素材」カテゴリーアーカイブ

黄八丈(きはちじょう)

黄八丈(きはちじょう)とは?八丈島の絹織物である黄八丈の歴史と染色技法について

黄八丈きはちじょうとは、主に草木染めで染められた黄色・樺色かばいろ・黒色の三色の糸を使って、さまざまな縞模様を織り出す絹織物のことです。

黄八丈きはちじょうは、広い意味で茶系統の鳶八丈とびはちじょうや黒系統の黒八丈くろはちじょうを含めた、八丈島で生産されたつむぎを総称しています。

全体的に渋く、味わいのある色合いであるため、絹織物らしい光沢感は抑えられます。

染色の工程で、乾燥のために長い日数を八丈島の強い直射日光にさらすため、堅牢度けんろうどが良く変色したり退色しづらい特徴があります。

黄八丈きはちじょうは、たくさん使われ、洗われることで、年を経るにつれて、より一層色合いが冴えてくるともいわれたりします。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ),絹糸(シルク糸)の原料

絹(シルク)のセリシンとは?セリシン(sericin)を除去する方法について

かいこ家蚕かさん)のまゆから取ったままの糸を生糸きいと(raw silk)と言います。

生糸きいとを構成している一本の繊維は、2種のタンパク質からなります。

カイコの体内にある左右の絹糸腺からつくられた2本の「フィブロイン」タンパク質が、膠質こうしつの「セリシン(sericin)」と呼ばれるタンパク質に包まれた形になっています。 続きを読む

『魏志倭人伝』に記載される倭国の染織品について

魏志倭人伝ぎしわじんでん』は、中国の三国時代についての歴史書です。

魏志倭人伝ぎしわじんでん』とは、中国の歴史書『三国志』に収められた『魏書ぎしょ』うちの「東夷伝とういでん」の項の「倭人わじん」の条にあたる部分のことを通称しています。

東夷伝とういでん」とは、中国の歴史書の中で、中国の東方に住んでいる諸民族について書かれた記述のことです。

3世紀初頭に「倭国わこくの女王」と称された卑弥呼ひみこが、中国の三国時代に華北かほくを支配した王朝であったへの贈りものとして、染織品も挙げられているため、弥生時代にはすでにある程度の染織技術があったと考えられます。 続きを読む

型染めされた木綿の藍染布,唐草模様,長板中型

藍作・藍染と木綿の深いつながり。共に発展し、衰退していった歴史

明治8年(1875年)に、東京大学の初代お雇い教師であったイギリスの科学者であるロバート・ウィリアム・アトキンソン(1850年~1929年)が来日した際、道行く人々の着物や軒先のきさき暖簾のれんなどを見て日本人の暮らしの中に、青色が溢れていることを知りました。

東京を歩き、日本人の服飾に藍色が多いのを見て驚いたアトキンソンは、明治11年(1878)『藍の説』を発表し、藍に「ジャパンブルー(JAPANBLUE)」と表現したとされます。

日本中の庶民にとって大切にされてきた、藍染の衣類。

藍染が日本に広がった理由として、木綿との非常に密接な関係がありました。 続きを読む

藍染された木綿糸(先染め)

綛糸(かせいと)・綛揚(かせあげ)・綛染(かせぞめ)について

綛糸かせいととは、紡いだ糸を巻き取る道具である桛枠かせわく(綛枠)に糸を一定の回転巻いて枠から外し、その糸を束ねたものを表します。

単に、「かせ」ともいい、この方法や一つに束ねる分量は、糸の種類によって異なります。 続きを読む

フェルト(felt)

フェルト(Felt)とは?フェルトの分類や作り方、歴史について

フェルト(Felt)とは、代表的な不織布として日常生活の中でも使用されており、ウール(羊毛ようもう)や獣毛繊維じゅうもうせんいを縮ませて作られるものです。

フェルトという言葉は、ギリシャ語のFulzen(結合させる)からきているように、ウール(羊毛ようもう)の縮絨性しゅくじゅうせい(縮むこと)をはっきりと表しています。

フェルトの技法は、スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国にも古くから伝わっており、フェルトの帽子や靴下など、その保温性の高さと摩擦に強いことから、現在でも世界中で広く親しまれています。
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細密に織られた絹布である縑(かとり)

かとり」は、細かく固く織られた絹布を表します。

細密に織られた絹布である縑(かとり)

かとり」は、太い糸で織った粗末そまつな絹布を表した「あしぎぬ」の対義語となります。

『日本書紀』には、神功皇后じんぐうこうごうの時に、古代の朝鮮半島南東部にあった国家である新羅しらぎから貢がれたとあります。

魏志倭人伝ぎしわじんでん』には、三世紀初めに「絳青縑こうせいけん」を日本からの使者に贈ったことが記されています。

平安時代には、かとりは、装束に仕立てるための布に用いられていました。

和綿が衰退した歴史。産業の近代化の波に飲まれ、輸入綿を原料に、和綿が切り捨てられる

木綿(cotton)は、16世紀には日本国内での栽培が広まっていき、17世紀初頭ごろには飛躍的に発展していきました。

木綿は庶民の日常的な衣服となり、江戸時代の経済と政治において、一貫して重要な役割を果たしていました。

しかし、明治維新を経て、殖産興業しょくさんこうぎょう政策のもとで、決定的な打撃を受けることになります。

殖産興業しょくさんこうぎょう政策とは、明治政府が西洋諸国に対抗し、機械制工業、鉄道網整備、資本主義育成により国家の近代化を推進したさまざまな政策のことを指します。

明治政府は、産業の近代化を「輸出振興」「輸入防遏ぼうあつ」という国家のスローガンを掲げ、輸出輸入の両面から綿業は、中核的戦略産業として位置づけられました。

外国の質の高い綿糸や綿布に負けないように、綿業の近代化は国家的な課題とされていたのです。 続きを読む

【おすすめのミシン糸】ミシン糸の選び方と縫い糸の種類について

縫製したい生地に対して、適したミシン糸(縫い糸)を選ぶのは非常に大切です。

ミシン糸の選択は、製品の質を向上させ、縫製の良し悪しにも影響してきます。

本記事では、素材に合った正しい縫い糸の選び方と縫い糸の種類について紹介していきます。 続きを読む

繊維におけるセルロース(cellulose)。セルロースが主成分である繊維に表れる特徴について

繊維におけるセルロース(cellulose)とは、天然の有機化合物のひとつで、植物に細胞(cell)として生成しています。

セルロースは、フランス人化学者であったアンセルム・ペイアン(1795年〜1871年)によって発見され、命名されました。 続きを読む