染色におけるケルメス(Kermes)


ケルメス(Kermes)は、動物染料の一つで、15世紀頃までヨーロッパで赤や緋色に染める染料として珍重され、広く使用されていました。

ケルメスは、ブナ科植物に寄生し、樹液をエサとし、メスが天然のクリムゾン染料の原料となります。

染色におけるケルメス(Kermes)

ケルメスに含有する色素は、コチニールと同じようにカーミン酸という赤色色素です。

カーミン酸の色の変化については、媒染剤によって以下のように変化していきます。

    • 石灰水や第一塩化錫→紫色
    • 塩化第二錫→鮮やかな緋色
    • 硫酸銅or硫酸鉄→灰色もしくは紫色
    • 明礬(ミョウバンor蓚酸(シュウサン)→赤色

上記の反応を利用して、紅色や紫色、緋色などの染色が行われてきました。

イギリスやフランス、スペインやトルコなどでは、皮革ひかくの染色に使用されたりもしました。