色合い」カテゴリーアーカイブ

正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)に使用された顔料と染料について

奈良・平安時代の中央・地方の官庁かんちょう大寺だいじには、穀物や財物などの重要物品を納める正倉しょうそうが設けられていました。

日本中、あちこちに置かれた正倉しょうそうは、今日に至るまでにさまざまな理由で亡んでしまい、現在残っているのが、東大寺正倉院内の正倉一棟だけです。これがすなわち、正倉院宝庫しょうそういんほうこです。

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東大寺正倉院/あずきごはん/CC BY-SA 4.0/via Wikimedia Commons,Link

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日本における化粧の色合いと歴史。古典的な赤く塗る化粧と、白く塗る化粧に使用された化粧料の素材について

化粧の原型は、顔や身体への彩色さいしょくと言われています。

体に色を塗っているアフリカの部族を映像で見たことがある人もいると思いますが、古くは部族や階級間の差別化や、色がもたらす呪術じゅじゅつ的な目的のために彩色さいしょくが行われていたと考えられているのです。

Karo Woman at Korcho. (in explore) - Flickr - Rod Waddington

Rod Waddington from Kergunyah, Australia, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons,Link

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支子(梔子)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける支子(くちなし)。支子(梔子)の染色方法や薬用効果について

支子くちなし(学名 Gardenia jasminoides)は、あかね科クチナシ属の常緑の低木で、現在は支子くちなしではなく、梔子くちなしの字を当てる場合が多いです。

古くから、支子くちなしの果実が染色や薬用に使用されてきました。

本記事では、以下、支子くちなしと表記します。

支子くちなしは、庭園の樹木として植えられ、葉は2枚の葉がつく対生たいせい、もしくは3枚の葉が輪生りんせいします。

6月〜7月頃に葉腋ようえき(葉の付け根)から花柄を出し、白い六片に裂けた筒状花とうじょうかをつけ、2〜3日で黄色く変色しますが、良い香りがします。

支子(梔子),Cape Jasmine (Gardenia jasminoides)

支子(梔子),Gardenia jasminoides,Mokkie, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

果実は、頂部に咢片がくへんが残り、熟すと黄赤きあか色になります。 続きを読む

染色・草木染めにおいて、媒染と染めを分けて行う理由

草木染めにおいては使用される植物染料は、それぞれ染料としての性質が異なります。

藍や紅花べにばななど特殊なものを除けば、媒染剤ばいせんざいを活用することで発色し、固着するものがほとんどです。

染色と媒染ばいせんの工程は、基本的には一緒に行いません。

染めと媒染が一緒にできれば楽だと思いますが、それぞれの工程を分けるのにはきちんとした理由があるのです。

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蓼藍(タデアイ)

草木染め、植物染料とは何か?語源と定義、一般的な染色方法について

「草木染め」という言葉は、日本の作家で染織家の山崎斌やまざきあきら氏(1892年〜1972年)に命名されました。

1930年(昭和5年)、化学染料が普及してきたころ、天然染料は衰退の一途をたどっていきました。

「草木染め」という言葉は、古くから伝承されてきた染色方法を復興するにあたり、化学染料と区別するために名付けられたのです。

現在、草木染めという言葉の定義は、自然から得られる染料で染色することの総称として定着しています。 続きを読む

藍染の原料である蒅(すくも)

【藍師・水師七悪(ななあく)】藍師が蒅(すくも)づくりにおいて注意をしていた点

藍染の原料となるすくもは、収穫した蓼藍たであいの葉を乾燥させ、水をかけかき混ぜる作業を挟みつつ、約100日以上の発酵期間を経て出来上がります。

すくもづくりにおいては、良い葉藍を栽培することが何よりも大事とされていますが、それと同じくらいに、乾燥葉をすくもと呼ばれる状態にするまでの発酵期間も重要です。 続きを読む

染色・草木染めにおける柏・槲・檞(かしわ)。薬用効果や歴史について

かしわ(学名:Quercus dentata)は、その若葉をお餅に包んだ「かしわ餅」の名前でも知られている植物です。

漢字では、かしわのほか、かしわかしわの字が当てられ(以下、かしわの表記に統一)、「ほそばがしわ」、「たちがしわ」、「もちがしわ」、「おおがしわ」など多くの異名があります。

種名の「dentata」は、葉っぱの形が、のこぎりの歯のようにぎざぎざした形状(歯状しじょう)なっていることを意味しています。
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蓼藍(タデアイ)

蓼藍(タデアイ)の種類と色素含有量について

藍染に使用できる色素を持った植物は、世界中に100種類以上あるとされています。

藍の色素を持つ植物を科別にすると、マメ、アブラナ、キツネノマゴ、タデ、キョウトウチク、ガガイモ、マツムシソウ、モクセイ、クロウメモドキ、キク、ヒメハギ、ランなどが挙げられます。

日本においては、蓼藍たであいの葉が藍染の原料とされ、沖縄では琉球藍りゅうきゅうあいが使用されてきました。

関連記事:藍染の原料となる植物の種類について
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