色合い」カテゴリーアーカイブ

ベンガラ(弁柄)を部分的に摺り込んで染められた、唐草模様の藍染布

染色に使用される赤色の顔料であるベンガラ(弁柄/紅殻)について

天然に出る赤色の土は、世界中のいたるところで見られます。

日本においては、水稲農耕すいとうこうさくが始まる弥生時代やよいじだい(紀元前10世紀頃〜紀元後3世紀中頃)以前に用いられた顔料は基本的には赤と黒の2色で、赤は赤土あかつち(せきど)が使用されていたと考えられます。 続きを読む

藍染された浅葱色(あさぎいろ)の糸

浅葱色(あさぎいろ)とは?藍染された薄い藍色(水色)について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、平安時代からみられる浅葱色あさぎいろという色名があります。 続きを読む

『画本東都遊』より「紺屋の図」 浅草菴(編) 葛飾北斎(画) 享和2(1802)序刊

紺屋(こうや・こんや)とは?紺屋と諺(ことわざ)について

紺屋は、「こうや」や「こんや」と読みます。

「紺」という名前が登場するには非常に古く、大化たいか3年(647年)に制定された日本の冠位である「七色十三階の冠位ななしきじゅうさんかいかん」で、第五大小青冠の服色に「ふかはなだ」が当てられました。

日本の中世(平安時代後期(11世紀後半)から、戦国時代(16世紀後半)までの500年ほど)においては、「紺搔」「紺座」「紺灰座」「紺屋」など、藍染に関する文献における記載も多くみられます。 続きを読む

染色・草木染めにおける小鮒草(こぶなぐさ)

小鮒草こぶなぐさは、イネ科の一年草で、日本各地の田んぼのあぜや道ばた、原野に自生しています。

small carpetgrass (Arthraxon hispidus)

小鮒草(こぶなぐさ),Arthraxon hispidus,Evan M. Raskin, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons,Link

染料植物として有名な刈安かりやすと同じように黄色色素を持ち、アルミナ媒染で黄色に染まります。

藍染との重ね染めを併用することで、緑色も表現することができます。 続きを読む

藍染された浅葱色(あさぎいろ)の糸

京の水藍(みずあい)。幻の京藍の歴史と栽培方法について

藍染の原料となる藍の栽培は、古くは日本中で行われていました。

京都においては「京の水藍みずあい」という言葉が江戸時代の文献に残っており、色合いがあざやかで品質が高かったとされ、水藍の色は京浅葱きょうあさぎ(淡い水色)とたたえられていました。

水藍とは、その名前だけあって、水稲すいとうのように水を張って田んぼで栽培された藍のことです。

水藍は、京藍、東寺藍、ちょぼ藍(田んぼのことを、その土地の言葉で「ちょぼじ」と言ったことに由来)などと呼ばれていました。

水藍に使用された藍の品種は、京都の東九条村では「丸葉」と呼んでいたようですので、基本的には丸葉タデ藍(丸葉藍)であったと考えられます。

Persicaria tinctoria bergianska

蓼藍(丸葉),タデアイ,Persicaria tinctoria bergianska,Udo Schröter, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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縞織布『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

藍下(あいした)とは?藍と植物染料の重ね染めについて

藍下あいしたとは、藍で下染したぞめするという意味でこの名があります。

べに下染したぞめするのを、紅下べにしたというの同じです。

昔は、高級品で深みのある黒紋付の染色などに、檳榔子びんろうじが使用されていましたが、その場合、藍や紅などで下染めした上に、檳榔子染びんろうじぞめをすると、青味または赤味を含んだ黒を染めることができました。

藍で重ね染めをすると、堅牢度けんろうどの向上も期待することができます。
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豆汁(ごじる),呉汁(ごじる)

染色・草木染めにおける豆汁(ごじる)の効用。豆汁(呉汁)の作り方について

染色・草木染めにおいて、大豆をすりづぶして作った豆汁ごじる呉汁ごじる)が使用されてきました。

豆汁ごじるの成分は、主に大豆タンパク(グリシニンglycinin)とデンプン、脂肪の混合物となります。

絵具や顔料を定着させるために、豆汁ごじるの大豆タンパクが役割を果たします。

卵白らんぱくや牛乳なども、豆汁ごじると同じようにタンパク質による接着剤、凝固剤としての役割をします。 続きを読む

天皇の色彩である黄櫨(こうろ)、黄櫨染(こうろぜん)と皇太子の色彩である黄丹(おうに)とは?

黄櫨こうろ黄櫨染こうろぜんと呼ばれる色彩があります。

平安時代以降、日本の天皇が儀式のときに着用するほうの色と決められ、「絶対禁色ぜったいきんじき」として天皇以外は着ることが許されない色とされてきました。
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