茶屋染（ちゃやぞめ）とは？藍染で総文様に型染めされた帷子（かたびら）について

茶屋染ちゃやぞめは、江戸時代初期頃から行われていた型染めの一つです。

主に武家の女性が着用した帷子かたびらの染色方法で、藍色一色で型紙を用いて全体に模様が入るように（総模様）染めたものです。

茶屋染（ちゃやぞめ）とは？

茶屋染ちゃやぞめされたものは、茶屋辻ちゃやつじと呼ばれていました。

茶屋染ちゃやぞめの「茶屋」とは染屋の意味であり、京都に住んでいた茶屋四郎次郎（ちゃや・しろうじろう/しろじろう）が染色方法や図案の創案者であるともいわれます。

茶屋辻ちゃやつじの「辻」とは、帷子かたびら（裏地をつけない単衣の麻着物）のことであり、「茶屋の帷子」という意味となります。

茶屋染ちゃやぞめの染色方法は、上質な麻布を用いて、文様型紙によって布の両面に防染糊ぼうせんのりで型付けをし、藍一色によって浸染しんぜん（しんせん）して染め上げられます。

茶屋染ちゃやぞめは、夏の麻織物に用いられた染色技法ですが、とても手数のかかる贅沢なものであったため、徳川御三家や上級武家の女性、御殿の女中などしか着用できませんでした。

模様（文様）には、楼閣ろうかく（高い建物）、草木、花鳥、流水などが用いられました。

高級なものには、模様（文様）の一部に縫箔ぬいはくや刺繍ししゅうが施されることもありました。

茶屋染は、藍蝋、萌黄もえぎ、柿色を用い、茶屋辻ちゃやつじは藍色一色に染め上げたものであるともいわれています。

奈良時代の臈纈ろうけち、室町時代の更紗さらさ、安土桃山時代の辻が花、そして江戸時代初期の茶屋染ちゃやぞめまでの染色技法を取り入れてたものが友禅染め（ゆうぜんぞめ）です。

江戸時代に友禅染めが確固たる地位を得たのは、それまでの模様染を集大成し、大衆化した点にあるといえます。

染める布も絹から麻、そして綿まで染めています。