素材」カテゴリーアーカイブ

イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

人類最古の繊維である麻(あさ)の歴史。麻の種類と繊維の性質、日本の麻栽培地と主要な麻織物産地について

人類にとって、繊維の中でも麻(あさ)との関わりが最も古くからあると言われます。

紀元前約1万年前の新石器時代の遺跡から、麻織物が出土しています。

また、紀元前の古代エジプトのミイラは、麻の布で包んでありました。

繊維用語としての麻は、亜麻あま大麻おおあさ(たいま)、ラミー(ramie)、ジュート(jute)、マニラ麻などの総称を表します。
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サイザル麻(sisal hemp)とは?サイザル麻の特徴と用途について

サイザル麻sisal hemp(学名:Agave sisalana)は、キジカクシ科リュウゼツラン属の植物、およびそれから採取した繊維を表します。

「サイザル麻」と名付けられているように「麻」の繊維の一つとされますが、いわゆるアサ科アサ属の「アサ」とは植物学的に別種です。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ),絹糸(シルク糸)の原料

絹紡糸(けんぼうし)とは?絹紡糸のメリットとデメリットについて

絹紡けんぼうとは、まゆから生糸きいとを取る時に残った部分(製糸屑せいしくず)や屑繭くずまゆをほぐしたものなどの「副蚕糸ふくさんし」を原料にして、糸にする(つむぐこと)を表します。

つむいだ糸は、「絹紡糸けんぼうしスパンシルクヤーンspunsilkyarn)」などと言います。

日本においては、明治時代中期からは紡績技術が発達し、副蚕糸ふくさんしから絹紡糸けんぼうしがつくられてきました。

絹紡糸けんぼうしを用いた織物は、主に和装や風呂敷などに用いられてきました。 続きを読む

再生繊維であるキュプラ(cupro)とは?キュプラの特徴やメリット、デメリットについて

キュプラ(cupro)という繊維は、「レーヨン」と同じくセルロースを原料とします。

キュプラの原料は、レーヨンが用いている木材パルプではなく、綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている2mm〜6mmほどの短い繊維で、紡績ぼうせき用には向かないコットンリンター(cotton linter)です。

コットンリンター(cotton linter)を溶かしてから固めて、繊維の状態にします。 続きを読む

木材パルプと非木材パルプ。木材から作られる繊維、レーヨン、アセテート、トリアセテートについて

木材パルプは、紙の原料として主に使用され、木の幹の樹皮を取り除き、そのままチップ化したものに、機械的、科学的、あるいは複合的な処理をしてつくられます。

原料の木材は、針葉樹と広葉樹共に使われますが、針葉樹のパルプは繊維が長く丈夫であるのに対して、広葉樹は繊維が短くきめ細かいパルプができるという特徴があります。

海外では、えぞ松などロシアのシベリア地方で産出される北洋材の針葉樹が多く使用されていますが、国産材ではブナやナラなどの広葉樹が主体になっています。

木材の組成は、原木の種類によって大きく変わってきますが、おおよそセルロース分が約50%、リグニンが約25%、ヘミセルロース約23%、樹脂・その他が約2%からなっています。 続きを読む

平織りされた麻織物であるキャンブリック・カンブリック(cambric)生地

キャンブリックcambric(カンブリック)と呼ばれる生地は、本来は細番手の亜麻あま(リネン)糸を用いた緻密な平織物で、ベルギーとの国境に近いフランスの「カンブレー(cambrai)」という町で作られたものを言いました。

カンブレー(cambrai)は、フランドル(英名:フランダース)地方の一部として11世紀ごろから麻織物や毛織物などの織物工業が盛んでした。

現在は、オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)に属するこの町は、「シャンブレー(chambray)」の発祥の町でもあります。

シャンブレーとは、経糸を色糸、緯糸には白系の糸(晒糸晒糸さらしいと)を使用する生地で、綿またはリネンの先染め織物です。

イギリスでは、カンブレーで生産された麻織物に似せて、綿織物の裏にだけのりを付け、つや出し機(カレンダー)で「艶出し加工(カレンダーフィニッシュ)」を施したものを大量生産したため、もっぱらそれをキャンブリック(カンブリック)と言いました。

のり付けと艶出し加工を合わせて、「キャンブリック仕上げ(キャンブリックフィニッシュ)」と言われました。

かつては主にワイシャツにキャンブリック(カンブリック)の生地が用いられていましたが、現在では雑多な用途に用いられています。

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

絹(シルク)をこすり合わせた時に出る音「絹鳴り(きぬなり)」

絹(シルク)をすり合わせた時や、絹でできたおびを手や指でこすったりした時に出る音を「絹鳴り(きぬなり)」と言います。

一般的には、毛羽がほとんどない長繊維(フィラメント)の織物は、すり合わせると音が発生しやすいです。

特に絹糸は、単糸たんしの断面が三角形であるため、より高い音が出ます。 続きを読む

オーガンジー加工とは? Organdie finish

オーガンジー(organdy、organdie)とは、経糸、緯糸に細糸を使用した平織などの、透け感のある硬めの薄地織物です。

オーガンジーという言葉の由来ははっきりしていませんが、ウズベキスタンの古都「ウルゲンチ(Urgench)にちなむとされます。

オーガンジー加工(Organdie finish)は、もともとは綿織物の用いられてきましたが、レーヨン、シルク、アセテート、ナイロン、ポリエステル繊維にも使用されます。 続きを読む