素材」カテゴリーアーカイブ

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

絹糸(シルク糸)の作り方は、糸を撚る(よる)のではなく繰る(くる)ことによって出来る

シルク(絹)は、かいこによって作られた繊維とその製品の総称です。

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、かいこが作るまゆを利用して糸づくりを行っていました。

現代においても最高級の繊維とされているシルクの特徴はさまざま挙げられ、その糸づくりも綿や麻などの植物繊維とは違いがあります。 続きを読む

藍染された糸

糸を撚る(よる)とは?撚糸(ねんし)における甘撚り糸(あまよりいと)と強撚糸(きょうねんし)の特徴について

1本の糸をつくるためには、1本から複数の糸をねじりあわせることでりをかける作業が必要です。

り」とは、糸をねじり合わせることを意味し「撚糸ねんし」という言葉は、「りをかけた糸」を表します。

糸をることで、丈夫な1本の糸をつくることができるのです。

りの方向には、左り(Z撚り)とり(S撚り)がありますが、一本の糸のみでつくられた単糸たんしは、基本的にZりです。

Yarn twist,左撚り(Z撚り)と右撚り(S撚り)

左撚り(Z撚り)と右撚り(S撚り),PKM, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

この糸のりについて考えるのは、すごく重要なことです。

なぜなら、る方法によって、糸の強度、肌ざわりや風合いに大きく影響するためです。 続きを読む

ウールの黄ばみの原因とは。黄ばんだウールの洗濯方法と、黄色の変色とカビをできる限り防ぐ方法

ウールは日光に当たったり、酸化さんかによって、次第に黄色味を帯びてきます。

もちろん黄ばみに関しては、ウールだけではなく、コットンやシルク、ナイロンやポリエステルなどさまざまな繊維に対して発生します。

ウール糸のストック,Stock of wool

ウール糸のストック,Stock of wool ,Lauchap, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

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生機(原反)加工の流れ。精錬、毛焼き、糊抜き、漂白等。P下、下晒し生地とは何か

織り機や編み機で、出来上がったばかりの生地のことを、生機きばた原反げんたんといいます。

そのまま、未加工で使用する場合もありますが、油脂ゆしや繊維のカスなどの不純物が混在していることが多いので、何かしらの加工をしてから商品として出荷されます。

倉敷帆布を織るシャトル織機の様子

倉敷帆布を織るシャトル織機の様子,Baistone, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

人類最古の繊維である麻の歴史。麻の種類と繊維の性質、日本の麻栽培地と主要な麻織物産地について

人類にとって、繊維の中でも麻との関わりが最も古くからあると言われます。

紀元前約1万年前の新石器時代の遺跡から、麻織物が出土しています。

また、紀元前の古代エジプトのミイラは、麻の布で包んでありました。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

シルク(絹)とは?シルクの性質と特徴、美しい光沢感をもつ理由について

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、マユを利用して糸をつくることを知っていたようですが、現代においては貴重で最高の繊維とされているシルクの特徴としては、さまざま挙げられます。 続きを読む

リップル加工(ripple finish)とは?シルケット加工とマーセリゼーション(mercerization)について

綿繊維は、苛性かせいソーダで処理すると収縮しゅうしゅく(縮む)する性質があります。

そこまで厚みのない平織りの綿織物に、強アルカリの苛性かせいソーダ(水酸化ナトリウム溶液)を含んだのりをプリントしたり、先に樹脂等で防染しておいてから苛性かせいソーダに浸けるかすると、苛性かせいソーダがついた部分が収縮して、その他の部分も自然な縮み方をします。 続きを読む

からむし糸と絹糸で織った布

【染織の名著】堀切辰一(著)『襤褸達の遍歴ーこぎれ四百姿』

1987年1月21日、古民具店を経営していた堀切辰一氏が、『襤褸らんる達の遍歴』という本を出版しました。

この本は、約15年かけて全国から集めた着物やふとん地の布400枚が、4センチ×12センチに切り分けられ、貼り付けられています。

江戸から昭和初期にかけて生産された布たちの用途、材質、産地を一枚ずつ調べ、可能な限り身につけていた人から着物にまつわる話を聞き出して、解説が書かれているのです。

襤褸らんるとは、「ぼろきれ」や「ぼろ」のことを指し、使い古した布や、補修されて継ぎ接ぎだらけの布を意味しています。

堀切氏は、「ぼろ」ではなくあえて襤褸らんると呼んでいました。

なぜなら、小さな布もまだ使命を持っており、役に立たないものではないから「ぼろ」と呼ぶのはふさわしくないと考えていたためです。

古着としても歴史資料の価値がある着物を切り刻んで本に張るのには、やはり周囲の反対があったようですが、「布に込められた人生と思いは、実物の布に触れてもらわないと伝わらない」と堀切氏はあえて本に残したのです。

襤褸 

経糸がからむし糸、緯糸に絹糸で織られた布

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