投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

正倉院宝物「花氈第1号」藍地に紅・緑の濃淡で大唐花文を2つあらわす

デザインにおける唐花(からはな)・唐花文(からはなもん)

唐花からはな(唐花文)とは、現実に存在しているものと、空想上の花を集めて中国で作り上げた花模様(花文はなもん)です。

複雑で花弁がたくさんある花文はなもんをさまざまな方法で組み合わせ、華やかで美しい花形が構成されます。

唐代に盛んに染織品に用いられ、もともとはインドやペルシャ、ギリシャなどの西方的な要素を強く含み、いわゆる唐草模様からくさもようと同じようにデザインのモチーフにされました。 続きを読む

デザインにおける追洲流(おうすながし)・蛇籠(じゃかご)

追洲流おうすながし、すなわち蛇籠じゃかごを形どった模様(文様もんよう)は古くから紋章や染織品などのデザインに用いられてきました。

追洲流おうすながし」とは、河岸の土手が崩れるのを防ぐために護岸用に使った「蛇籠/蛇篭(じゃかご)」(長い籠に石をつめ河岸に横たえたもの)と、それを止めるためのくい臥牛がぎゅう=寝ている牛)の構造物をかたどったものを表します。

追洲流おうすながしのデザインとしては、蛇籠じゃかごに杭があるもの、杭だけのもの、蛇籠じゃかごだけのものの三種類あります。 続きを読む

デザインにおける扇(おうぎ)

おうぎは、儀式の際や夏の暑さに対してすずむために用いられる道具です。

平安時代前期に日本で生まれ、笏(しゃく)から変化して生まれたとする説がありますが、はっきりとはしていません。

おうぎは人々に用いられた道具として模様化(文様化もんようか)され、さまざまなデザインに用いられてきました。 続きを読む

葡萄色(えびいろ)

染色・草木染めにおける葡萄染(えびぞめ)。葡萄蔓(えびづる)を利用した染色方法について

日本の色名に、ヤマブドウの実が熟したような赤紫色のことを表す、葡萄色えびいろがあります。

葡萄えびは、甲殻類の海老えびではなく、果物のブドウのことです。

紫色を染める植物といえば、紫草むらさきが知られますが、今回は蝦蔓えびずる(えびかずら)を使用した、葡萄色えびいろについて紹介していきます。
続きを読む

老松(おいまつ)模様(文様),「糸入れ」された伊勢型紙

デザインにおける老松模様(おいまつもよう)・老松文(おいまつもん)

老松文おいまつもんは、松模様(文様)の一つです。

能舞台の鏡板かがみいたに描かれている老松の図は、典型的な老松文おいまつもんです。

老松(おいまつ)横浜能楽堂 舞台正面

老松(おいまつ)横浜能楽堂 舞台正面,yoshi_ban, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons,Link

教訓抄きょうくんしょう」という鎌倉時代に記された日本国最古の舞楽書によると、松はとくに芸能の神様の依代よりしろ(神霊が依りく対象物のこと)であり、能舞台の鏡板かがみいたに描かれている松の絵のルーツは、奈良の春日大社の「影向の松(よごうのまつ)」に由来しているとされます。 続きを読む