【手編み】編み物におすすめの素材や繊維。手編みニット素材に最適な繊維の性質や特徴について


手編みのニットにおける素材や繊維には、さまざまなものがあります。

優れた手編みのニットが生まれる条件としては、素材と繊維の性質がうまく合わさることが大事です。

手編みの編み物におすすめの素材や繊維

手編み,knitting,Oma strickt Strümpfe

手編み,knitting,Sadarama, CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons,Link

手編みの編み物における素材を選ぶ際に、考えておくべき条件があります。

ます、素材の特性としては、①軽いこと②ふくらみのあること③やわらかさがあることが、手編みの編み物に適しています。

手編みの糸の性質(物理的条件)を考えることも大切で、①糸の強度が高い引張力ひっぱりりょくが高い)②糸が曲がりやすく、復元力がある弾性だんせいがある)などの適した条件があります。

手編みの編み物に適した素材の特性と糸の性質を考えたうえで、ニット素材としてもっとも優れているといえるのが天然繊維のウール(羊毛)です。

編むという作業は、輪っかのようなループを連続的につなぎ合わせていくのが基本的な技術になっており、編みの作業にあった素材を選ぶのが大切なのです。

関連記事:編む(ニット)とは何か?ニットの種類と特徴、歴史について

手編みの素材の種類

手編みの編み物における素材の種類は、天然繊維と合成繊維に大きく別けられます。

天然繊維は、春夏用の素材としては綿や麻が使用され、秋冬用の素材としてはウール(羊毛)が主に使用されます。

合成繊維には、アクリルやナイロン、ラメなどのポリエステルフィルムやテトロンなどのポリエステル系があります。

天然繊維の性質

天然繊維のウール(羊毛)、綿、麻、にはそれぞれの特性があります。

手編みの素材におけるウール(羊毛)

ウール(羊毛)は、手編みの編み物においては、もっとも優れているウール(羊毛)の性質としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 保温性がある(一本一本の毛が螺旋状らせんじょうをしたクリンプ(捲縮けんしゅく)があるため、繊維同士が絡み合い、多くの空気を含む)
  • 吸湿性と水を跳ね返す撥水性はっすいせいがある(汗を吸いとり、その汗を外へ発散させるたり、雨やきりなどを跳ね返す
  • 弾力性がある(シワになりにくく、シワができても元にもどる。体の動きが非常に楽で、衣類にした場合に着心地が良い)
  • 染色性が良い(ウールは19種にものぼるアミノ酸の結合によってできており、どのような染料にも合うため、染色性が高い)

編み物にする際のウール(羊毛)の欠点としては、熱やアルカリなどの薬品に弱い点や、動物性のタンパク質であるため、虫が食いやすいなどがあります。

手編み用素材として代表的なものに、「シェットランドウール(Shetland)」、「シロップシャー (Shropshire) 」、「チェビオット(Cheviot)」などがあります。

イギリス産のウール(羊毛)の特色としては、やや繊維が太く、クリンプ(捲縮けんしゅく)が多く、圧縮してもすぐに元のふっくらした状態に戻るような、太くてコシの強い点が挙げられます。

関連記事:ウール(羊毛)の特徴と素材の特性。ウール(羊毛)はなぜ縮むのか?

手編みの素材におけるウール以外の獣毛繊維

モヘア

モヘアは繊維がなめらかで、白くて美しい光沢感を持ちます。

繊維の太さによって用途は異なりますが、ニットとしては起毛(ヘアリーニット)の素材に向いています。

世界的にも高級な素材として知られ、トルコやアメリカ、南アフリカにおいて主に生産されてきました。

アルパカ

アルパカの繊維は、強度があり、肌ざわりもよく、シルクのような光沢感を持ち、非常に軽いです。

糸にすると非常になめらかで、最高級の素材のひとつです。

アルパカはラクダ類のラマ属に入る動物で、南米ペルーの中部からボリビアなどに分布しています。

カシミヤ

カシミヤは、カシミヤヤギからとれる獣毛で、独特の光沢感と柔らかくて独特のぬめりを感じるような手触りとともに、優れた保温性が特徴的です。

繊維は、非常に繊維が細くて軽いです。

その名前は、インド北西部の高山地帯「カシミール地方」に生息するカシミヤヤギに由来します。

中央アジア、チベット、インド、ペルシャと中国が主産地です。

アンゴラ

アンゴラは、アンゴラうさぎの繊維で、毛は細く、光沢があり、手触りがやわらかくて軽いです。

起毛(ヘアリーニット)素材に適しており、保温性も優れています。

関連記事:獣毛(じゅうもう)繊維の種類と特徴。モヘア、カシミヤ、キャメル、アルパカ、ラマ、兎毛(ともう)の毛繊維について

手編みの素材における綿

手編みの素材としての綿の性質としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 軽いのに強い
  • 肌ざわりが心地よい
  • 通気性が良い
  • 吸水性、吸湿性が良い
  • 強度、耐久性がある

綿素材は、春、夏シーズンに大活躍しますが、秋や冬の寒い時期でも衣類としても活用できます。

関連記事:綿とポリエステルを混紡した黄金ブレンド。ポリエステル65%綿35%の素材的特徴、長所と短所について

手編みの素材における麻

手編みの素材としての麻の性質としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 水に濡れた場合の膨潤度ぼうじゅんど(液体を吸収し、体積が膨れ上がる事)が、綿繊維と比べると低い
  • 繊維が濡れた場合には、乾いている時よりも若干強度が強くなる
  • ひっぱりや摩擦に強い
  • 吸水性はしっかりあるのに乾きやすく、肌に涼しさを与える

麻の編み物としては、あみやカゴなど、道具に使用されることが多くあります。

ただ、繊維が硬いため、綿や羊毛などと比べると編むのが難しく、繊維に柔軟性がないといえます。

関連記事:人類最古の繊維である麻の歴史。麻の種類と繊維の性質、日本の麻栽培地と主要な麻織物産地について

合成繊維の性質

手編み素材には、天然繊維だけではなく、合成繊維も活用できます。

ポリエステル、アクリル、ナイロンは、3大合成繊維と呼ばれていますが、特にアクリルはウールに似た性質を持たせることが出来るため、ニット素材で良く利用される繊維です。

手編みの素材における合成繊維

天然繊維と比較した、合成繊維の性質としては以下のようなものが挙げられます。

  • 糸の強度が高く(引張力ひっぱりりょくが高い)、摩擦に対する強度がある
  • 耐候性たいこうせい耐薬品性たいやくひんせいに優れている
  • 一般的な耐久性が、天然繊維に比べて優れている
  • 洗濯においる伸び縮みが少なく、速乾性に優れている
  • 染色における発色が良い

デメリットとしては、吸湿性や吸収性が悪く、静電気が発生しやすい点が挙げられます。


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