藍の液に浮かぶ華

茄子紺(なすこん)とは?藍染された紫味をもった紺色について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、やや紫味をもった紺色を表す色名として、茄子紺なすこんがあります。

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鳥襷文(とりだすきもん)『文様織文図絵』文化12年(1815年)出版,彩色木版

デザインにおける鳥襷文(とりだすきもん)

日本画の題材は、古くから花鳥風月が中心となり、染織品の模様(文様)にも花や鳥をテーマにした作品が多く作られてきました。

鳳凰ほうおう朱雀すざくのような架空の瑞鳥ずいちょう(吉兆とされる鳥)から、鶴や鷹、うずらさぎ千鳥ちどり鴛鴦おしどりなど実在するさまざまな種類の鳥が「鳥文とりもん」として描かれてきました。 続きを読む

注染を染める伊勢型紙(いせかたがみ)

染色技法における注染(ちゅうせん)

防染の一種で、日本独自の「注染ちゅうせん」という技法があります。ゆかたや手ぬぐい、風呂敷、のれんなどに対して主に使われる技法です。

布を端から90センチずつ、染めようとする模様以外のところに、型紙あるいはシルクスクリーンを使って防染糊ぼうせんのりを置いて、つぎに折り重ねては同じ型紙で糊を置くという作業を繰り返します。

2反(一反は長さ約10.6m、巾が約30㎝)を同時に染めるので、布は20枚前後に折り重ねられます。これを注染台にのせて、模様になる部分に上から染液を注ぎこんで同じ色の部分を一度に染め上げます。 続きを読む

勝色と言われるような色目の布尾州紺木綿『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

藍染における勝色・褐色・搗色の由来。武将にとって藍染は縁起の良い「勝染め」であった

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本人にとって、古くから藍染の青は身近な色のひとつで、全国各地に藍染をする紺屋こうや(こんや)がありました。

明治8年(1875年)に、東京大学の初代お雇い教師であったイギリスの科学者であるロバート・ウィリアム・アトキンソン(1850年~1929年)が来日した際、道行く人々の着物や軒先のきさき暖簾のれんなどを見て日本人の暮らしの中に、青色が溢れていることを知りました。

東京を歩き、日本人の服飾に藍色が多いのを見て驚いたアトキンソンは、明治11年(1878)『藍の説』を発表し、ジャパンブルー(JAPANBLUE)」と表現したとされますが、『藍の説』という題名の文献が実際に存在しているかどうかははっきりとはしていません。

藍染された木綿布,尾州紺木綿『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

尾州紺木綿『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

藍染された色は、一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味がありました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別しようと思うほど、藍色を見る目を人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。 続きを読む

デザインにおける雀(すずめ)・雀文(すずめもん)

雀(すずめ)は、古くから絵画や染織文様などに用いられてきました。

デザインにおける雀(すずめ)・雀文(すずめもん)

「竹に雀」や「稲穂に雀」、「鳴子なるこ(防鳥用の農具)に雀」、「瓢箪ひょうたんに雀」など他の模様(文様)と共に表現されてきました。

宇治拾遺物語うじしゅういものがたり』に入る説話である「腰折雀こしおれすずめ」の話から、瓢箪ひょうたんすずめがセットで描かれました。

日本のおとぎ話の一つである「舌切り雀(したきりすずめ)」にちなんだ模様は、子供の衣装に多く用いられました。

絣の織物の絵絣えがすりでは、可憐なデザインが多く表現されてきました。

紋章としては、伊達家が「竹に雀紋」を使用していたことで知られています。

デザインにおけるすすき・芒文(すすきもん)・薄文(すすきもん)

すすき(芒/薄)は、秋の七草の一つで、穂が風になびく動物の尾を思わせることから「尾花おばな」という別名があります。

デザインにおけるすすき・芒文(すすきもん)・薄文(すすきもん)

すすきは、秋の野の情景を表現する文様(模様)として、蒔絵まきえや陶器、染色品に多く用いられ、秋草や月、蝶、水鳥、小鳥などと組み合わされて、写実的に表現されてきました。

16世紀の安土桃山時代に作られたとされる「扇面芒丸紋模様繍箔裂せんめんすすきまるもんもようぬいはくきれ」には、芒文すすきもんが丸紋とともに紅色の練貫ねりぬき地に刺繍ししゅうで表現されています。

関連記事:デザインにおける秋草文(あきくさもん)

京鹿の子絞りの匹田文(ひったもん)が型染めで表現された布

染織・色彩における奢侈禁止令(しゃしきんしれい)

日本においては近世以降に、産業が発達して富の蓄積が増加すると、財力のある商人などが高価で手の込んだ衣服を着用し、その富を誇りました。

支配者層は、富を持った者の目にあまる振る舞いは、身分制による社会秩序を崩すものとして、贅沢を禁止する法令を出すのです。 続きを読む

藍染の原料である蒅(すくも)

藍師・水師七悪(ななあく)。藍師が蒅(すくも)づくりにおいて注意をしていた点

藍染の原料となるすくもは、収穫した蓼藍たであいの葉を乾燥させ、水をかけかき混ぜる作業を挟みつつ、約100日以上の発酵期間を経て出来上がります。

すくもづくりにおいては、良い葉藍を栽培することが何よりも大事とされていますが、それと同じくらいに、乾燥葉をすくもと呼ばれる状態にするまでの発酵期間も重要です。

藍の葉を発酵させる際に注意する点として、「藍師あいし水師みずし七悪」という言い伝えがあります。 続きを読む