投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

ベンガラ(弁柄)を部分的に摺り込んで染められた、唐草模様の藍染布

染色に使用される赤色の顔料であるベンガラ(弁柄/紅殻)について

天然に出る赤色の土は、世界中のいたるところで見られます。

日本においては、水稲農耕すいとうこうさくが始まる弥生時代やよいじだい(紀元前10世紀頃〜紀元後3世紀中頃)以前に用いられた顔料は基本的には赤と黒の2色で、赤は赤土あかつち(せきど)が使用されていたと考えられます。 続きを読む

ざざんざ織

ざざんざ織(颯々織)とは?ざざんざ織の特徴と技法について

静岡県の浜松市周辺は、「遠州織物えんしゅうおりもの」の名前で広く知られ、昔から織物業が盛んでした。

機屋はたやの家系を持ち、民藝運動家であった静岡県浜松市の平松実ひらまつみのるが、遠州織物の伝統技術を基盤に、新しい創造性を加えて作り出したのが、「ざざんざ織(颯々織)」です。 続きを読む

茜染め(絞り)

染色・草木染めにおける茜(あかね)。茜染に用いた茜の種類や染色方法、歴史について

あかね(学名:Rubia argyi)は、アカネ科アカネ属のつる性多年生植物で、日本においては、赤色を染めた最初の染料と一つと考えられています。

あかねは、根っこが赤い色をしており、根っこの煎汁せんじゅうによって染色された赤い色合いは、古来「赤根」と呼ばれていたのです。

あかねは、植物名と染色名が同じであり、例えば「むらさき」と「紫草むらさき」、「べに」と「紅花べにばな」、「きはだいろ」と「黄檗きはだ」など、非常に古くから染色と関係性があったこと名前からもわかります。

現在、日本においてあかねを大量に入手することは難しく、もっぱら染料店で購入できるインド茜や西洋茜が染色に使用される場合が多いです。 続きを読む

藍染された浅葱色(あさぎいろ)の糸

浅葱色(あさぎいろ)とは?藍染された薄い藍色(水色)について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、平安時代からみられる浅葱色あさぎいろという色名があります。 続きを読む

紋織り(もんおり)の種類。ラペット織り、ドビー織り、ジャガード織りについて

もん織りという言葉は、平織り、あや織り、朱子しゅす織りなどの異なる組織や、異なる色糸を組み合わせることによってできる織物の総称として使用されます。

もん織りの種類には、ラペット織り、ドビー織り、ジャガード織りなどがあります。
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『画本東都遊』より「紺屋の図」 浅草菴(編) 葛飾北斎(画) 享和2(1802)序刊

紺屋(こうや・こんや)とは?紺屋と諺(ことわざ)について

紺屋は、「こうや」や「こんや」と読みます。

「紺」という名前が登場するには非常に古く、大化たいか3年(647年)に制定された日本の冠位である「七色十三階の冠位ななしきじゅうさんかいかん」で、第五大小青冠の服色に「ふかはなだ」が当てられました。

日本の中世(平安時代後期(11世紀後半)から、戦国時代(16世紀後半)までの500年ほど)においては、「紺搔」「紺座」「紺灰座」「紺屋」など、藍染に関する文献における記載も多くみられます。 続きを読む

染色・草木染めにおける小鮒草(こぶなぐさ)

小鮒草こぶなぐさは、イネ科の一年草で、日本各地の田んぼのあぜや道ばた、原野に自生しています。

small carpetgrass (Arthraxon hispidus)

小鮒草(こぶなぐさ),Arthraxon hispidus,Evan M. Raskin, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons,Link

染料植物として有名な刈安かりやすと同じように黄色色素を持ち、アルミナ媒染で黄色に染まります。

藍染との重ね染めを併用することで、緑色も表現することができます。 続きを読む