6種類の基本的な染色の仕方と染料の種類。直接染法、反応染法、建染め染法、発色染法、媒染染法、分散染法について。


染色方法は、基本的に6種類に分けられます。

1、直接染法

直接染料は、染料自体ががそのまま水によく溶けます。そのため、染料で水溶液をつくり、その中に繊維を浸して加熱することで染められます。

特別な助剤がなくとも、動物繊維、植物繊維の両方に染める染料で、アクリル繊維に使うカチオン染料なども直接染法です。

染め方の原理としては一番簡単ですが、一般的には色がクリアに染まりづらく、洗濯や太陽の光に対する堅牢度は高くありません。そのため、古くから色止めの方法がさまざま工夫されてきました。

2、反応染法

反応染法とは、染料と繊維とを化学反応によって結びつける方法で、綿などのセルロース繊維によく使われます。

染料には、セルロースの水酸基(hydroxyl group)やタンパク質のアミノ基(amino group)などと共有結合する反応染料が使われます。

色はクリアで、洗濯の際の堅牢度は高いので、綿繊維の染色にはもっとも適していると言われます。

3、建染め染法

建染め染法は、還元染法ともいいます。

インディゴやインダンスレンのような建染め染料や、黒や紺に染めるのに使われる硫化染料は、水には溶けないので、直接染料のようには染められません。

色素の元が、アルカリ性の水溶液で還元することにより、水溶性となり繊維に染まるようになります。染料から出し、空気にふれて酸化することによって、繊維の中で不溶性の色素となり定着します。

染料を染まるように還元する方法を「建てる」といい、藍染の染液を発酵させてつくることも、古くから「藍を建てる」言われてきました。

洗濯の際の堅牢度や太陽光に対する堅牢度も優れていて、実用性が高いです。

4、発色染法

発色染法も水に溶けない染料を使って染める時の方法で、ナフトール染料やアニリン・ブラックなどがあります。

ナフトール染料(naphthol dye)は、「アゾイック染料(azoic dye)とも呼ばれ、下漬剤(したずけ)のナフトールと顕色(発色)剤のジアゾニウム塩を繊維の上で結合させ、発色させます。

綿や、麻、レーヨンなどのセルロース繊維に使うようの染料で、色素が水に溶けないので洗濯堅牢度が高く、浸染や、捺染によく使われてきました。

アニリン・ブラックは、塩酸アニリンの水溶液に繊維を浸し、続いて重クロム酸ナトリウムの水溶液を通すと、アニリンが酸化して黒色に染まります。

古くは、木綿を黒く染めるのに広く用いられたが,今ではきわめて特殊な場合にしか使われないようです。

5、媒染染法(ばいせん)

染料が水には溶けるが、繊維にちゃんと定着して染まらないときに、染める前か後に繊維を媒染剤で処理すると、染料が繊維のなかで媒染剤と結びついて、レーキという水にとけない染料となって定着し、洗っても色落ちしなくなります。

色も濃く染まり、媒染剤によってさまざまな色合いを出せます。媒染剤としては、アルミやクロム、カルシウムや鉄などの金属塩がよく使われます。

いわゆる草木染めのような植物染料の多くは媒染によって染められます。

ヨーロッパでトルコ赤と呼ばれ広く使われてきた茜(アリザリン)の染色には、媒染剤として木の灰にお湯を混ぜて作るアルカリ性の液体である灰汁やミョウバン、カルシウム塩やアルミニウム塩がよく使われましたが、今ではほとんど使われていないそうです。

6、分散染法

合成繊維の多くは、水に混じりにくく親和性が低い疎水性(そすいせい)を持っているため、水に溶ける染料では、ほぼ染まりません。

そこで、アルコールやエーテルに溶けやすい分散染料の微粒子を水の中に分散させて、加熱すると、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維に溶けて吸収され、染められるのです。

染料の種類

上記では、染色方法の種類について説明しましたが、下記では「染料」の種類について説明します。

①直接染料②酸性染料③塩基性染料④媒染染料⑤酸化染料⑥硫化染料⑦バット染料⑧カチオン染料⑨ナフトール染料⑩分散染料⑪蛍光染料についてです。

①直接染料

シルク、ウールなどの動物繊維や綿、麻などの植物繊維の両方に染め付く染料です。

染め方は至って簡単で、お湯を沸かして必要量の直接染料を入れるとすぐに溶けて染浴になり、その中に布をひたせば20分ほどでよく染まります。

その後、水洗いし乾燥させればOKです。

②酸性染料

シルク、ウールなどの動物性繊維によく染まるが、植物繊維には染まりません。レーヨンを化学的に改良したアセテート繊維や合成繊維の大部分にも染まりません。

昔の植物染料のうち、八丈苅安(はちじようかりやす)や支子(くちなし)などは酸性染料に属します。

染め方は、直接染料と同じ要領です。

③塩基性染料

塩基性染料は、色彩が最も美しいとも言われる染料で、シルクやウールによく染まります。

綿や麻にも染まりますが、脱色しやすい場合があるので、色を定着させるためにタンニン酸を用いたりします。合成染料としては最初に発明されたものが、塩基性染料です。

大正時代に「紅梅粉」といわれたローダミンB、「岩」と呼ばれたイチルバイオレットなどは塩基性染料です。

④媒染染料

媒染染料は、媒染剤の作用によって色が定着する染料です。

古くは、木灰と水を混ぜてつくられる灰汁や木灰そのものが重要な媒染剤でしたが、現在はもっぱら金属塩類が使われます。

金属塩には、硫酸銅、硝酸銅のような銅塩、酢酸アルミニウムのようなアルミニウム塩、硝酸鉄のような鉄塩、塩化第一錫のような錫塩(すずえん)などがあり、出したい色彩によって使用します。

媒染の種類によって、一つの植物から出せる色彩が変わるものもあります。

⑤酸化染料

酸化染料は、アニリンブラックに代表される染料で、大正から昭和10年代くらいまでは黒の高級染めとして木綿を染めるのに広く用いられていましたが、現在はほとんど使用されていません。

⑥硫化染料

硫化染料は、硫化ソーダを用いて綿や麻の植物繊維を染めるための染料です。

ほとんどが暗い赤色から黒までの色彩で、日光や洗濯による堅牢度は高いです。特殊な例で、絹の染色も行われたことがあるようです。

⑦バット染料

バット染料は、水に溶けない不溶性の染料ですが、アルカリによって還元すると、水溶性の化合物に変わります。

天然の発酵建てによる藍染や、藍の主成分であるインジゴを石油から人工的に合成して作った人造藍、スレン染料ともいう黒味がかった青色粉末のインダンスレンなどはバット染料です。

布に浸して染めてから、空気に触れされることにより、酸化発色するというバット染料の性質によって色を出し、日光や洗濯における堅牢度も良好です。

天然の藍を原料にしても、還元剤であるハイドロサルファイトやアルカリ剤の苛性ソーダを使用してしまうと、シルクに対する染料としては使用するのが難しいと言われています。

⑧カチオン染料

塩基性染料の一種であるカチオン染料は、合成繊維であるアクリル繊維を染めるために開発されました。

鮮やかに発色するものが多く、堅牢度も良好です。

⑨ナフトール染料

ナフトール染料は、昭和の初めごろに一般化した染料です。

ナフトール染料は中間物という、混合すれば色素になる2つの化学合成薬品(下漬剤と顕色剤)を1つずつ繊維に吸収させ、繊維の上で染料をつくって色を出します。

出せる色合いは、非常に広範囲です。

動物性繊維には向かず、植物繊維やレーヨン・キュプラなどの植物由来の再生繊維に使用されます。

⑩分散染料

分散染料はポリエステルやナイロンなどの合成繊維やアセテート繊維に対する染料で、水に溶けない不溶性であるため、各種の分散剤で水に溶かして使用されます。

⑪蛍光染料

蛍光染料は、白色のものをより白く見せるための染料です。

「蛍光」とは、光を吸収してエネルギー過剰な不安定状態となった蛍光分子が、再び安定な状態に戻るときに、過剰なエネルギーを「光」として放出する現象のことです。

目と脳によって光の波長を感じ取ることで色彩を感じられますが、染められた物体に付着していて、自ら放出する「蛍光」も非常に大事な要素なのです。

蛍光染料は、製紙工程や、洗濯の際に蛍光増白剤として使用されることがあります。

参考文献:『日本古代の色彩と染


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