江戸小紋(えどこもん)

小紋(こもん)とは?小紋の歴史や江戸小紋の制作工程について

江戸小紋えどこもんという言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますが、そもそも小紋こもんとはどのような意味でしょうか。

もんという言葉は、単一または反復文様を表し、一般的には秩序立って乱れがなく、きちんと並んでいる様を表す模様(文様)を意味します。 続きを読む

井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

日本における染色と色彩の歴史。日本の伝統色や色名について

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は活用されてきた歴史や色の豊富さなどをみると、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。

古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていたとされます。

古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に「木霊こだま」と呼ばれ、一番身近に存在する「和霊にぎたま」としてとらえていたとも言われています。 続きを読む

デザイン・染色におけるザクロ(柘榴)。ザクロの歴史について

ザクロPomegranate(学名Punica granatum)は、インド北部からイラン、アフガニスタン、パキスタンなどのレバント(東部地中海沿岸地方)あたりを原産地とする説があり、有史以前から栽培されていたとも考えられています。

生のまま果実が食用として愛好されたり、未熟な果実の果皮は赤い染料の原料となり、モロッコでは革をなめして赤く染めるために使用されてきました。

ザクロの主成分はアルカロイドのペレチエリンで薬用としても古くから活用され、幹や枝、根っこの皮を使い、条虫じょうちゅう駆除薬として服用されます。

果実の皮は、下痢や下血げけつ(お尻から血が出る)に効果があるとされます。

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呉服・染織業の仲介役を担う悉皆屋(しっかいや)

京都は歴史のある染織品の生産地であり、江戸時代からこの地で染織されるものは「京染」や「京染物」などと称されました。

京友禅西陣織など、高度に分業化した産地であったため、加工業者と流通業者を取り持つ調整役となっていた悉皆業しっかいぎょうを営む「悉皆屋しっかいや」が、さまざまな状況に対応しながら顧客の需要を満たしていました。

悉皆屋しっかいやという言葉は、今では聞く機会はほとんどありませんが、江戸時代から昭和にかけて京都や江戸などの呉服屋染織業界の加工仲介業を担い、流通を支えていました。

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煤竹色(すすたけいろ)

染色・色合いにおける煤竹色(すすたけいろ)

江戸時代の色名の中で、数多くの色名になっているのが「煤竹すすたけ(すすだけ)」です。

煤竹すすたけ(すすだけ)は、茅葺かやぶき屋根の屋組に使用した竹が、囲炉裏やかまどなどの煙で長い間かけてすすけて、赤味のある黒茶色に染まったものを言います。

その煤竹すすたけ(すすだけ)の色を「煤竹色すすたけいろ(すすだけいろ)」と呼び、衣類などに染められました。
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平安時代の庶民の衣服や染織文様がわかる『信貴山縁起絵巻』(しぎさんえんぎえまき)

平安時代後期に制作された絵巻物である国宝『信貴山縁起絵巻』(しぎさんえんぎえまき)は、奈良の朝護孫子寺に所蔵されています。

いわゆる「日本四大絵巻」の一つで、他には『源氏物語絵巻』(げんじものがたりえまき)と、『伴大納言絵詞』(ばんだいなごんえことば)、『鳥獣人物戯画』(ちょうじゅうじんぶつぎが)があります。 続きを読む

川越唐桟(かわごえとうざん)『川越唐桟縞帳』

なぜ、江戸時代に縞柄の着物を着用することが粋(いき)だったのか?

江戸時代後期に、町人の間で好まれた模様(文様)が縞です。

縞は英語で「stripe(ストライプ)」ですが、柄を表現するのには、シンプルであるがゆえに、色糸、柄の大小や間隔の組み合わせによって無限大の表現方法があると言えます。
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藍染された木綿糸(先染め)

6種類の基本的な染色の仕方と染料の種類。直接染法、反応染法、建染め染法、発色染法、媒染染法、分散染法について

染色とは、繊維品や革、紙などの製品に染料を用いて色をつけること(染める・着色)を表します。

染色の「染」の字は「水」を表す部首であるサンズイと、「木の枝葉」や「花のついた枝」などを表す「」をから成り立っており、もともとは草木を染料にしていたことが漢字からもわかります。

また、「そめ」は、古くは「しむ」といっており、「何かに他のものが浸透する」「液体に十分浸して浸透される・湿らせる」などを表すように、「染」「泌」「浸」「滲」「湿」などの字が当てられました。

この「しむ」から母音交代語として「そむ→そめ」が出て、「染」の字が当てられたとされます。

現代における染色方法は、基本的に6種類に分けられます。

染料の種類も数多くありますので、本記事で紹介していきます。 続きを読む

ぼかし染め(グラデーション染め)

染色におけるぼかし染め・グラデーション染め。色彩や濃度を数段階に分けて変化させる繧繝(うんげん)について

ぼかし染め(暈染ぼかしぞめ)は、色彩や濃度を次第に変化させて染めることを表します。

一色(単色)、または数色がそれぞれ濃淡に表現されたもので、「グラデーション染め」などとも言います。 続きを読む