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染色・草木染めにおけるハゼノキ

ハゼノキ(ヤマハゼ)は、ウルシ科ウルシ属の落葉小高木で、学名はToxicodendron succedaneumです。

黄色の心材しんざい(樹木を輪切りにしたときに、中心部分にある色の濃い部分の材木)が、染料になります。

本来、中国の黄櫨こうろは、ウルシ科の別属の木ですが、平安時代にまとめられた三代格式さんだいきゃくしきの一つである『延喜式えんぎしき』には、「採黄櫨一人」との記載があることから、日本で自生していたハゼノキ(ヤマハゼ)も利用されていたようです。

染色・草木染めにおけるハゼノキ

ハゼノキ(ヤマハゼ)の心材しんざいを染料として使用し、明礬みょうばん媒染で黄色、灰汁あく媒染でやや赤みを増し、石灰水では赤茶色、鉄塩による媒染で真黒まっくろに発色します。

ネムノキ(合歓木)で染色した菜の花色

染色・草木染めにおけるネムノキ(合歓木)。ネムノキ(合歓木)の薬用効果について

ネムノキ(学名Albizia julibrissin)は、マメ科ネムノキ属で本州、四国、九州、琉球、朝鮮半島、中国の暖帯や温帯に広く分布しています。

葉は、1枚ずつが鳥の羽にそっくりな形をしており、葉柄の両側に小さな葉がいくつも連なっています。

ネムノキ(合歓木),Albizia julibrissin 'Boubri' 2020-07-18 01

ネムノキ(合歓木),Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

このような形状の葉は「羽状複葉うじょうふくよう」と呼ばれます。 続きを読む

染色・草木染めにおけるマリーゴールド

マリーゴールド(学名:Tagetes)は、キク科でマンジュギク属の一年草で、広く園芸種として栽培されています。

草高は、15cm〜30cmに成長し、夏に分枝し、4cm〜8cmの頭状花とうじょうかをつけます。

マリーゴールドの名前で親しまれている植物には、アフリカン・マリゴールドとフレンチ・マリゴールドがあり、アフリカン・マリゴールドはメキシコ原産で、和名では、千寿菊せんじゅぎくまたは万寿菊まんじゅぎくといいます。

Tagetes-Marigold-Flower 08

マリーゴールド,Tagetes,Sabina Bajracharya, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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染色・草木染めにおけるサフラン

サフラン(学名 Crocus sativus)は、アヤメ科クロッカス属の植物で、そのめしべを乾燥させた香辛料もサフランと言われます。

サフランはクロッカスの仲間で、球根で生長する植物です。

食用のものをサフラン、観賞用のものをクロッカス(ハナサフラン)と分けたり、秋に花を咲かせる種類をサフランと呼び、春に花を咲かせる種類をクロッカスと呼んで区別することがあります。

サフランは、その大きな花びらと、花の中心部に目立つ鮮やかな黄色のおしべと紅赤の柱頭ちゅうとうをつけるめしべが特徴的で、1つの花に3本しかないその紅赤の柱頭ちゅうとう(めしべ)を1つずつ手で摘み取って乾燥させるため手間がかかり、古くから非常に高価な香辛料として知られていました。

サフラン,Crocus sativus - Saffron crocus - Safran 02

サフラン,Zeynel Cebeci, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

3000年以上前から香辛料、着色料、香味料として、世界中で幅広く利用されてきました。

日本において、サフランは江戸時代に漢方薬として日本に伝わり、明治半ば過ぎには大分県竹田が名産地となりました。 続きを読む

支子(梔子)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける支子(くちなし)。支子(梔子)の染色方法や薬用効果について

支子くちなし(学名 Gardenia jasminoides)は、あかね科クチナシ属の常緑の低木で、現在は支子くちなしではなく、梔子くちなしの字を当てる場合が多いです。

古くから、支子くちなしの果実が染色や薬用に使用されてきました。

本記事では、以下、支子くちなしと表記します。

支子くちなしは、庭園の樹木として植えられ、葉は2枚の葉がつく対生たいせい、もしくは3枚の葉が輪生りんせいします。

6月〜7月頃に葉腋ようえき(葉の付け根)から花柄を出し、白い六片に裂けた筒状花とうじょうかをつけ、2〜3日で黄色く変色しますが、良い香りがします。

支子(梔子),Cape Jasmine (Gardenia jasminoides)

支子(梔子),Gardenia jasminoides,Mokkie, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

果実は、頂部に咢片がくへんが残り、熟すと黄赤きあか色になります。 続きを読む

芙蓉染(灰汁媒染)

染色・草木染めにおける刈安(かりやす)

刈安かりやす(学名Miscanthus tinctorius )は イネ科ススキ属の多年草で、古代から現在まで長い間、黄色を染める染料植物として使用されてきました。

花穂が出はじめたタイミングが、刈り取りに適した時期で、刈り取ったあとはしっかりと乾燥して保存しておきます。
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染色・草木染めにおけるミロバラン。訶梨勒(かりろく)の染色方法について

インドにおいて、古くから僧衣そういを染めてきた染料がミロバランといわれています。

ミロバランは、訶梨勒かりろくの名で正倉院の薬物の中に現存しています。

ミロバランmyrobalan(学名Terminalia chebula)は、シクンシ科モモタマナ属で10m〜20m程の高さになる落葉樹で、その果実が「ミロバラン」という名前で草木染めの染料として売られています。

ミロバラン,訶梨勒(かりろく),Terminalia chebula

ミロバラン,訶梨勒(かりろく),Terminalia chebula,Sipuwildlife, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

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黄連(おうれん)

染色・草木染めにおける黄連(おうれん)。黄連(おうれん)の染色方法や薬用効果について

黄連おうれん(学名Coptis japonica Makino)は、キンポウゲ科オウレン属で常緑多年草の薬用植物です。

葉には光沢感があり、セリに似ており、早春に根茎こんけいから芽を出し、3〜4月ごろに根元から高さ10cmほどの花茎かけいを出し、数個の白い花を付けます。

地下茎ちかけいはやや太く、中は黄色で横にのび、たくさんの根を出します。

Coptis japonica var. anemonifolia 2

Coptis japonica,Qwert1234, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

9〜11月頃に、根茎こんけいを採取して細い根を除いて乾燥させたものが生薬の「黄連おうれん」です。 続きを読む

染色・草木染めにおける野薔薇(ノイバラ)。薬用効果について

野薔薇のいばら野茨のいばら)(学名Rosa multiflora)は、野生のバラにおける代表的な品種です。

花屋などで観賞用として売られているバラの原種の一つであり、野薔薇のいばらから数々の品種が作り出されてきました。

英語のRosaはラテン語のRosaに由来し、バラ属(Rosa)に属するものは非常に多く、さまざまな種類を含んでいます。

multifloraは、花が房状に咲くことから、ラテン語で「花が多い」を意味します。 続きを読む

染色・草木染めにおける南天(なんてん)。薬用効果や歴史について

南天なんてん(Nandina domestica THUNBERG)は、 西日本、四国、九州など比較的あたたかい地域に主に自生していますが、もともとは中国から渡来したといわれています。

属名のNandinaは、安政4年(1858年)に、長崎の出島に来日したスウェーデン人のCarl Peter Thunbergが日本名のナンテンから命名したもので、domesticaは家庭を意味するもので、人の家によく植えられていることからきています。

南天といえば、赤い実をつけることがよく知れられていますが、白い果実をつけるシロミノナンテンや、淡紫色のフジナンテンなどがあります。

葉っぱが細く、繁殖しやすいホソバナナンテンや、葉っぱが丸みを帯びているものなど、園芸品種が非常に多いことでも知られています。

1年を通して葉が枝や幹についており、樹高の低い常緑低木じょうりょくていぼくとして、観賞用に庭木として植えられることが多いです。

樹高は、2mほどに成長し、6月ごろに茎の先に白色に小さい花を咲かせます。

2021-06-22 17 23 49 Heavenly Bamboo flowers along Franklin Farm Road in the Franklin Farm section of Oak Hill, Fairfax County, Virginia

Famartin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

果実は丸く、はじめは緑色ですが、冬のはじめごろに赤く熟すため、正月飾りのために使用されたりします。

Nandina Berries, Parliament gardens, Melbourne Australia (4617895729)

南天,Rexness from Melbourne, Australia, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons,Link

南天の花は、俳諧はいかいにおける初夏の季語となり、果実は冬の季語として詩や歌に詠まれることも多いです。 続きを読む