色合い」カテゴリーアーカイブ

藍染された浅葱色(あさぎいろ)の糸

京の水藍(みずあい)。幻の京藍の歴史と栽培方法について

藍染の原料となる藍の栽培は、古くは日本中で行われていました。

京都においては「京の水藍みずあい」という言葉が江戸時代の文献に残っており、色合いがあざやかで品質が高かったとされ、水藍の色は京浅葱きょうあさぎ(淡い水色)とたたえられていました。

水藍とは、その名前だけあって、水稲すいとうのように水を張って田んぼで栽培された藍のことです。

水藍は、京藍、東寺藍、ちょぼ藍(田んぼのことを、その土地の言葉で「ちょぼじ」と言ったことに由来)などと呼ばれていました。

水藍に使用された藍の品種は、京都の東九条村では「丸葉」と呼んでいたようですので、基本的には丸葉タデ藍(丸葉藍)であったと考えられます。

Persicaria tinctoria bergianska

蓼藍(丸葉),タデアイ,Persicaria tinctoria bergianska,Udo Schröter, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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縞織布『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

藍下(あいした)とは?藍と植物染料の重ね染めについて

藍下あいしたとは、藍で下染したぞめするという意味でこの名があります。

べに下染したぞめするのを、紅下べにしたというの同じです。

昔は、高級品で深みのある黒紋付の染色などに、檳榔子びんろうじが使用されていましたが、その場合、藍や紅などで下染めした上に、檳榔子染びんろうじぞめをすると、青味または赤味を含んだ黒を染めることができました。

藍で重ね染めをすると、堅牢度けんろうどの向上も期待することができます。
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豆汁(ごじる),呉汁(ごじる)

染色・草木染めにおける豆汁(ごじる)の効用。豆汁(呉汁)の作り方について

染色・草木染めにおいて、大豆をすりづぶして作った豆汁ごじる呉汁ごじる)が使用されてきました。

豆汁ごじるの成分は、主に大豆タンパク(グリシニンglycinin)とデンプン、脂肪の混合物となります。

絵具や顔料を定着させるために、豆汁ごじるの大豆タンパクが役割を果たします。

卵白らんぱくや牛乳なども、豆汁ごじると同じようにタンパク質による接着剤、凝固剤としての役割をします。 続きを読む

天皇の色彩である黄櫨(こうろ)、黄櫨染(こうろぜん)と皇太子の色彩である黄丹(おうに)とは?

黄櫨こうろ黄櫨染こうろぜんと呼ばれる色彩があります。

平安時代以降、日本の天皇が儀式のときに着用するほうの色と決められ、「絶対禁色ぜったいきんじき」として天皇以外は着ることが許されない色とされてきました。
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蘇芳色(すおういろ)黒みを帯びた赤色

染色・草木染めにおける蘇芳(すおう)。蘇芳(すおう)の染色におけるポイントについて

蘇芳すおう(学名Caesalpinia sappan)はインドやマレーシアなどの熱帯地域に自生しているマメ科ジャケツイバラカ亜科の植物です。

蘇芳すおうは成長すると樹高が5~10メートルになり、幹にはトゲが多く、葉は鳥の羽が並んでいるような形の羽状複葉うじょうふくようで、5月から6月ごろに円錐花序えんすいかじょを出し、黄色い花を咲かせます。
蘇芳すおうは、その芯材しんざいに含まれるブラジリン(brazilin)と少量のヘマティン(天然赤色色素が染料として使われてきました。 続きを読む

染色・草木染めに適した水。天然染料の水洗いについて

染色・草木染めにおいて、イメージ通りの色合いに仕上げるためには、染色に使用する水(どのような成分が含まれているか)について、注意しておく必要があります。

染色・草木染めに適した水において、先人たちの文献から、参考になりそうなものを引用していきます。 続きを読む

インド更紗

染色・草木染めにおける堅牢度(けんろうど)。色落ちしづらく染めて、染色堅牢度を高める方法について

染色において、化学的なもの(化学染料)でも天然由来のもの(天然染料)でも、必ず染まり上がった色合いは時間が経つにつれて変化していきます。

天然の原料を使用した草木染めの欠点としては、使用する染料植物や染色方法にもよりますが、基本的には堅牢度けんろうどがあまり良くない点があります。

ただ天然の草木染めは比較的早く色あせてしまうからこそ魅力があり、今この瞬間の色を楽しむことができるとも言えます。

Natural Dyeing in Tabriz 2019-07-21 05

Natural Dyeing,Fars Media Corporation, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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染色・草木染めにおける紫根(しこん)。紫草(むらさき)の薬用効果や歴史について

紫色を染める材料としては、古代から紫草むらさきが主に使用されてきました。

紫を染める草というので、紫草むらさきと書きますが、染色に用いるのはその根で、「紫根しこん」と言います。

紫草むらさき(学名 Lithospermum erythrorhizon)は、ムラサキ科の多年草で、日本や中国、朝鮮、ロシアなど広く分布しており、山地や草原に自生しています。

Lithospermum erythrorhizon (Boraginaceae) (35666554771)

紫草,Lithospermum erythrorhizon,yakovlev.alexey from Moscow, Russia, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons,Link

樹高は、30〜60cmほどに成長し、6〜7月に白い花が小さく開き、小粒の琺瑯質ほうろうしつの実をつけます。

白い花が群れて咲くことから、「むらさき」の名前があるともいわれています。 続きを読む