色合い」カテゴリーアーカイブ

クロム媒染とは?

天然染料および媒染ばいせん染料で染色する際に、媒染剤としてクロム塩を使用できます。

鉄や銅で媒染するより色が美しく、アルミニウムやすずを使用するより濃い色が染められるため、クロム媒染は多く使用されてきました。

木綿には塩基性クロムミョウバン、絹には塩基性塩化クロムや塩基性クロムミョウバン、羊毛(ウール)には、重クロム酸カリやギ酸などが使用されます。

クロム染料

クロム染料という言葉がありますが、クロム染料は酸性媒染染料の別称です。

酸性染料の性質を持ち、クロム塩で媒染したのち、クロム染料で染色するか、染色後にクロム塩で処理すると、レーキを形成し堅牢けんろうな染色が得られます。

染色・草木染めにおける黄染(きぞめ)

黄色は、赤と青とともに三原色の一つです。

古代中国においては、一年を四季に分けて、春(青)、夏(朱)、秋(白)、冬(玄)としていましたが、時間が経つにつれ、五行説ごぎょうせつにしたがって黄色を中央に入れることになります。

つまり、夏を二つに分けて一年を五季として、春は青、夏の前半は朱、夏の後半は黄、秋は白、冬は黒(玄)の五つの色によって表すことにしたというわけです。

日本も初めは五行説ごぎょうせつの考えを取り入れましたが、奈良時代ごろには、黄色は無位無冠むいむかん(特別な地位がないこと)で一般民衆の服の色でもありました。

きんのことを黄金というのは、その色が黄であるということからきています。 続きを読む

甕覗(かめのぞき)。藍染された極めて淡い色合いである甕覗(瓶覗)

甕覗(かめのぞき)とは?藍染された極めて淡い色合いである甕覗(瓶覗)について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、比較的有名なものに甕覗かめのぞき(瓶覗)という色名があります。 続きを読む

大島紬(おおしまつむぎ)

大島紬(おおしまつむぎ)とは?大島紬の特徴と歴史について

大島紬おおしまつむぎとは、平織りされた絹織物で、つむぎという名前が付いているように、もともとは手紡ぎされた絹糸が使用されていました。

また、車輪梅しゃりんばいで染色し、泥の鉄分で媒染ばいせんすることで絹糸が染められます。

きわめて細かな絣模様が表現される点も、大島紬おおしまつむぎがその名を知らしめる理由となっていました。 続きを読む

南部紫根染(なんぶしこんぞめ)

南部紫根染(なんぶしこんぞめ)とは?

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は歴史や色の豊富さなど、日本人にとってとりわけ関わりが深く、日本を代表する色であったといえます。 続きを読む

「助六由縁江戸桜」に登場する主人公の助六は、江戸紫のハチマキをつけている。豐原國周 画『江戸櫻』大判錦繪三枚續物(明治二十九年五月東京歌舞伎座上演)

江戸紫(えどむらさき)と京紫(きょうむらさき)

紫染は主に京都で行われていましたが、徳川吉宗とくがわよしむね(1684~1751)の奨励しょうれいなども相まって、紫草むらさきの栽培や染色が江戸でも行われるようになったといわれています。

江戸時代くらいから紫根染がおよそ東西の二つに分けられ、京都の「京紫きょうむらさき」に対して、江戸で行われた紫染は「江戸紫えどむらさき」と呼ばれました。 続きを読む

紅花と藍の重ね染め

藍で下染したぞめしてから(藍下あいした紅花べにばなで染め重ねることによって、古くから紫色が染められていました。

平安時代には、藍と紅の二種・・の藍(染料)で染めた色が「二藍ふたあい」という色名で表現されていました。

紅花と藍の重ね染め

藍染で浅葱色あさぎいろに染めてから、紅花、もしくは蘇芳すおうで染め重ねた色合いを紅藤べにふじ色と言います。

紅藤べにふじ色は、その名の通り紅色がかった藤色ふじいろで、赤みの薄い紫色に用いられます。

江戸時代の『諸色手染草しょしきてぞめくさ』(1772年)に「紅ふじ 下地をうすあさぎ(浅葱)に染。すわう(蘇芳)うすくしてめうばん(明礬)少し入二へん染。とめにむしやしやきのあく(灰汁)にて染てよし。但し本紅をつかふ時は右のごとく下染の上に紅染のごとく染てよし」というようにあります。

『染物屋覚書』(1803年頃)には、「紅ふじは白ご(呉)引。随分濃すわう(蘇芳)へかね(鉄)少しくわへ引。早立あく留め。本紅ふじはすわう(蘇芳)の二番を早付。濃すわう(蘇芳)一度引。かわかざる内に濃あく(灰汁)にて留め。直にかね(鉄)にてくるべし。色かげんはかねぐりの時見合可申候」とあります。

「あく(灰汁)」とあるのは、ひさかき椿つばきなどのアルミ成分の多い灰汁あくを使用しているものと考えられます。

関連記事:染色・草木染めにおける灰汁(あく)の効用と作り方。木灰から生まれる灰汁の成分は何か?

兼房染(けんぼうぞめ)とは何か?

兼房染けんぼうぞめとは、黒梅染くろうめぞめのことをいい、加賀染かがぞめ(加賀御国染おくにぞめ)ともいわれていました。

黒梅染とは、紅梅こうばいの樹皮や根をせんじた汁で染めたものやその色の中でも、特に赤み黒ずんだ茶色のものを指していいます。 続きを読む

藍染された木綿糸(先染め)

染色・藍染におけるウォード(Woad)。細葉大青(ほそばたいせい)を使用した藍染について

大青たいせい(漢名:大藍・菘藍)は、アブラナ科に属し、中国が原産地とされ、享保きょうほう年間(1716年〜1735年)に日本に渡来したとされます。

ヨーロッパからシベリアのバイカル湖付近にまで分布するといわれるアブラナ科の越年草である細葉大青ほそばたいせい(学名:Isatis tinctoria)は、英名ではWoad(ウォード)と言われます。

同じ藍の色素を持つ植物でも、蓼藍たであいやインド藍や琉球藍りゅうきゅうあいなどとは品種が違い、ウォードはアブラナ(菜種菜なたねな)によく似た大きな草です。 続きを読む