冬青(学名 Ilex pedunculosa)は、山梨県より西の本州、四国、九州の山地に生えている常緑樹で、実が美しいことから庭木としても植えられます。
雌雄異株で、6月ごろに小さな白い花が咲き、実は丸く熟すと紅色になります。
冬青という名前の由来は、葉が風にゆれて、ザワザワ音をたてながらそよぐさまからきています。
冬青,Ilex pedunculosa,Alpsdake, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link
江戸時代に流行した色合いに、柿色があります。
濃柿、薄柿、照柿、紅柿、洒落柿、晒柿、大和柿、本多柿、洗柿、水柿、黒柿など、柿色から派生した色名がさまざま生み出されました。
江戸時代の柿色には、タンニンを非常に多く含む柿渋だけで染めた色から、柿渋とベンガラ(弁柄)を用いた色、梅の木で濃く染め重ねて、媒染に石灰を使用することで濃い赤茶色などが染められています。
蘇芳などの染料も、赤味を表現するためにも用いられたと考えられます。
色目については、柿色と濃柿は、渋柿の色に近い茶色味の赤色。
照柿と紅柿は柿の実の色のような黄色味のある赤色。
洒落柿、晒柿、洗柿、大和柿、本多柿は、柿色を洗いざらしたような薄い赤茶色で薄柿は、それらよりもやや濃い色。
水柿はやや水色味のある極めて薄い赤茶色。
黒柿は黒味のある柿色と考えられます。
【参考文献】『月刊染織α1989年4月No.97』
中国においては、紡績の歴史は新石器時代までさかのぼりますが、服飾についてははっきりとしていません。
新石器時代から麻類が用いられ、ついで蚕の繭から絹糸を引くことが始まったとされます。 続きを読む
紅花系統で染められた色は、時間とともに色合いが淡くなると青味を増す傾向があり、その淡紅色や淡紫色は「聴色」という言葉で呼ばれることがありました。 続きを読む
黄八丈とは、主に草木染めで染められた黄色・樺色・黒色の三色の糸を使って、さまざまな縞模様を織り出す絹織物のことです。
黄八丈は、広い意味で茶系統の鳶八丈や黒系統の黒八丈を含めた、八丈島で生産された紬を総称しています。
全体的に渋く、味わいのある色合いであるため、絹織物らしい光沢感は抑えられます。
染色の工程で、乾燥のために長い日数を八丈島の強い直射日光にさらすため、堅牢度が良く変色したり退色しづらい特徴があります。
黄八丈は、たくさん使われ、洗われることで、年を経るにつれて、より一層色合いが冴えてくるともいわれたりします。 続きを読む
人類は、古くから自然の植物から色を獲得して、自ら身にまとう布に対して染色をおこなってきました。
古代の人々が、まずは目の前にある、色のついた土や植物から色を獲得してきたというのは容易に想像ができます。
ただ、古代に始まった染色は色をつけるためだけのものではありませんでした。
もともとは、自分の身を守るための薬用効果を求めてはじまったとされているのです。 続きを読む
やまももは、漢字で楊梅と書き、中国や日本を原産とするヤマモモ科の常緑広葉樹です。
徳島県では、「県の木」に指定されており、高知県では「県の花」になっています。
草木染めにも使用される楊梅について、薬用効果や歴史を踏まえながら紹介します。 続きを読む
兼房染とは、黒梅染のことをいい、加賀染(加賀御国染)ともいわれていました。
黒梅染とは、紅梅の樹皮や根を煎じた汁で染めたものやその色の中でも、特に赤み黒ずんだ茶色のものを指していいます。 続きを読む
四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。
数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は活用されてきた歴史や色の豊富さなどをみると、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。
古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていたとされます。
古代の人々は、草木にも霊があると考え、草木の霊は特に「木霊」と呼ばれ、一番身近に存在する「和霊」としてとらえていたとも言われています。 続きを読む