素材」カテゴリーアーカイブ

絹織物である甲斐絹(かいき)の特徴

絹織物の名前である甲斐絹(かいき)は、海気や改機、海黄、加伊岐などとも表記されてきました。

甲斐絹(かいき)は、もともと慶長けいちょう(1596年〜1615年)以前にオランダ人が貿易で日本にもたらした織物とされます。

寛文かんぶん年間(1661年〜1673年)に、甲斐絹(かいき)にならって甲斐かい(現在の山梨県)の郡内地方で同じような織物を生産し、これを「郡内海気」や「郡内」と言いました。

明治時代の初め頃から、産地の名前にあやかって「甲斐絹(かいき)」の字を当てたとされます。

経糸、緯糸に染色した絹練糸を用いた平織物で、色糸の使い分けによって無地や縞柄、格子や玉虫、雪降などの種類があります。 続きを読む

刺し子された藍染布 岡村吉右衛門『庶民の染織』

こぎん、こぎん刺しとは?麻布の仕事着である「こぎん」の特徴と東北地方の麻布文化について

こぎんとは、麻でできた単衣ひとえ(裏地がない着物)の仕事着を表します。

東北地方の中で、特に青森県や秋田の日本海側の地域で「こぎん」という呼称が使われていました。

江戸時代後期の明和めいわ安政あんせい年間の文献に、「小巾こぎん」の文字が見られています。

青森県の津軽地方では、藍染で濃紺に染められた麻布の長着ながぎ短着みじかぎのの背中と前身頃まえみごろに白い木綿糸で刺しつづる(刺子さしこ)、「こぎん刺し着物(津軽刺しこぎん)」があります。 続きを読む

染色・草木染めにおいて、ウール(羊毛)のフェルト化を防ぐ方法

羊毛(ウール)を染色した際に素材がフェルト化して硬くなってしまうと、風合いが大きく変わってしまったり、糸を染めた場合は糸同士がくっついたりして、使い物にならなくなってしまいます。

羊毛(ウール)のフェルト化は、水分、高温と圧力、薬品などが作用することで起こる可能性があるため、それらの要素に注意して染色を行う必要があります。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

蚕(かいこ)の繭(まゆ)から生糸を作る場合は、糸を撚るのではなく繰る(くる)

シルク(絹)は、かいこによって作られた繊維とその製品の総称です。

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、かいこが作るまゆを利用して糸づくりを行っていました。

現代においても最高級の繊維とされているシルクの特徴はさまざま挙げられ、その糸づくりも綿や麻などの植物繊維とは違いがあります。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

日本における絹(シルク)の歴史。中国からシルクロードを通じて世界へ

絹(シルク)の起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝こうていの妃である、西稜せいりょうまゆから糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕ようさんと製糸の技術を教えたことから始まったとされています。

殷代安陽期いんだいあんようき(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨こうこつ文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝いんおうちょう時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕ようさんが行われていたと考えられているのです。 続きを読む

絹織物の羽二重(はぶたえ)とは?羽二重の技法と種類について

羽二重はぶたえは、新潟や富山、石川、福井や福島などで生産され、地理的な共通点としては北陸地方という点があります。

羽二重はぶたえという織物は、製織せいしょく工程において密に並べた経糸に、湿り気を与えた緯糸を打ち込む必要があるため、空気中の湿度を必要とし、夏は多湿で冬も雪が降る期間が長く、湿度の高い北陸地方が生産に適していました。

羽二重はぶたえといえば、重めのものは染帯地や黒紋付地などで、軽めのものは胴裏どううらやスカーフ用などに使用されます。 続きを読む