投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

デザインにおける菊五郎格子(きくごろうこうし)

文化・文政(1804年〜1830年)の頃に活躍した歌舞伎役者である三代目尾上菊五郎おのえきくごろうにちなんだ模様(文様)に、菊五郎格子きくごろうこうしがあります。

江戸時代に「判じ物(はんじもの)」と呼ばれる文字や絵画に隠された意味を当てるなぞ解きが流行しましたが、判じ物文様(はんじものもんよう)の一つとして「菊五郎格子きくごろうこうし」が知られていました。 続きを読む

伝統的な布を精錬・漂白する(晒す)技法や種類。灰汁、天日、雪、海水を活用して布を晒す技術について

江戸時代に現在の奈良県にあたる地域では、織り上げられた麻の布を白く晒した(精錬)上質な布が生産されており、当時から、奈良晒ならざらしとして有名でした。

化学的な技術が発展していない時代においては、いかに布を精錬せいれん・漂白(さらす)することができるかが布の付加価値を向上させるためには重要な要素でした。

奈良晒ならざらしも、布を精錬する技術によってその付加価値が向上していました。 続きを読む

井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

日本における染色と色彩の歴史。日本の伝統色や色名について

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は活用されてきた歴史や色の豊富さなどをみると、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。

古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていたとされます。

古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に「木霊こだま」と呼ばれ、一番身近に存在する「和霊にぎたま」としてとらえていたとも言われています。 続きを読む

伊勢型紙(糸入り型紙)

伊勢型紙(いせかたがみ)とは?伊勢型紙の彫刻技法や歴史について

1000年以上の歴史を持つとされる伊勢型紙(いせかたがみ)は、三重県鈴鹿市の白子しろこ町と寺家じけ町、江島えじま地区が古くから産地として有名でした。

小紋こもん中形ちゅうがた友禅ゆうぜんがた注染ちゅうせんの手拭い型(手拭中形てぬぐいちゅうがた)など、各種の型紙が製作されていました。

現在では需要の減少とともに、数少ない担い手によってのみ生産され、国内で流通する伊勢型紙のほとんどが鈴鹿市の白子しろこ地区で作られています。
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デザインにおける桔梗文(ききょうもん)

桔梗ききょうは、古くから人々から愛された植物で、和歌や絵画、デザインにおける模様(文様)の題材として活用されてきました。

特に、秋の野に咲く草花の風情を文様化(模様化)した秋草文あきくさもんの一つとして桔梗ききょうが描かれることが多くありました。 続きを読む

型染めされた木綿の藍染布

長板中形(ながいたちゅうがた)とは?長板中形の特徴や技法、歴史について

長板中形ながいたちゅうがたは、小紋こもんや形友禅などと同じく、日本に古くからある型染めの一種です。

長さが3間半(約6m36cm)、幅が約46cm、厚さが約2cmの一枚板である「長板ながいた」に生地を広げ、中形ちゅうがたと呼ばれる、大紋だいもん小紋こもんの中間ぐらい柄の大きさに彫られた型紙を使用して型付けを行うため、「長板中形ながいたちゅうがた」という名前があります。 続きを読む

型染めで唐草模様が表現された木綿布

捺染(プリント)とは?シルクスクリーンの歴史と活用方法

捺染なっせん(プリント)とは、模様を抜いた型紙やシルクスクリーン、彫刻ちょうこくをいれたローラーなどを使って、合成染料を混ぜた糊料こりょう色糊いろのり)を布地にプリントして模様を出すことを意味します。

色糊いろのりは、糊の防染力ぼうせんりょくと染料の着色力を合わせもつ材料なので、使い方によってはさまざまは表現をすることができます。

捺染(プリント)とは?

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型染めされた木綿の藍染布,唐草模様

藍作・藍染と木綿の深いつながり。共に発展し、衰退していった歴史

明治8年(1875年)に、東京大学の初代お雇い教師であったイギリスの科学者であるロバート・ウィリアム・アトキンソン(1850年~1929年)が来日した際、道行く人々の着物や軒先のきさき暖簾のれんなどを見て日本人の暮らしの中に、青色が溢れていることを知りました。

東京を歩き、日本人の服飾に藍色が多いのを見て驚いたアトキンソンは、明治11年(1878)『藍の説』を発表し、藍に「ジャパンブルー(JAPANBLUE)」と表現したとされます。

日本中の庶民にとって大切にされてきた、藍染の衣類。

藍染が日本に広がった理由として、木綿との非常に密接な関係がありました。 続きを読む