投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

絣柄に彫られた伊勢型紙,絣型染(かすりかたぞめ)

型染めで絣模様を表現する絣型染(かすりかたぞめ)・常磐紺形染(ときわこんがたぞめ)。絣形に彫られた型紙を使用した型染め技法について

現在の福岡県の久留米における久留米絣くるめがすりや愛媛県の伊予絣いよがすりなど、絣織物の産地が日本各地にありました。

糸をヒモで括って部分的に防染した絣糸かすりいとを用い、織りによって絣の模様(文様)を表現するのが通常の絣の織物です。

織りで模様(文様)が表現された一般的な絣(絵絣),松竹梅文

織りで模様(文様)が表現された一般的な絣(絵絣),松竹梅文

ただ、絣産地がなかった東北地方においては、絣形に彫られた型紙を使用した型染めを行うことで、「絣模様」を表現するという工夫がされていました。 続きを読む

インド更紗

染色・草木染めにおける堅牢度(けんろうど)。色落ちしづらく染めて、染色堅牢度を高める方法について

染色において、化学的なもの(化学染料)でも天然由来のもの(天然染料)でも、必ず染まり上がった色合いは時間が経つにつれて変化していきます。

天然の原料を使用した草木染めの欠点としては、使用する染料植物や染色方法にもよりますが、基本的には堅牢度けんろうどがあまり良くない点があります。

ただ天然の草木染めは比較的早く色あせてしまうからこそ魅力があり、今この瞬間の色を楽しむことができるとも言えます。

Natural Dyeing in Tabriz 2019-07-21 05

Natural Dyeing,Fars Media Corporation, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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藍染された浅葱色(あさぎいろ)の糸

京の水藍(みずあい)。幻の京藍の歴史と栽培方法について

藍染の原料となる藍の栽培は、古くは日本中で行われていました。

京都においては「京の水藍みずあい」という言葉が江戸時代の文献に残っており、色合いがあざやかで品質が高かったとされ、水藍の色は京浅葱きょうあさぎ(淡い水色)とたたえられていました。

水藍とは、その名前だけあって、水稲すいとうのように水を張って田んぼで栽培された藍のことです。

水藍は、京藍、東寺藍、ちょぼ藍(田んぼのことを、その土地の言葉で「ちょぼじ」と言ったことに由来)などと呼ばれていました。

水藍に使用された藍の品種は、京都の東九条村では「丸葉」と呼んでいたようですので、基本的には丸葉タデ藍(丸葉藍)であったと考えられます。

Persicaria tinctoria bergianska

蓼藍(丸葉),タデアイ,Persicaria tinctoria bergianska,Udo Schröter, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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橘文(たちばなもん)・橘紋

デザインにおける橘文(たちばなもん)

倭橘やまとたちばなは、一般的には「たちばな」と呼ばれるミカン科の植物です。

7世紀後半から8世紀後半(奈良時代末期)にかけて成立したとされる日本に現存する最古の和歌集である『万葉集まんようしゅう』にも、たちばなは詠まれています。 続きを読む

刺し子された藍染布 岡村吉右衛門『庶民の染織』

こぎん(こぎん刺し)の特徴と東北地方の麻布文化について

こぎん(小巾)とは、麻でできた単衣ひとえ(裏地がない着物)の仕事着を表します。

東北地方の中で、特に青森県や秋田の日本海側の地域で「こぎん」という呼称が使われていました。

江戸時代後期の明和めいわ安政あんせい年間の文献に、「小巾こぎん」の文字が見られています。

青森県の津軽地方では、藍染で濃紺に染められた麻布の長着ながぎ短着みじかぎのの背中と前身頃まえみごろに白い木綿糸で刺しつづる(刺子さしこ)、「こぎん刺し着物(津軽刺しこぎん)」があります。 続きを読む

デザインにおける誰が袖図屛風(たがそでびょうぶ)・誰が袖図(たがそでず)

近世初期から障壁画や屏風絵びょうぶえなどの障屏画しょうへいがに用いられてきたテーマの一つに「誰が袖図(たがそでず)」があります。

誰が袖図(たがそでず)には、色とりどりの衣装が衣桁いこう(着物を掛けておくために用いる鳥居のような形をした家具)に掛かる様子が表現されます。 続きを読む

「白練緯地桐竹鳳凰模様刺繍・摺箔小袖」16世紀桃山時代

日本や世界における刺繍(ししゅう)の歴史や特徴。奈良、平安、鎌倉、室町、江戸、それぞれの時代における刺繍について

針と糸があれば、布を自由に装飾できる刺繍ししゅうは、世界中で古くから行われてきました。

中国では、殷代いんだい(紀元前17世紀〜紀元前1046年)の青銅器に付着していた絹に菱形ひしがたの模様(文様もんよう)が刺繍ししゅうされた例が見つかっています。

日本においては、中国から発達した刺繍ししゅうの影響を受けながらも、織りや染めの技法と混ざりあいながら、日本的な美しさが数多く表現されてきました。
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