デザイン」カテゴリーアーカイブ

デザインにおける追洲流(おうすながし)・蛇籠(じゃかご)

追洲流おうすながし、すなわち蛇籠じゃかごを形どった模様(文様もんよう)は古くから紋章や染織品などのデザインに用いられてきました。

追洲流おうすながし」とは、河岸の土手が崩れるのを防ぐために護岸用に使った「蛇籠/蛇篭(じゃかご)」(長い籠に石をつめ河岸に横たえたもの)と、それを止めるためのくい臥牛がぎゅう=寝ている牛)の構造物をかたどったものを表します。

追洲流おうすながしのデザインとしては、蛇籠じゃかごに杭があるもの、杭だけのもの、蛇籠じゃかごだけのものの三種類あります。 続きを読む

デザインにおける扇(おうぎ)

おうぎは、儀式の際や夏の暑さに対してすずむために用いられる道具です。

平安時代前期に日本で生まれ、笏(しゃく)から変化して生まれたとする説がありますが、はっきりとはしていません。

おうぎは人々に用いられた道具として模様化(文様化もんようか)され、さまざまなデザインに用いられてきました。 続きを読む

老松(おいまつ)模様(文様),「糸入れ」された伊勢型紙

デザインにおける老松模様(おいまつもよう)・老松文(おいまつもん)

老松文おいまつもんは、松模様(文様)の一つです。

能舞台の鏡板かがみいたに描かれている老松の図は、典型的な老松文おいまつもんです。

老松(おいまつ)横浜能楽堂 舞台正面

老松(おいまつ)横浜能楽堂 舞台正面,yoshi_ban, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons,Link

教訓抄きょうくんしょう」という鎌倉時代に記された日本国最古の舞楽書によると、松はとくに芸能の神様の依代よりしろ(神霊が依りく対象物のこと)であり、能舞台の鏡板かがみいたに描かれている松の絵のルーツは、奈良の春日大社の「影向の松(よごうのまつ)」に由来しているとされます。 続きを読む

デザインにおける恵比寿天(えびすてん)

七福神しちふくじんのうちの一つの神様である恵比寿天えびすてんを模様化(文様化)したの(恵比寿文えびすもん)は、古くからデザインに取り入れられてきました。

七福神とは、大黒天だいこくてん毘沙門天びしゃもんてん恵比寿天えびすてん寿老人じゅろうじん福禄寿ふくろくじゅ弁財天べんざいてん布袋尊ほていそんの七つの神様の総称です。 続きを読む

デザインにおける竜胆文(りんどうもん)、枝笹竜胆文(えだささりんどうもん)について

日本において薄紫色に咲く竜胆りんどうは、古くから人々に親しまれてきた植物です。

昔から人々に特に愛された植物は、デザインに際して模様化(文様化もんようか)されてきましたが、竜胆りんどうは平安時代から染織デザイン(衣服の文様)において好まれていました。 続きを読む

デザインにおける永楽銭(えいらくせん)

中国、明代の第3代皇帝である永楽帝えいらくていが在位していた期間である永楽えいらく年間(1403年〜1424年)に鋳造ちゅうぞうされたはじめた銅製銭貨である永楽通宝えいらくつうほうは、日本では室町時代に日明貿易や倭寇わこう(朝鮮および中国大陸沿岸に出没した海賊)によって大量に輸入され、江戸時代初期まで一般通貨として流通していました。

永楽通宝えいらくつうほうは、「永楽銭えいらくせん」や「永銭えいせん」などと呼ばれていました。

寛永13年(1636年)、徳川幕府は寛永通宝かんえいつうほう(日本の江戸時代を通じて広く流通した銭貨で幕末まで作られた)を鋳造ちゅうぞうしはじめ、寛文年間以降全国的に流通し始めると、それまで流通していた永楽通宝えいらくつうほう永楽銭えいらくせん)や渡来銭などの旧銭は次第に駆逐されていきました。 続きを読む

辻が花,「藤波桶文様裂幡」

幻の布と言われる辻が花(つじがはな)とは何か?辻が花の特徴と歴史について

辻が花つじがはなは、室町時代末期から安土桃山時代(1573年〜1603年)にかけて流行した模様(文様もんよう)染めで、日本の染め物を代表するものであり、絞り染めの頂点ともいえます。

辻が花つじがはな」とは、室町から安土桃山時代の小袖こそで胴服どうぶくなどにみられるい絞りを中心に、描絵かきえや色差し、摺箔すりはく刺繍ししゅうなどを加えて独特の模様を表す染色技法を主に表しています。

辻が花つじがはなは、室町時代末期から江戸時代初期のごく短い期間にのみ製作が行われ、名称の由来や技法などに不明な点が多く、遺品の数も極めて少ないことから、「幻の布」といわれることもあるほどです。 続きを読む