蓮(はす)で染め色の例

染色・草木染めにおける蓮(はす)


はす(学名Nelumbo nucifera)は、ハス科ハス属の耐寒性たいかんせい落葉多年草らくようたねんそうの水生植物です。

インドやその周辺地域が原産地とされ、世界中の熱帯や温帯地域の蓮田はすだ、泥沼、池、水田で栽培されています。

蓮(はす),Nelumbo nucifera

蓮(はす),Nelumbo nucifera,Shin-改, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

英名ではロータス(Lotus)と呼ばれ、大きな葉を乾燥させたものは漢方薬の「荷葉かよう」の原料となります。

地下茎ちかけいは、泥の中をうように延び、秋の終わりに地下茎ちかけいの先が太ってレンコン(蓮根れんこん)ができます。

花は、7月〜8月に咲き、多数の花弁が重なり合い、桃色や白色の花をつけます。

花が散ったあと、花床かしょうは大きくなり、蜂の巣のような穴の中に果実をつけます。

染色・草木染めにおける蓮(はす)

蓮(はす)で染め色の例

蓮(はす)で染め色の例

紙の製法が日本に伝えられたのは7世紀初頭とされ、紙の染色も古くから行われていました。

奈良時代(710年〜784年)には、装潢師そうこうしという人々が、書物を書き写すために使う和紙の染色や紙継ぎなどを職業としていましたが、染紙を染めた材料については正倉院文書しょうそういんもんじょに記されており、蓮葉名前が付く色紙も含まれています。

関連記事:和紙を染める方法と色紙の歴史。漉染め、浸け染め、引き染め、吹き染めについて

蓮葉はすは染紙」として正倉院文書しょうそういんもんじょに記されており、紙を染めていたとすれば、布や糸なども染めていた可能性が大きくあります。

万葉集まんようしゅう』にのっている歌の多くは、今から1350年前から1250年ぐらいの飛鳥時代から奈良時代の間に作られています。

この100年くらいの間を、「万葉の時代」と言うことがあります。

万葉の時代に行われていたはすの染め方として、木灰の灰汁で媒染ばいせんした染色であったと考えられます。

関連記事:草木染め・染色における灰汁の効用と作り方。木灰から生まれる灰汁の成分は何か?

蓮葉はすはは、葉より実をとったあとの花床かしょうの方がよく染まるため、花床かしょうも利用されていた可能性もあります。

実がとれて乾燥した蓮(はす)の花床,Nelumbo nucifera fruit Linz

実がとれて乾燥した蓮(はす)の花床,Nelumbo nucifera fruit Linz,Walter Isack (isiwal), CC BY-SA 3.0 AT <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/at/deed.en>, via Wikimedia Commons,LInk

染色すると、いくらか赤味のある薄茶色に染められます。


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