布の触感をやわらかくし、光沢感を与えるための砧打ち(きぬたうち)


砧打ち(きぬたうち)とは、布を木槌きづちで打って感触を柔らかくし、光沢感を出すために行われます。

古くから、絹や麻布の仕上げにきぬた打ちが行われました。

布の触感をやわらかくし、光沢感を与えるための砧打ち(きぬたうち)

布を織るときには張力がかけられ、洗ったりのり付けしたりとさまざまな要素によって、布を構成する糸は細く固まって粗硬そこうな感じになります。

平らな板や石の上などに置いた布を木槌きづちで丁寧に叩いていくことによって、糸はほぐれて布目がつまるとともに柔らかくなり、光沢感も次第に表れてきます。

打布機なども作られましたが、それでもきぬた打ちには時間がかかるため、柔軟剤で仕上げなど後加工の技術の発達によってほとんど行われなくなります。

きぬた打ちは、むかし女性が夜の仕事として行い、その響く音に風情を感じて歌に詠まれます。

室町時代に成立し、世阿弥ぜあみ作といわれる能楽作品に「砧(きぬた)」という演目があり、この作品では、女主人公がきぬたを打つことが情念の表現となっています。

Youtubeには、「砧(きぬた)」の演目がアップロードされているので、興味がある方はご覧になってください。


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