西陣織（にしじんおり）の技法と歴史

長い歴史を経てきた西陣にしじん織物には、多種多様な技法によって、さまざまな織物が生産されてきました。

西陣織にしじんおりは、京都で生産され、高級な紋織物もんおりものとして有名です。

西陣織（にしじんおり）の技法

錦にしき、金襴きんらん、緞子どんす、繻子しゅす、唐織からおり、羅ら、紗しゃ、絽ろ、紬つむぎやウールの着尺きじゃくなど、織物の種類は数えきれないほどです。

その中で、絵模様や文様を表す手織り技法には2つの流れがあります。

一つは「紋織もんおり」で、もうひとつは「綴織つづれおり」です。

この2つの技法を基本として、大半の西陣織にしじんおりの帯地はできていました。

紋織もんおりは、簡単に説明すると、織りたい図柄をその設計に合わせて方眼紙で製図（紋織意匠紙）を作ります。

その図にしたがって、パンチカード（紋紙）を作成し、パンチカードによってジャガード機を動かして、織機しょっきで図柄を織り出す技法です。

綴織つづれおりは、織りたい図柄の下絵を、綴つづれ機に張った経糸の下にあてがいながら、平織の組織で経糸に地緯糸じぬきいとと絵緯糸えぬきいとを織り込み、図柄を織り表していきます。

794年、長岡京から平安京へと「平安遷都へいあんせんと」が行われた際、京都の西北に織部司おりべのつかさが設けられ、織工おりこう（しょっこう）達はこれに仕え、高級な織物を作っていました。

その後、保元ほうげん（1156年〜1159年）、平治へいじ（1159年〜1160年）の頃、朝廷の権威は衰えて、織部司おりべのつかさはほとんど廃止され、京都の機織はたおりは、官営から民間事業へと移行していきました。

室町時代中期の応仁おうにん元年（1467年）に応仁の乱が起こり、山名宗全やまなそうぜんは西に陣をとり、細川勝元ほそかわかつもとは、東に陣して戦ったため、織工達は堺やその他の地域に四散していきました。

文明9年（1477年）に戦乱が終息し、各地に離散していた織物職人たちも京都に戻っていきました。

山名宗全やまなそうぜんいる西軍の陣地が置かれていたあたりで、織物作りを再開したことが西陣織の名前の由来とされています。

そのため、西陣織と呼ばれるようになってから約500年ほどの歴史があるのです。