車文(くるまもん),縹地源氏車青海波模様素襖(はなだじげんじぐるませいがいはもようすおう)

デザインにおける車文(くるまもん)


車の模様(文様)は、公家くげが乗った御所車ごしょぐるま(牛車)や花を乗せた花車、水辺の水車などがあり、車輪を模様にした車輪文しゃりんもんも古くから使用されてきました。

デザインにおける車文(くるまもん)

車を模様化した車文くるまもんは、鎌倉時代や室町時代においても、大紋だいもん素襖すおうなどの武家の服飾に用いられていました。

平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍し、浄土宗の開祖である法然ほうねんの生涯を絵画化した作品である「法然上人絵伝ほうねんしょうにんえでん」には、車文くるまもんが描かれた例があります。

御所車ごしょぐるま(牛車)は、『源氏物語』の世界を象徴して「源氏車」ともいい、車文くるまもんを他のデザインとの組み合わせることによって「王朝の情緒」を表現する模様(文様)としても活用されていました。

江戸時代後期に作られたとされる素襖すおうである「縹地源氏車青海波模様素襖はなだじげんじぐるませいがいはもようすおう」は、源氏車が青海波模様のように美しく表現されています。

紋章としての車紋

室町時代頃に成立したとされる物語である『太平記たいへいき』には、「目をる磨る四方をきっと見ければ、車のの旗一流築地ついぢの上より見へたり」というような記載があり、 紋所の名として車輪を図案化したものが登場しています。

車紋の種類としては、「片輪車」、「重波切車」、「六本骨源氏車」、「八本骨源氏車」などがあります。

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