茶色」カテゴリーアーカイブ

染色・草木染めにおける、紅露(クール)・そめものいも

そめものいも(学名Dioscorea cirrhosaは、ヤマノイモ科に属する熱帯地域に自生する植物で、長さが10mにもなるつる性の多年草です。

沖縄の八重山上布やえやまじょうふの絣糸を染めるための茶色の染料として「染物芋そめものいも」(クール・紅露こうろ)が知られています。

和名の「そめものいも」は、地中に80㎝ほどにも成長する黒みがかった赤色の塊根かいこんいも)があり、これが赤褐色せっかっしょくの色素を含み、染色に使用することから由来しています。

そめものいもは、マングローブの木(漂木ひるぎ)や車輪梅しゃりんばいなどと共に、魚介類を捕獲するために用いる漁網ぎょもうを丈夫にし、扱いやすくするために使用されたカテコールタンニン系の染料です。

マングローブの樹皮にはタンニンが多く含まれているので、抗菌や防腐の効果も高いとされています。 続きを読む

蓮(はす)で染め色の例

染色・草木染めにおける蓮(はす)

はす(学名Nelumbo nucifera)は、ハス科ハス属の耐寒性たいかんせい落葉多年草らくようたねんそうの水生植物です。

インドやその周辺地域が原産地とされ、世界中の熱帯や温帯地域の蓮田はすだ、泥沼、池、水田で栽培されています。

蓮(はす),Nelumbo nucifera

蓮(はす),Nelumbo nucifera,Shin-改, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

英名ではロータス(Lotus)と呼ばれ、大きな葉を乾燥させたものは漢方薬の「荷葉かよう」の原料となります。

地下茎ちかけいは、泥の中をうように延び、秋の終わりに地下茎ちかけいの先が太ってレンコン(蓮根れんこん)ができます。

花は、7月〜8月に咲き、多数の花弁が重なり合い、桃色や白色の花をつけます。

花が散ったあと、花床かしょうは大きくなり、蜂の巣のような穴の中に果実をつけます。 続きを読む

楊梅(やまもも)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける楊梅(やまもも)。薬用効果や歴史について

やまももは、漢字で楊梅やまももと書き、中国や日本を原産とするヤマモモ科の常緑広葉樹です。

徳島県では、「県の木」に指定されており、高知県では「県の花」になっています。

草木染めにも使用される楊梅やまももについて、薬用効果や歴史を踏まえながら紹介します。 続きを読む

「毛織(混織)の軍服(陸軍)のハギレ」堀切辰一(著)『襤褸達の遍歴ーこぎれ四百姿』

国防色(こくぼうしょく)としてのカーキ(khaki)。軍服における色の歴史について

「カーキ」は、軍服の色としては一般的です。

「褐色」「茶褐色」「黄褐色」「枯れ草色」「ベージュ」「ブラウン」などが「カーキ」と括られることもあり、その色合いにはさまざまなものがあります。

カーキ(khaki)の語源はペルシャ語で、インドのヒンディー語に入った「khak=埃」から「khaki=土埃」となってイギリスに伝わり、「khaki=土埃」は、乾いた土地の色(大地の色)を表しました。

世界中で使用される軍服のほとんどはカーキであり、日本軍にカーキの軍服が採用されたのにも理由があります。 続きを読む

梅染め、アルミ媒染の色合い

染色・草木染めにおける梅(うめ)。梅の染色方法や薬用効果について

日本に梅が伝わったのは、弥生時代から飛鳥時代ごろとされ、中国から薬用の烏梅うばいとして伝来したと言われます。

烏梅うばいとは、実が青い状態の梅を釜戸かまどの煙で黒くいぶして薫製くんせいにし、乾燥させたもので、せんじて風邪薬や胃腸薬として用いたり、止血や切り傷の手当てにも使用されてきました。

梅は、薬用、食用、観賞用、そして染色用と多様な用途のある有用な植物として渡来し、栽培されるようになったと考えられます。 続きを読む

染色・草木染めにおける胡桃(くるみ)。オニグルミ(くるみ)の染色方法について

胡桃くるみ(オニグルミ)は、クルミ科クルミ属の落葉高木の総称で、日本列島に自生しているクルミの大半はオニグルミ(学名Juglans mandshurica var. sachalinensis)です。

樹皮は、暗灰色あんかいしょくで縦に大きく割れ目が入ります。

4月〜6月にかけて若葉とともに花をつけ、その後に仮果かか(外皮)とよばれる実を付けます。

オニグルミ,Juglans mandshurica var. sachalinensis 03

オニグルミ,Σ64, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

仮果かか(外皮)の中に核果かくかが有り、その内側の種子(じん)を食用にする。

胡桃くるみ(オニグルミ)の青い仮果かかの皮や緑葉、樹皮などが染料に使用されます続きを読む

染色・草木染めにおけるリンボク(橉木)

リンボク(学名:Prunus spinulosa)は、バラ科バクチノキ属の常緑高木で、湿気の多い山地の谷間や温暖な沿海地にある林内などに生え、樹高は5m~15mほどに成長します。

漢字では橉木りんぼくと書き、若木の葉は針状の鋭い鋸歯きょし(葉の周縁にあるギザギザ)をがあることから、「ヒイラギカシ」の別名もあります。

リンボク(橉木),Prunus spinulosa rinboku04

リンボク(橉木),Prunus spinulosa,Keisotyo, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

リンボクが庭木として使われることは少ないですが、9月〜10月頃の秋に咲く花には春の花のような香りがあり、白色の小さな花をいっぱいに咲かせるため、「観賞価値」は高いとされます。 続きを読む

染色における没食子(もっしょくし)

没食子もっしょくし(Gallnuts/Oak apple/Oak gall)は、西アジアや中東に産し、タンニン剤として有名です。

没食子もっしょくしとは、ブナ科のナラ(学名:Quercus)やカシなどの若枝の付け根に寄生したタマバチ(Cynips gallaetinctoriae)によってできる「虫こぶ」のことを表します。

植物に昆虫が産卵、寄生した結果、寄生物の出す分泌物質などで異常な発育を起こした部分を「虫癭ちゅうえい」と言います。 続きを読む

染色・草木染めにおけるモッコク(木斛)

モッコク(学名:Ternstroemia gymnanthera)は、モッコク科モッコク属の常緑樹で、樹高は6m〜10mを越えるほどにも成長します。

病虫害に強く、葉に光沢があり美しく、樹形が整うため、公園の樹木や、庭木として古くから武家屋敷などに植えられてきました。

花の香りがラン科の石斛せっこくに似た木という意味で、江戸時代初期に木斛もっこくと名づけられました。

モッコク(木斛もっこく)の材はきめが細かくで細工物に向いており、堅くて美しい赤褐色せっかっしょくをおびる材を建材やくしなどの木工品の素材として用いられています。

木材が赤いため、「アカギ」という別名もあります。

モッコク(木斛)Ternstroemia gymnanthera kz1

モッコク(木斛)Ternstroemia gymnanthera,Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

樹皮は、繊維を茶色に染める染料として利用されてきました。

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