色合い」カテゴリーアーカイブ

古代日本人の色彩感覚を延喜式から読みとる。衣服令(服色制)と草木染め。

日本の古代の人々は、草木が成長し花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊(木霊)の力であると信じ、草木からとれる自然の色で、衣服を染めつけていました。

強い精霊の宿るとされる草木は、薬用として使用されていました。薬草に宿る霊能が、病気という悪霊によって引きおこされた病状や苦痛を人体から取り除き、悪霊をしりぞける作用があるとされていたのです。

染色の起源は、草木の葉っぱや花などを擦りつけて染める「摺染」(すりぞめ)です。

日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染」(しんせん)の技術が中国から伝わってきてからです。 続きを読む

露草を原料にした青の染め色。浮世絵版画において、露草と紅の混色である紫色が重用された。

浮世絵版画において、特徴的な色として露草(ツユクサ)を原料にした青があります。

露草は、夏の暑い時期に青い花を咲かすツユクサ科の一年草です。別名を、月草や蛍草などともいいます。

英語名では、Dayflowerと表記し、花が咲いてからわずかな時間でしぼんでしまうという特徴が名前からよくわかります。

古くから日本では、この露草を原料にした青色が使われていました。 続きを読む

なぜ、人種によって肌の色が違うのか?メラニンとヘモグロビンの色素が、肌の色を決める大きな要因となる。

肌の色を決め、人種、性別、季節、身体の部位によってその違いを生み出すのは、メラニンと血中のヘモグロビンが大きな要因となっています。

メラニンが肌の色と髪色を決める

肌にはいくつかの色素がありますが、主に肌色を決めているメラニンが、多いか少ないかによって肌の色が変わってきます。

メラニンには、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類があり、ユーメラニンは、やや黒みを帯びた濃い茶色である褐色から黒色です。フェオメラニンは、黄色から赤色をしています。 続きを読む

化粧品に使用される色材の種類。有機合成色素、無機顔料、天然色素、真珠光沢顔料、高分子粉体とは?

化粧品に使用される色材は、①有機合成色素②無機顔料③天然色素④真珠光沢顔料⑤高分子粉体に大きく分けることができます。

化粧品は、人の肌に直接使われるものなので、高度な安全性が求められますが、そこに使われる色材についても、厚生労働省令によって法的に規制されています。

有機合成色素

日本では、化粧品に使用できる有機合成色素の種類は限定されており、用途や使用する身体の部位によっても、さらに限定されています。 続きを読む

日本における化粧の歴史とその色彩。古典的な赤化粧から、白粉を使った白化粧について。

化粧の原型は、顔や身体への彩色と言われます。

体に色を塗っているアフリカの部族を映像で見たことがある人も多いかと思いますが、古くは部族や階級間の差別化や、色がもたらす呪術的な目的のために彩色が行われていたと考えられます。

染料や顔料の使用目的について、『東方染色文化研究』には、まず薬用効果があり、そこから色を獲得してきた目的について3点挙げています。 続きを読む

藍染された布や糸から、石灰と水飴を使って顔料化する「飴出し法」。

江戸時代に描かれた浮世絵には、さまざまな色が使われていましたが、藍色もその中にありました。

青の色をつくるのに露草や藍が使われていましたが、植物由来の色であるために、日に焼けて変色しやすかったり等、版画向きでなかったのは想像に難しくありません。 続きを読む

草木染め・染色における灰汁の効用。木灰から生まれる灰汁の成分は何か?

木や藁(わら)の灰に水や熱湯を加えてかき混ぜると、灰が沈殿したその上澄み液が灰汁と呼ばれるアルカリ性の液体になります。

古くから世界中で洗濯用の「洗剤」として広く使われていたり、日本ではお酒に混ぜてアルカリ性にすることで防腐や色つけ効果を求めたり、灰汁をつくった後に残った灰は焼き物の製造などに活用されてきた歴史があります。

普通に生活していても、灰汁というものにふれる機会はないと思いますが、現代においても灰汁が活用されている分野があります。 続きを読む

車輪梅(しゃりんばい)の染色方法。

車輪梅(しゃりんばい)は、バラ科シャリンバイ属の常緑低木で、日本(東北地方南部以南)、韓国、台湾までの海岸近くに分布します。

しゃりんばいという名前の由来は、4月から5月ごろにウメに似た白色の花が、円すい状に集まって開花し、枝と葉っぱが車輪状に付くことから命名されました。

樹皮から作られた染料が、大島紬の泥染用に使われることで知られています。

車輪梅(しゃりんばい)の染色の準備

月刊染織1994年4月号に、実際に染めてみた例が記載されているので紹介します。

①まず、原木を砕いて、厚さ0.5cm~1cmほどのチップ状にします。

②チップ30kgに炭酸ナトリウム45gを加え、水に浸かるようにして鍋に入れ、約6時間煮沸します。

③染液をふるいでろ過してクズを取り除き、90リットル分に調整します。

④3日間後に、染色に使います。

車輪梅の染色

①シルク糸400gを染液16ℓで沸騰するまで加熱したあと、1時間そのまま放置して冷やします。

②次に、0.02%クロムみょうばん水溶液40ℓに糸を分浸けて、媒染します。

③糸を自然乾燥で干した後、鍋にいれて、1or2ℓの染液をかけ、5分間揉み込み染色します。

④再び、染液16ℓで煮沸するまで加熱します。

⑤1時間、そのまま放置して冷やしてから②→③の工程をします。

⑥3回目と同じく繰り返し、4回目の煮沸染色をおこなった後、水洗いをして染色が終了です。

染色の結果

上記の染色の結果ですが、色合いは、濃い茶色となり、光に対する堅牢度が4級、重量増加率は 8.9%であったようです。

草木染め・植物染色の薬用効果と抗菌作用。祈念と薬用効果を求めて、薬草を使った染色が古代に始まる。

人類は、古くから自然の植物から色を獲得して、自ら身にまとう布に対して染色をおこってきました。

古代の人々が、まずは目の前にある、色のついた土や植物から色を獲得してきたというのは容易に想像ができます。

ただ、古代に始まった染色は色をつけるためだけのものではありませんでした。

もともとは、自分の身を守るための薬用効果を求めてはじまったとされているのです。

祈念と薬用効果を求めて、布を染色

日本の古代の人々は、草木が成長し、花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊(木霊)の力と信じ、草木で衣服を染め浸けていました。

染色の起源は、草木の葉っぱや花などを擦りつけて染める「摺染」(すりぞめ)でした。日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染」(しんせん)の技術が中国から伝わってきてからです。

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灰汁で布を白く精錬する(晒す)技術。奈良晒(ならざらし)の反物はどのように作られたのか?

江戸時代に奈良では、織り上げられた麻の布を白く晒した(精錬)上質な布が生産されていました。

当時から、「奈良晒(ならざらし)」と呼ばれました。

室町時代には、奈良晒しの原料となる、苧麻(からむし(イラクサ科の多年草木))は、苧引き(おびき)という皮剥ぎを行なって、繊維を苧積み(おうみ)できる直前の状態まで半加工して、青苧(あおそ)という状態で流通していきました。 続きを読む