アパレル(apparel)とは?アパレルの語源や由来について


「アパレル(apparel)」とは、日本では「衣服」の意味で用い、1970年代初期ごろから「アパレル製品」、「アパレル産業」、「アパレル製造業」などと言葉が使われるようになりました。

現在では、「衣服」という意味から派生して、「アパレル」という言葉だけで、衣服の製造や販売を行っている会社や服飾系の業種や職種を意味するようになっています。

アパレル(apparel)とは?

アパレルという言葉は、もともとはコートやスーツ、ジャケットやワンピースなどの厚手で重さのある衣料品(重衣料じゅういりょう)を表すことから始まりましたが、次第にシャツやブラウス、下着や靴下などの軽衣料けいいりょうも含まれるようになりました。

ただ、日本の伝統衣服である着物などの和装においては、アパレル製品という対象に含めないことが多いです。

その理由としては、和装品の場合は、生地の形(反物たんものの形)で流通しているものがほどんどで、購入に際して自分の体型に合った服に仕立ててもらうため、既製品で販売しているのが少ないという点と、アパレルは「洋服」というイメージが強いことが挙げられます。

ただ、現在のアパレルのという言葉の概念には、和装品もちろん含まれています。

アパレル(apparel)の語源と由来

アパレル(apparel)の語源は、ラテン語の「apparareアパラーレ(あらかじめ準備してあるもの)」で、衣服関係だけでなく「準備された器具や装置」など、さまざまな物や状況にも用いられました。

「apparare」は、同じラテン語「appariculare」を派生して「(ある状況に)適合したもの」という意味になり、一定の規範に適合する「儀礼服」などを意味するようになりました。

王侯貴族が儀式などで威厳を示したり、神官が祈祷きとうをするときなどの、特別の飾り立てた威儀を正した衣服を表したのです。

したがって、もともとラテン語の「apparare」は普段着や平服などは含まれていませんでした。

古フランス語(9世紀から14世紀にかけて、現在のフランス北部を中心に話されていたフランス語)における「apareiller」の「準備したもの」の意味から「着る」「衣服」を経由して、1275年ごろに「準備する」「(準備してある)武具、武装」、1380年ごろ「(衣服を)縫わせる、着せる、飾り立てる」などの意味で文献に初出しょしゅつしています。

服飾用語としてのアパレルは、あらかじめ「準備」しておいた「衣服」で、ある特定の威厳や思想などをその「装飾性」によって訴求するために「外観」を整えるものであり、「表着(外着)」の意味が強かったのです。

アパレルは厳密には装飾性の高い表着を表し、家庭着や作業着、スポーツウェア、下着などは含まれないことになっていましたが、現在では「一般衣服、および関連製品」を総称するようになっているのです。

古フランス語の「apareiller」は、現フランス語では「appareil(アパレユ)」になっていますが、このフランス語は英語のアパレルよりもラテン語の「apparare」時代の意味を強く持っています。

そのため現フランス語の「appareil(アパレユ)」と英語のアパレルには意味ずれがあり、「appareil(アパレユ)」は服飾用語としては古風な表現になっています。

現フランス語で英語のアパレルに対応する語としては、「vetement(ヴェトマン)」(英語でvestment)」、および「habilement(アビィユマン)」などが挙げられます。

「vetement(ヴェトマン)」は、ラテン語で「衣服」や「表着」を意味する「vestis/vestimentum」に由来したもので、「habilement(アビィユマン)」はラテン語で「外観」や「服装」を表す「habitus」からきています。


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