豆汁(ごじる),呉汁(ごじる)

染色・草木染めにおける豆汁(ごじる)の効用。豆汁(呉汁)の作り方について

染色・草木染めにおいて、大豆をすりづぶして作った豆汁ごじる呉汁ごじる)が使用されてきました。

豆汁ごじるの成分は、主に大豆タンパク(グリシニンglycinin)とデンプン、脂肪の混合物となります。

絵具や顔料を定着させるために、豆汁ごじるの大豆タンパクが役割を果たします。

卵白らんぱくや牛乳なども、豆汁ごじると同じようにタンパク質による接着剤、凝固剤としての役割をします。 続きを読む

茶器名物に関する図録である古今名物類聚(ここんめいぶつるいじゅう)

江戸時代後期に、茶器名物に関する図録である『古今名物類聚ここんめいぶつるいじゅう』が出版されます。

この書物に挙げられる名物裂めいぶつぎれは、名物裂の基本とされています。

古今名物類聚ここんめいぶつるいじゅう』は、出雲の松江城主であった松平不昧まつだいらふまい(1751年~1818年)が、寛政かんせい元年(1789年)から9年にかけて編纂へんさんされました。

茶器名物に関する図録である古今名物類聚(ここんめいぶつるいじゅう)

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天皇の色彩である黄櫨(こうろ)、黄櫨染(こうろぜん)と皇太子の色彩である黄丹(おうに)とは?

黄櫨こうろ黄櫨染こうろぜんと呼ばれる色彩があります。

平安時代以降、日本の天皇が儀式のときに着用するほうの色と決められ、「絶対禁色ぜったいきんじき」として天皇以外は着ることが許されない色とされてきました。
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丹波布(たんばぬの)

丹波布(たんばぬの)とは?柳宗悦に見出され、木綿を主体に絹が緯糸に使われた交織布

丹波布たんばぬの(たんばふ)と呼ばれ、親しまれている織物があります。

丹波布たんばぬの(たんばふ)とは、現在の兵庫県氷上郡青垣町佐治ひかみぐんあおがきちょうさじ地方を中心に、幕末から明治中頃にかけてのみ盛んに織られました。

木綿を主体に、緯糸に絹糸を織り込んだもので、産地の佐治では「縞貫しまぬき」と呼ばれ、他の織物とは区別されながら発達していきました。 続きを読む

蘇芳色(すおういろ)黒みを帯びた赤色

染色・草木染めにおける蘇芳(すおう)。蘇芳(すおう)の染色におけるポイントについて

蘇芳すおう(学名Caesalpinia sappan)はインドやマレーシアなどの熱帯地域に自生しているマメ科ジャケツイバラカ亜科の植物です。

蘇芳すおうは成長すると樹高が5~10メートルになり、幹にはトゲが多く、葉は鳥の羽が並んでいるような形の羽状複葉うじょうふくようで、5月から6月ごろに円錐花序えんすいかじょを出し、黄色い花を咲かせます。
蘇芳すおうは、その芯材しんざいに含まれるブラジリン(brazilin)と少量のヘマティン(天然赤色色素が染料として使われてきました。 続きを読む

科布(しなふ)(榀布)

砧打ち(きぬたうち)とは?布の触感をやわらかくし、光沢感を与えるための技法について

砧打ち(きぬたうち)は、布を木槌きづちで打って感触を柔らかくし、光沢感を出すために行われます。

布目をつぶすことで繊維が柔らかくなり、布面が滑らかになることでツヤがでます。

きぬたの技法は中国から伝来したとされ、古くから織り上がった絹布や麻布、木綿布の仕上げの工程で行われてきました。 続きを読む

井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

絣(かすり)模様の種類。紺絣(こんがすり)と白絣(しろがすり)の違いについて

江戸時代後期から明治、大正、昭和の時代にかけて、庶民の間でとりわけ親しまれた織物にかすりがあります。

かすりとは、経糸か緯糸のどちらか、あるいは経糸と緯糸の一定部分を、糸や布などで括ったり木の板で挟むことによって防染して染めた糸を使用し、織り模様(文様)を表現したものです。

織物の組織としては、絣は平織りと繻子織りしゅすおりにみられます。 続きを読む

染色・草木染めに適した水。天然染料の水洗いについて

染色・草木染めにおいて、イメージ通りの色合いに仕上げるためには、染色に使用する水(どのような成分が含まれているか)について、注意しておく必要があります。

染色・草木染めに適した水において、先人たちの文献から、参考になりそうなものを引用していきます。 続きを読む

デザインにおける七福神文(しちふくじんもん)

七福神しちふくじんは、恵比寿天えびすてん大黒天だいこくてん毘沙門天びしゃもんてん弁財天べんざいてん布袋尊ほていそん福禄寿ふくろくじゅ寿老人じゅろうじんの7つの神様の総称です。

江戸時代には七福神信仰が盛んで、新年には宝船に七福神を乗せた絵が好んで用いられていました。 続きを読む