物の栄養源となるので地球に優しい繊維と言えます。

農業用シートや園芸用のネットなど、土に還る性質を利用して、衣類以外にも、使用されています。

化学繊維の歴史

化学繊維は、1884年にフランスのシャルドンネによってはじめて人造絹糸(レーヨン)が開発されたのが始まりとされています。

20世紀に入ると、「高分子」という概念が提唱され、化学繊維の開発にも拍車がかかりました。1938年にはナイロン、1952年にはポリエステルと私たちに馴染みのある繊維が開発され、それからどんどんと新しい高分子素材が開発されてきました。

高分子とは、多数の原子が強い共有結合でつながってヒモ状になっている分子のことを言います。

高分子という概念が化学繊維を進歩させた

ガラス繊維や金属繊維のように、無機物を人工的に繊維としたもの以外の化学繊維は、「高分子」と呼ばれる細長い形をした分子でできています。

化学繊維の基本構造は、「ミクロフィブリル」と呼びますが、分子が並んでいる強度としなやかさが増して、結晶になっている部分となっていない部分が混ざり合っていることで、耐熱性と染色性や強度と柔軟性が両立するのです。

糸を作る際に、分子の並びや結晶部分の量を変化させることで、同じ種類の繊維でも、性質を大きく変えられるというのも面白い点です。

関連記事:化学繊維の作り方。代表的な3種類の紡糸方法、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸。

高分子は、ヒモのように分子が繋がっているため、低分子とは異なる形状を取るので、それによって特異な性質を発揮します。例えば、デンプンや木材、綿、ゴムなどは非常に有用な天然の高分子です。

人工的に合成される高分子は、モノマー(単量体)がたくさん連結、重合することでポリマー(多量体)になります。モノマーの連結している数を、重合度と言い、2種類以上のモノマーを重合させたコポリマー(共重合体)もたくさんあります。

天然の高分子では、タンパク質がコポリマーの典型的な例となります。

ヒモ状の高分子が、軟らかいのか、それとも硬いのか、分子の間に働く力が強いのか、それとも弱いのか、分子同士がどれほど互いに絡み合いながら規則性をかたち作っているのかなどによって、様々な性質が現れてきます。

繊維を構成する高分子は、軽くて強くて加工性がよく、力学、熱、電気、光などに対する性質、または化学薬品に対する性質など、多彩な性質を持っているのです。

天然の高分子は構造が複雑ですが、一般的な合成された高分子は、簡単な構造から組み立てられています。そして、その合成方法によってさまざまな性質を持った繊維になるのです。

参考文献:はじめて学ぶ繊維


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