投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

支子(梔子)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける支子(くちなし)・梔子。支子の染色方法や薬用効果について

支子くちなし(学名 Gardenia jasminoides)は、あかね科クチナシ属の常緑の低木で、現在は支子くちなしではなく、梔子くちなしの字を当てる場合が多いです。

支子くちなし」という文字は『日本書紀』の天武10年(681年)の条に初見されていることから、古くから人々に知られていたと考えられ、実際に支子くちなしの果実が染色や薬用に使用されてきました。

本記事では、以下、支子くちなしと表記します。

支子くちなしは、庭園の樹木として植えられ、葉は2枚の葉がつく対生たいせい、もしくは3枚の葉が輪生りんせいします。

6月〜7月頃に葉腋ようえき(葉の付け根)から花柄を出し、白い六片に裂けた筒状花とうじょうかをつけ、2〜3日で黄色く変色しますが、良い香りがします。

支子(梔子),Cape Jasmine (Gardenia jasminoides)

支子(梔子),Gardenia jasminoides,Mokkie, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

果実は、頂部に咢片がくへんが残り、熟すと黄赤きあか色になります。
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葛布(くずふ)

葛布(くずふ)とは?葛布の特徴や技法、歴史について

くずは(学名:Pueraria lobata.)は、日本全土で見られるマメ科の多年草で山地や野原など、至る所に生育しています。

長いつるを伸ばして他の草木を覆い隠すので、厄介な雑草として扱われることもありますが、葉は牛の飼料になり、根からは上質なデンプンである葛粉くずこが取れたりと、様々な分野で活用されてきた有用植物です。
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デザイン・染色におけるザクロ(柘榴)。ザクロの歴史について

ザクロPomegranate(学名Punica granatum)は、インド北部からイラン、アフガニスタン、パキスタンなどのレバント(東部地中海沿岸地方)あたりを原産地とする説があり、有史以前から栽培されていたとも考えられています。

生のまま果実が食用として愛好されたり、未熟な果実の果皮は赤い染料の原料となり、モロッコでは革をなめして赤く染めるために使用されてきました。

ザクロの主成分はアルカロイドのペレチエリンで薬用としても古くから活用され、幹や枝、根っこの皮を使い、条虫じょうちゅう駆除薬として服用されます。

果実の皮は、下痢や下血げけつ(お尻から血が出る)に効果があるとされます。

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紅板締め,竹梅文,紅花染め

染色・草木染めにおける紅花(べにばな)。薬用効果や歴史について

紅花べにばな(学名:Carthamus tinctorius)は、キク科ベニバナ属で花弁かべんを植物染料にします。

秋に種をまいて、冬を越して春になってから開花、結実してから枯れる越年草えつねんそう(二年草)として生育したり、寒い地域では一年草として春早い時期に種をまく場合もあります。

紅色の染料としての用途のみならず、食用油の原料としても栽培されています。

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蓼藍(タデアイ)

正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)とは。正藍冷染の染色技法について

宮城県栗原郡栗駒町に伝わる「正藍冷染しょうあいひやしぞめ(しょうあいれいせん)」という技法は、どの地方においても見られない特徴的な藍染です。

一般的に行われている藍染は、藍甕あいがめのなかに、アルカリ分の木灰の上澄み液である灰汁あくを入れ、蓼藍たであいの葉を発酵させて作った原料のすくもと小麦の外皮を煮出した糖分などを混ぜ、人為的に加温して発酵させます。

一方、「正藍冷染しょうあいひやしぞめ」と呼ばれるものは、人工的な加温を行わず、気温が上昇する夏の時期のみ、大きな木製のおけを使って藍のすくもを発酵させて藍染をするものです。
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梅染め、アルミ媒染の色合い

染色・草木染めにおける梅(うめ)。梅の染色方法や薬用効果について

日本に梅が伝わったのは、弥生時代から飛鳥時代ごろとされ、中国から薬用の烏梅うばいとして伝来したと言われます。

烏梅うばい燻梅ふすべうめ)とは、実が青い状態の梅を釜戸かまどの煙で黒くいぶして薫製くんせいにし、乾燥させたもので、せんじて風邪薬や胃腸薬として用いたり、止血や切り傷の手当てにも使用されてきました。

梅は、薬用、食用、観賞用、そして染色用と多様な用途のある有用な植物として渡来し、栽培されるようになったと考えられます。 続きを読む

紫根(しこん)で染められた伝統的な紫色。深紫・深紫・中紫・紫・黒紫・深滅紫・中滅紫について

飛鳥時代(592年〜710年)、奈良時代(710年〜794年)、平安時代(794年〜1185年)の色彩の代表的なものに紫色があります。

紫色は平安時代の貴族文化を象徴する色彩とされていたらしく、単に「いろ」といえば、紫色を表現するほどだったとされます。
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豆汁(ごじる),呉汁(ごじる)

染色・草木染めにおける豆汁(ごじる)の効用。豆汁(呉汁)の作り方について

染色・草木染めにおいて、大豆をすりづぶして作った豆汁ごじる呉汁ごじる)が使用されてきました。

豆汁ごじるの成分は、主に大豆タンパク(グリシニンglycinin)とデンプン、脂肪の混合物となります。

絵具や顔料を定着させるために、豆汁ごじるの大豆タンパクが役割を果たします。

卵白らんぱくや牛乳なども、豆汁ごじると同じようにタンパク質による接着剤、凝固剤としての役割をします。 続きを読む

茄子(なす)・茄子文(なすもん)がデザインされた伊勢型紙

デザインにおける茄子(ナス)・茄子文(なすもん)

茄子(ナス)は、江戸時代のことわざである「一富士二鷹三茄子いちふじにたかさんなすび」のひとつに含まれ、これに関連して多くのデザインに用いられてきました。

「一富士二鷹三茄子」は初夢に見ると縁起の良いとされるものの順で、「富士」は日本一の山で繁栄を意味し、「鷹」は威厳のある鳥や高く舞い上がる鷹にあやかって運気上昇、「茄子」は生す・・成す・・を意味し、物事の発展するさまを言い表わしています。 続きを読む

藍染と唐草模様

日本における藍染(ジャパンブルー)の歴史。藍作・藍染が発展し、衰退していった背景について

藍染は、古くから世界中で行われてきました。

古代エジプトではミイラを包む布が藍染されており、紀元前2000年前には藍が利用されていたとされています。

藍の色素を持つ植物も多種多様で、それぞれの地域にあった植物を使用し、さまざまな方法で藍染が行われてきたのです。

藍の色素を持つ植物を科別にすると、マメ、アブラナ、キツネノマゴ、タデ、キョウトウチク、ガガイモ、マツムシソウ、モクセイ、クロウメモドキ、キク、ヒメハギ、ランなどが挙げられます。

インドにおける藍栽培の歴史は古く、古代ローマ時代にはインドで商品化されたインド藍がエジプトのアレクサンドリアを経由してローマへ輸入されていました。

アラビア商人によって、エジプトをはじめ地中海方面へと運ばれていましたが、ポルトガルのバスコダガマが南アフリカを回るインド洋航路を発見したことによって、インドにおける藍の生産はいっそう盛んになったのです。 続きを読む