色合い」カテゴリーアーカイブ

藍染と唐草模様

日本における藍染(ジャパンブルー)の歴史。藍作・藍染が発展し、衰退していった背景について

藍染は、古くから世界中で行われてきました。

古代エジプトではミイラを包む布が藍染されており、紀元前2000年前には藍が利用されていたとされています。

藍の色素を持つ植物も多種多様で、それぞれの地域にあった植物を使用し、さまざまな方法で藍染が行われてきたのです。

藍の色素を持つ植物を科別にすると、マメ、アブラナ、キツネノマゴ、タデ、キョウトウチク、ガガイモ、マツムシソウ、モクセイ、クロウメモドキ、キク、ヒメハギ、ランなどが挙げられます。

インドにおける藍栽培の歴史は古く、古代ローマ時代にはインドで商品化されたインド藍がエジプトのアレクサンドリアを経由してローマへ輸入されていました。

アラビア商人によって、エジプトをはじめ地中海方面へと運ばれていましたが、ポルトガルのバスコダガマが南アフリカを周るインド洋航路を発見したことによって、インドにおける藍の生産はいっそう盛んになったのです。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

草木染め・植物染色の薬用効果と抗菌作用。祈念と薬用効果を求めて、薬草を使った染色が古代に始まる

人類は、古くから自然の植物から色を獲得して、自ら身にまとう布に対して染色をおこなってきました。

古代の人々が、まずは目の前にある、色のついた土や植物から色を獲得してきたというのは容易に想像ができます。

ただ、古代に始まった染色は色をつけるためだけのものではありませんでした。

もともとは、自分の身を守るための薬用効果を求めてはじまったとされているのです。 続きを読む

楊梅(やまもも)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける楊梅(やまもも)・渋木(しぶき)。薬用効果や歴史について

やまももは、漢字で楊梅やまももと書き、中国や日本を原産とするヤマモモ科の常緑広葉樹です。

徳島県では、「県の木」に指定されており、高知県では「県の花」になっています。

草木染めにも使用される楊梅やまももについて、薬用効果や歴史を踏まえながら紹介します。 続きを読む

染色における忍摺り(しのぶずり)・忍文字摺(しのぶもじずり)

染色のはじまりというようなものは、世界中のどの国においても、目の前になる色を持っている植物やその花、木や草の果実、色のある土などを用いて、布やそのほかのものにすりりつけて染めたことから始まったと考えられます。

摺染すりぞめ」とは、草木の花や葉を布の上からたたいて色を染めたり、花や葉の汁をすりりつけて染めることを表します。

露草つゆくさ(つきくさ)」や「鶏頭けいとう(からあい)」や、「燕子花かきつばた」や「はぎ」なども、古くから摺染すりぞめに用いられていたとされます。

「忍(しのぶ)」の葉を用いた「忍摺り」や「山藍やまあい」の葉を使用した摺染すりぞめは、よく知られています。 続きを読む

井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

日本における染色と色彩の歴史。日本の伝統色や色名について

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は活用されてきた歴史や色の豊富さなどをみると、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。

古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていたとされます。

古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に「木霊こだま」と呼ばれ、一番身近に存在する「和霊にぎたま」としてとらえていたとも言われています。 続きを読む

デザイン・染色におけるザクロ(柘榴)。ザクロの歴史について

ザクロPomegranate(学名Punica granatum)は、インド北部からイラン、アフガニスタン、パキスタンなどのレバント(東部地中海沿岸地方)あたりを原産地とする説があり、有史以前から栽培されていたとも考えられています。

生のまま果実が食用として愛好されたり、未熟な果実の果皮は赤い染料の原料となり、モロッコでは革をなめして赤く染めるために使用されてきました。

ザクロの主成分はアルカロイドのペレチエリンで薬用としても古くから活用され、幹や枝、根っこの皮を使い、条虫じょうちゅう駆除薬として服用されます。

果実の皮は、下痢や下血げけつ(お尻から血が出る)に効果があるとされます。

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煤竹色(すすたけいろ)

染色・色合いにおける煤竹色(すすたけいろ)

江戸時代の色名の中で、数多くの色名になっているのが「煤竹すすたけ(すすだけ)」です。

煤竹すすたけ(すすだけ)は、茅葺かやぶき屋根の屋組に使用した竹が、囲炉裏やかまどなどの煙で長い間かけてすすけて、赤味のある黒茶色に染まったものを言います。

その煤竹すすたけ(すすだけ)の色を「煤竹色すすたけいろ(すすだけいろ)」と呼び、衣類などに染められました。
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藍染された木綿糸(先染め)

6種類の基本的な染色の仕方と染料の種類。直接染法、反応染法、建染め染法、発色染法、媒染染法、分散染法について

染色とは、繊維品や革、紙などの製品に染料を用いて色をつけること(染める・着色)を表します。

染色の「染」の字は「水」を表す部首であるサンズイと、「木の枝葉」や「花のついた枝」などを表す「」をから成り立っており、もともとは草木を染料にしていたことが漢字からもわかります。

また、「そめ」は、古くは「しむ」といっており、「何かに他のものが浸透する」「液体に十分浸して浸透される・湿らせる」などを表すように、「染」「泌」「浸」「滲」「湿」などの字が当てられました。

この「しむ」から母音交代語として「そむ→そめ」が出て、「染」の字が当てられたとされます。

現代における染色方法は、基本的に6種類に分けられます。

染料の種類も数多くありますので、本記事で紹介していきます。 続きを読む

ぼかし染め(グラデーション染め)

染色におけるぼかし染め(グラデーション染め)。色彩や濃度を数段階に分けて変化させる繧繝(うんげん)について

ぼかし染め(暈染ぼかしぞめ)は、色彩や濃度を次第に変化させて染めることを表します。

一色(単色)、または数色がそれぞれ濃淡に表現されたもので、「グラデーション染め」などとも言います。 続きを読む