有松絞り(ありまつしぼり)とは?絞り染めの技法や種類、歴史について

有松ありまつ絞りは、鳴海なるみ絞りとも呼ばれます。

有松ありまつ鳴海なるみは、ともに旧東海道五十三次の宿場町ですが、有松で絞り加工されたものが、賑やかな隣町の鳴海で盛んに販売されたため、鳴海なるみ絞りの名で全国的に有名になったのです。

このことは、安藤広重あんどうひろしげの「東海道五十三次・鳴海の宿」の江戸浮世絵うきよえの中にもみることができます。
続きを読む

芸者風俗における服飾・ファッション

遊廓ゆうかく遊里ゆうり)にあって音曲おんぎょくを仕事とする女性は、江戸では「芸者」といい、京都や大阪では「芸子」といわれていました。

江戸時代の遊廓ゆうかくは、官許かんきょが限定的に得られていた場所でもあり、働く遊女や芸者は一般市民とは異なった華美な服装が許されました。

そのため、模様(文様)の創案や新しい着付け、装身具など、遊廓ゆうかくで生まれたとされるものが数多くあったと考えられます。 続きを読む

ファッションにおけるケープ(Cape)

ファッションにおけるケープは、肩や胸、背中の真ん中辺りが隠れるよううな短めのマントのような形をしています。

服の上から羽織るような形で使用するケープ(Cape)は、ポルトガル語のカーパ(capa)に由来するとされます。

ケープは、円形、扇形、四角形などさまざまな形がありました。

当時の上着であるプールポアンの上から肩にかけるように着用し、上半身を覆うぐらいの長さであったことが当時の肖像画などからわかります。

ケープの中には頭巾のついたものや大型のマント風のものもありました。 続きを読む

慶長小袖(けいちょうこそで)とは?慶長小袖の特徴について

慶長小袖けいちょうこそでと呼ばれる衣服は、庶民ではなく主に上層武家階級を対象として慶長けいちょう(1596年〜1615年)の終わりごろから元和げんな(1615年〜1624年)・寛政かんせい期(1789年〜1801年)にかけて制作された小袖こそでと推定されています。

主に黒・紅・白の綸子地りんずじ(経糸、緯糸に生糸をつかって織りあげた繻子しゅす織りの一種で、後染め用の生地)、または黒・紅・白の三色に染め分けられた生地に摺箔すりはく(型紙を用いてのりを生地に置き、その上に金箔きんぱく銀箔ぎんぱくを貼りつけることによって、織物を装飾する技法)で柄をつくり、刺繍ししゅう鹿子かのこ絞りで模様が表現されています。

続きを読む

染色・草木染めにおける胡桃(くるみ)。オニグルミ(くるみ)の染色方法について

胡桃くるみは、クルミ科クルミ属の落葉高木の総称です。

古くから胡桃と呼ぶのは、「鬼胡桃(オニグルミ)」を示すこと多く、日本列島に自生しているクルミの大半はオニグルミ(学名:Juglans mandshurica var. sachalinensis)です。

樹皮は、暗灰色あんかいしょくで縦に大きく割れ目が入ります。

4月〜6月にかけて若葉とともに花をつけ、その後に仮果かか(外皮)とよばれる実を付けます。

オニグルミ,Juglans mandshurica var. sachalinensis 03

オニグルミ,Σ64, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

仮果かか(外皮)の中に核果かくかが有り、その内側の種子(じん)を食用にする。

胡桃くるみ(オニグルミ)の青い仮果かかの皮や緑葉、樹皮などが染料に使用されます続きを読む

デザインにおける雲(くも)。雲文(うんもん)の種類や意味について

雲(くも)は気象状況や季節によってその形は様々に変わりますが、雲の模様(文様)は古くから意匠いしょう(デザイン)に活用されてきました。

雲の模様(文様)は「雲文うんもん」とも呼ばれ、中国や朝鮮ではさまざまなデザインが作られてきました。

中国では、山中の巨岩きょがんから雲気うんきが湧き出るとされたことから、「雲気文うんきもん」と呼ばれました。

日本では奈良時代に中国の影響を受けて、さまざまな意匠いしょう(デザイン)において雲文うんもんが取り入れられるようになったとされます。 続きを読む