藍色」カテゴリーアーカイブ

蓼藍(タデアイ)

地藍(じあい)とは?本場の阿波藍に対する地藍について

地藍じあいとは、その土地で栽培された藍という意味でこの名前があります。

江戸時代になってから木綿の栽培が盛んになり、全国的に仕事着や日常着に着用されるようになったのが、藍染された紺木綿や紺絣こんがすりでした。

その藍の需要増加にうまく対応したのが、現在の徳島県の阿波あわで、藍の原料作りといえば阿波が本場とされました。 続きを読む

藍の華

藍染された布や糸から、石灰と水飴を使って顔料化する「飴出し法」

江戸時代に描かれた浮世絵うきよえには、さまざまな色が使われていましたが、藍色もその中にありました。

青の色をつくるのに露草や藍が使われていましたが、植物由来の色であるために、日に焼けて変色しやすかったり等、版画はんが向きでなかったのは想像に難しくありません。 続きを読む

紺屋(こうや・こんや)とは?

紺屋は、「こうや」や「こんや」と読みます。

室町時代後期には「職人」という階層が成立し、染色を仕事にする集団が生まれます。

紺搔こうかき」といわれる藍染職人がいたことが『職人歌合絵しょくにんうたあわせえ』などからわかっており、紺搔こうかきが江戸時代の「紺屋こうや」の前身と考えられています。

藍染の濃い色はこんですが、藍染め屋の主な仕事が紺染であったため、いつしか紺家こうや紺家こんやと呼ばれるようになったとも考えられます。

かつては日本中のいたるところの町や村には紺屋があり、その証拠に現在も日本各地にある地名として紺屋町(こんやちょう、こんやまち、こうやまち)という名前が残っています。 続きを読む

甕覗(かめのぞき)。藍染された極めて淡い色合いである甕覗(瓶覗)

甕覗(かめのぞき)とは?藍染された極めて淡い色合いである甕覗(瓶覗)について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、比較的有名なものに甕覗かめのぞき(瓶覗)という色名があります。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

蓼藍(タデアイ)の種類と色素含有量について

藍染に使用できる色素を持った植物は、世界中に100種類以上あるとされています。

藍の色素を持つ植物を科別にすると、マメ、アブラナ、キツネノマゴ、タデ、キョウトウチク、ガガイモ、マツムシソウ、モクセイ、クロウメモドキ、キク、ヒメハギ、ランなどが挙げられます。

日本においては、蓼藍たであいの葉が藍染の原料とされ、沖縄では琉球藍りゅうきゅうあいが使用されてきました。

関連記事:藍染の原料となる植物の種類について
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藍染された木綿糸(先染め)

染色・藍染におけるウォード(Woad)。細葉大青(ほそばたいせい)を使用した藍染について

大青たいせい(漢名:大藍・菘藍)は、アブラナ科に属し、中国が原産地とされ、享保きょうほう年間(1716年〜1735年)に日本に渡来したとされます。

ヨーロッパからシベリアのバイカル湖付近にまで分布するといわれるアブラナ科の越年草である細葉大青ほそばたいせい(学名:Isatis tinctoria)は、英名ではWoad(ウォード)と言われます。

同じ藍の色素を持つ植物でも、蓼藍たであいやインド藍や琉球藍りゅうきゅうあいなどとは品種が違い、ウォードはアブラナ(菜種菜なたねな)によく似た大きな草です。 続きを読む

青く染められた葛布 岡村吉右衛門(著)『庶民の染織』

染色・藍染めにおけるインディゴピュア(ピュアインディゴ)indigo pure

インディゴピュア(ピュアインディゴ)は、人工的に作られた人造藍の名称です。

天然の藍染めの主成分であるインディゴ(indigo)の構造が、ドイツの化学者であるアドルフ・フォン・バイヤー(Johann Friedrich Wilhelm Adolf von Baeyer,1835年〜1917年)によって1883年に研究の末、合成されました。

藍の植物から色素成分を採取すると、かなりの不純物が含有しており、インディゴの他にも赤色の色素であるインジルビンやインジゴブラウンと称する茶色の色素も少量含まれています。

一方、化学的に合成されたものは、ほとんど純粋なインディゴであるため、インディゴピュア(インジゴピュア)という名称が付けられました。 続きを読む

縞織布『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

藍下(あいした)とは?藍と植物染料の重ね染めについて

藍下あいしたとは、藍で下染したぞめするという意味でこの名があります。

べに下染したぞめするのを、紅下べにしたというの同じです。

昔は、高級品で深みのある黒紋付の染色などに、檳榔子びんろうじが使用されていましたが、その場合、藍や紅などで下染めした上に、檳榔子染びんろうじぞめをすると、青味または赤味を含んだ黒を染めることができました。

藍で重ね染めをすると、堅牢度けんろうどの向上も期待することができます。
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八重鬼菊唐草文『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

沖縄の藍型(えーがた)。藍型の種類や技法について

沖縄で行われていた藍染は、タデ藍ではなく、琉球藍りゅうきゅうあいが原料に使用されてきました。

藍染の染色技法としては、型紙を用いて模様を表現する型染めが盛んにおこなわれ、沖縄では藍型えいがた(えーがた)と呼ばれていました。

藍型えいがた(えーがた)の技法は、紅型びんがたとほとんど同じで、広い意味では紅型びんがた藍型えいがたも含まれますが、一般的には区別されます。 続きを読む

山藍,ヤマアイ,青く変化した乾燥根

染色・草木染めにおける山藍(ヤマアイ)。山藍の特徴や分布、染色方法と歴史について

山藍(学名 Mercurialis leiocarpa) は、トウダイグサ科、ヤマアイ属の植物で、群をなして生い茂ります。

学名のMercurialis leiocarpaは、江戸時代の弘化こうか2年(1845年)にドイツ人のシーボルトが日本古来の資料をもとにして命名し、Mercurialisは、ギリシャ神話の女神である「マーキュリー」からとったもので、leiocarpaは「平滑な果実」の意味であるとされています。

トウダイクサ科の植物は有用なものが多く、パラゴムノキやマニホットゴムなど樹液から天然ゴムが採れたり、タピオカの原料になるキャッサバ、種子からひまし油が採れるトウゴマなど様々あります。 続きを読む