色合い」カテゴリーアーカイブ

染色・草木染めにおける桑染(くわぞめ)

くわは、クワ科の落葉喬木きょうぼくで中国において古代染料の一つとして使用され、漢方にも用いられてきました。

幹は直立して高さ10メートルほどにも成長しますが、栽培種は毎年、木の枝が刈られるので低い木にみえます。

葉はかいこの重要な飼料となります。
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藍鳶(あいとび)色

染色、色合いにおける紫鳶・紺鳶・藍鳶・黒鳶

鳶色とびいろと呼ばれる色は、鳶(トビ)の羽毛の色のような赤暗い茶褐色のことを表します。

とびは人里の近くでも飛び回り、江戸時代に生きた人々にとっても馴染みのある鳥でした。

鳶色とびいろは、江戸時代初期ごろから、茶系統を代表する色の一つとして扱われていました。

鳶色とびいろから派生し、「紫鳶」、「紺鳶」「藍鳶」「黒鳶」など、「鳶」の付く色名がさまざま生まれ、染色がおこなわれてきました。

鳶色とびいろを染める材料としては、蘇枋すおう(蘇芳)がよく用いられていました。
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紅板締め,竹梅文,紅花染め

染色・草木染めにおける紅花(べにばな)。薬用効果や歴史について

紅花べにばな(学名:Carthamus tinctorius)は、キク科ベニバナ属で花弁かべんを植物染料にします。

秋に種をまいて、冬を越して春になってから開花、結実してから枯れる越年草えつねんそう(二年草)として生育したり、寒い地域では一年草として春早い時期に種をまく場合もあります。

紅色の染料としての用途のみならず、食用油の原料としても栽培されています。

紅花,Carthamus tinctorius 050709b

紅花,Carthamus tinctorius,Pseudoanas, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

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西陣織(にしじんおり)

京都における染色加工である「京染(きょうぞめ)」

地方における染色加工に対して、京都における染色加工は「京染きょうぞめ」という名称が付けられてました。

京都における染色加工である「京染(きょうぞめ)」

染色において、京都は歴史のある生産地であり、江戸時代から「京染」や「京染物」などと称されました。

各地方でその土地の気候や風土、生育した草根木皮そうこんもくひ(草の根と木の皮)などを用いた特産の染めがありました。

京都における染色の特色としては、白生地を小袖模様(文様もんよう)に染めることで、地染めでは紅染と紫染めの特技とされました。

古くから染めの種類によって細かく分業になっていたことから、加工業者と流通業者を取り持つ調整役となっていた悉皆業しっかいぎょうを営む悉皆屋しっかいやは、さまざまな状況に対応しながら顧客の需要を満たしていました。 続きを読む

染色・草木染めにおける黄檗(きはだ)。黄檗の歴史と薬用効果、染色方法の一例について

黄檗きはだ(学名 Phellodendron amurense RUPR.)は日本各地の山地に自生するみかん科の落葉高木です。

幹の外皮は厚く、外皮の内側の内皮が黄色いため、古くから黄色を染める染料に使用されてきました。

飛鳥時代の染織品の中で、緑色系のものの多くは、藍染した上から黄檗きはだで染め重ねたものとされています。

Phellodendron amurense Korkowiec amurski 2019-05-24 05

黄檗,キハダ,Phellodendron amurense RUPR.,Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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綿織物

なぜ色が見えるのか?人が色を認識する仕組み、色光や蛍光、加法混色と減法混色について

私たちが色を感じられるのは、私たちの目に色を見分ける仕組みがあるためです。

人間の色彩感覚は、光が眼の網膜もうまくに達して視細胞しさいぼうを刺激して、その刺激が視神経ししんけいから大脳だいのう視覚中枢しかくちゅうすうに伝えられることによって引き起こされます。

つまり、光自体に色はなく、人間の目と脳の働きによって色合いを感じられるのです。 続きを読む

染色・草木染めにおける櫟(クヌギ)。薬用効果や橡色(つるばみいろ)の歴史について

クヌギ(学名Quercus acutissima CARRUTH. )は、ブナ科の落葉広葉樹です。

属名のQuercusは、ケルト語のguer(良質の)とcuez(材木)に由来するもので、acutissimaの種名は、「最も鋭い」という意味で、葉っぱの鋸葉のこぎりばの様を表しています。

成長すると樹高は15〜20メートルほどになり、日本では本州の岩手、秋田県以南、本州、四国、九州の各地に広く分布しています。

Quercus acutissima BW-5424050

クヌギ,Franklin Bonner, USFS (ret.), Bugwood.org, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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養蚕や機織り、染色技法について記された『機織彙編(きしょくいへん)』大関増業(著)

江戸時代後期の文政ぶんせい13年(1830年)の頃、『機織彙編(きしょくいへん)』という書物の初版が発売されました。

筆者は、現在の栃木県にあたる下野国しもつけのくに黒羽藩くろばねはん11代藩主であった大関増業おおせきますなり(1781年〜1845年)です。

大関増業おおせきますなりは、伊予国大洲おおす藩主であった加藤家に天明2年(1782年)に生まれ、文化8年(1811年)に、大関家の養子となり、翌年の文化9年(1812年)に領地であった黒羽(現在の栃木県)に入ります。 続きを読む