千利休像(長谷川等伯画、春屋宗園賛、不審菴蔵、重要文化財)

侘(わび)、幽玄(ゆうげん)とは?和歌や、能、連歌における中世の美意識について

「わび茶」、「侘び寂びわびさび」などという言葉がありますが、わび(わび)という言葉はどのような意味なのでしょうか?

侘(わび)、幽玄(ゆうげん)とは?

芳賀幸四郎(著)『わび茶の研究』では、「わび」の美意識が形成された背景を、古代の歌論にさかのぼって詳しく論じています。

わび(侘)の美意識は、大きく二段階に分けて考えられ、「幽玄ゆうげん」という概念も、わびを理解する上では重要なキーワードとなっています。 続きを読む

意義目標をチームとして設定すること

「何のためにものづくりをするのか」という意義目標を設定することの大切さ。

働くということにおいては、人と人のやりとりがまったく生じないというのは、ほとんどの場合でありません。

組織で働くということ、どうすれば人と人とがスムーズにやりとりできるのかなど、今も昔も変わらず話題になることです。

チームとしてうまく機能するための一つのポイントとして、皆の考えの方向性が同じ向きを向いている点が挙げれられます。 続きを読む

江戸時代における江戸と上方(京都・大阪)との風俗比較。いき(粋)とはんなりについて

上方かみかたという言葉は、戦国時代頃には、九州方面から京都周辺を指す言葉だったようですが、江戸時代にはもっぱら江戸に対して「文化圏としての近畿圏(京都・大阪・奈良など)」を指すものとなります。

江戸と大阪、京都は当時から他の地域に比べると発展し、人が集まっていたため「三都」とも言われ、「上方かみかた」という言葉は大阪と京都の総称となっていました。 続きを読む

鎌倉時代の染織品について

鎌倉時代には、貨幣経済の成長とともに、染織品も商品として流通し始めます。

政治の実態が武家の手に移り、織物をつくる機業きぎょう官営かんえいから民営へと移っていき、染織品の生産形態が次第に変化していきます。

染料の販売や染色においても、それを独占する「座」が現れ、もっとも早く独立したのは紺屋こうや紺掻こうかでした。 続きを読む

アパレル(apparel)とは?アパレルの語源や由来について

「アパレル(apparel)」とは、日本では「衣服」の意味で用い、1970年代初期ごろから「アパレル製品」、「アパレル産業」、「アパレル製造業」などのように使われるようになりました。

現在では、「衣服」という意味から派生して、「アパレル」という言葉だけで、衣服の製造や販売を行っている会社や服飾系の業種や職種を意味するようになっています。
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デザインにおける鎌輪奴文(かまわぬもん)・鎌井枡文(かまいますもん)

鎌輪奴文かまわぬもんは、「鎌の絵」と丸い輪「○」と、「ぬ」の三文字を組み合わせた模様(文様)です。

鎌井枡文かまいますもんは、「鎌」と「井」と「三桝みます(大・中・小の三つの枡を入れ子にし、それを上から見た形を文様化したもの)」を組み合わせた模様(文様)です。

デザインにおける鎌輪奴文(かまわぬもん)・鎌井枡文(かまいますもん)

江戸時代には、「判じ物(はんじもの)」と呼ばれる文字や絵画に隠された意味を当てるなぞ解きが流行し、判じ物文様(はんじものもんよう)として生まれた模様が多くありました。

江戸時代前期に、男伊達おとこだて(男としての面目が立つように振る舞うこと)の衣服に「鎌輪奴文かまわぬもん」が用いられます。

鎌輪奴文かまわぬもんは、「鎌の絵」と丸い輪「○」と、「ぬ」の三文字で「構わぬ(かまわぬ)」と読ませるために作られた模様です。

江戸時代後期の文化文政時代(1804年〜1830年)から天保てんぽう(1831年〜1845年)にかけて活躍した江戸の歌舞伎役者である7代目市川團十郎いちかわだんじゅうろうが、文化年間(1804年〜1818年)に「鎌輪奴文かまわぬもん」を舞台で用いたことから流行します。

江戸では衣服から手拭い、瀬戸物、くしかんざしなどに良く描かれました。

鎌井枡文(かまいますもん)

鎌輪奴文かまわぬもんが流行したことに対抗して、市川男女蔵いちかわおめぞうが考案したのが「鎌井枡文かまいますもん」でした。

鎌井枡文かまいますもん」は、「構います(かまいます)」と読ませるために作られた模様です。

歌舞伎で用いられる模様(文様)は、歌舞伎文様かぶきもんようとして江戸時代前期から一般の服飾(ファッション)に影響を与え、流行の発生源にもなっていました。

例えば、「斧琴菊文よきこときくもん」は、かま(よき)とこときくの花の模様を染め出して「良き事聞く」という縁起がよい意味を込めたデザインなどがあります。

斧琴菊文 (よきこときくもん)Yoki Koto Kiku inverted

斧琴菊文 (よきこときくもん)file created on Adobe Illustrator and Photoshop, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

支子(梔子)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける支子(くちなし)。支子(梔子)の染色方法や薬用効果について

支子くちなし(学名 Gardenia jasminoides)は、あかね科クチナシ属の常緑の低木で、現在は支子くちなしではなく、梔子くちなしの字を当てる場合が多いです。

古くから、支子くちなしの果実が染色や薬用に使用されてきました。

本記事では、以下、支子くちなしと表記します。

支子くちなしは、庭園の樹木として植えられ、葉は2枚の葉がつく対生たいせい、もしくは3枚の葉が輪生りんせいします。

6月〜7月頃に葉腋ようえき(葉の付け根)から花柄を出し、白い六片に裂けた筒状花とうじょうかをつけ、2〜3日で黄色く変色しますが、良い香りがします。

支子(梔子),Cape Jasmine (Gardenia jasminoides)

支子(梔子),Gardenia jasminoides,Mokkie, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

果実は、頂部に咢片がくへんが残り、熟すと黄赤きあか色になります。 続きを読む