燕子花は、アヤメ科の植物で池や沼、湿地に自生しています。
日本においても親しまれており、7世紀後半から8世紀後半にかけて編集された、現存する日本最古の歌集である『万葉集』には、燕子花が詠われています。
平安時代の歌人である在原業平思わせる男を主人公とした和歌にまつわる短編歌物語集である『伊勢物語』には、五七五七七の最初の文字を並べると「かきつはた」になる下記の一首を詠んでいます。
唐衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思ふ
現代語訳 (何度も着て身になじんだ)唐衣のように、(長年なれ親しんだ)妻が(都に)いるので、(その妻を残したまま)はるばる来てしまった旅(のわびしさ)を、しみじみと思うことです
古くから燕子花が日本人の美意識や情感に非常にうまくマッチしていたと言え、さまざまなデザインの題材にも用いられてきました。
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