素材」カテゴリーアーカイブ

シーアイランドコットン(海島綿)の特徴について

木綿の原産地は、インドと言われています。

インドのパンジャブ地方は、古くから織物の技術の世界的な源であり、ヒマラヤを源流としインド洋に注ぐインダス川流域の文化とともに世界中へ広がっていきました。

紀元前1世紀頃の古代ローマでは、人々はすでに綿の布を身にまとっていたようです。

日本に木綿が入ってきたのは1200年ごろの鎌倉時代初期、中国から綿が持ち込まれており、その後に種子が伝わり、三河や遠江、大和、摂津、河内、和泉などが産地となりました。

17世紀前半ごろの江戸時代の早い時期には、幕府が栽培を問題視しなくてはならないくらいには、木綿栽培が全国各地で広がっていたのではないかと考えれています。

木綿が大陸から入ってくる以前は、麻が庶民の日常着でしたが、木綿の経済性や機能性の良さによって、江戸時代には木綿が庶民の日常着になっていくのです。

その後、明治時代の産業の近代化の波に飲まれ、国内の綿栽培は急速に衰退していきます。

綿を巡る歴史は、世界中数え切れないほどありますが、西インド諸島で栽培されていたシーアイランド・コットン(海島綿かいとうめん)とコロンブスの話があります。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ),絹糸(シルク糸)の原料

野蚕シルクの種類と特徴、家蚕シルクとの違いについて

シルクの素材を扱う上で、「家蚕かさん」、「野蚕やさん」という言葉に出会います。

野生であったものを人工的に繁殖させたり、品種改良しながら飼育されたが「家蚕かさん」と呼ばれます。

野生に生息していたり、野生に近い状態のマユをつくる昆虫類を「野生絹糸虫やせいけんしちゅう」と総称し、その中で特に実用的なマユをつくる品種を「野蚕やさん」と呼んでいます。 続きを読む

フェルト状にした毛織物

獣毛(じゅうもう)繊維の種類と特徴。モヘア、カシミヤ、キャメル、アルパカ、ラマ、兎毛(ともう)の毛繊維について

ウール(羊毛ようもう)は、家畜として飼育されている羊の毛です。

ウール(羊毛ようもう)以外に、紡績繊維として使用される動物繊維のことを獣毛じゅうもうと言います。

獣毛じゅうもうは、原始時代から毛皮として人類が用いてきた最も古い歴史を持つ紡織繊維と言えます。
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蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

蚕(かいこ)の繭(まゆ)から生糸を作る場合は、糸を撚るのではなく繰る(くる)

シルク(絹)は、かいこによって作られた繊維とその製品の総称です。

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、かいこが作るまゆを利用して糸づくりを行っていました。

現代においても最高級の繊維とされているシルクの特徴はさまざま挙げられ、その糸づくりも綿や麻などの植物繊維とは違いがあります。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

日本における絹(シルク)の歴史。中国からシルクロードを通じて世界へ

絹(シルク)の起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝こうていの妃である、西稜せいりょうまゆから糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕ようさんと製糸の技術を教えたことから始まったとされています。

殷代安陽期いんだいあんようき(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨こうこつ文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝いんおうちょう時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕ようさんが行われていたと考えられているのです。 続きを読む

イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

日本の綿花栽培・木綿生産が普及した歴史。苧麻が、木綿に取って代わられた理由

江戸時代に流通した主な商品は、米を抜きにして考えると、木綿・菜種・干鰯ほしか・酒・材木・などが上位を占めました。

江戸時代以前、木綿が大陸からやってきて広がっていくまでは、日本においてイラクサ科の多年草木である苧麻からむし(学名 Boehmeria nivea var. nipononivea)を原料にした布が一般的に生産されていました。

木綿は、戦国時代から江戸初期にかけて、爆発的に普及したとされています。
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松根(しょうこん)と藁(わら)を併用して燻した焦茶色の燻革(ふすべがわ)・印伝(いんでん)(鹿革)

燻革(ふすべがわ)・印伝(いんでん)とは?燻革の染色方法や歴史について

革染めで有名なものに、燻革ふすべがわというものがあります。

燻革ふすべがわとはふすべという言葉にあるようにけむりを利用して染められた革のことです。

人類史上、けものの皮の保存方法として原始的に最初に気づいた手段は、けむりいぶす「けむりなめし」であったとされています。

けむりで染色できるという点も、その関連で必然的に発見されたのでしょう。
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デニム(denim)・ジーンズ(jeans)の防虫・虫除け効果。デニムとジーンズの違いやリーバイスデニムの特徴について

デニム(denim)は、もともとアメリカで労働着(ワークウェア)として誕生しました。

1840年代にカリフォルニアで金の鉱脈が発見されたことにより、いわゆるゴールドラッシュと呼ばれる金の採掘ブームが1870年代にかけてまきおこりました。

金鉱労働者の間で堅牢けんろうな衣類の需要が増えたことが、デニム誕生の背景としてあるのです。

1853年、ドイツからサンフランシスコに移民としてやってきたLeviStraussリーヴァイ・ストラウスは、耐久性に優れたキャンバス素材を使ったパンツを自身の雑貨店で販売しました。

これが、世界中で愛されているデニムブランド「リーバイス(Levi’s)」のはじまりと言われています。 続きを読む